二学期、幼稚園ではヒヤシンスとクロッカスの球根の水栽培を始めました。
ばらさん、ゆりさん、すみれさんは各お部屋で育てることになり、
球根さんの大好きな暗いおうちに入れて、
みんなでお花が咲くのを楽しみにしていました。

 
何ヶ月か経ったある日のこと、
あや先生がばらさん、ゆりさんのお部屋に行くと紫色やピンク色など、
キレイな色のお花が咲いていたのでした。

けれど、すみれさんのお部屋に行って見てみても、
すみれさんのヒヤシンスは根っこが長くなっているだけの状態でした。

そこで、すみれさんに長くなった根っこを見せ、
「球根さんの根っこはお口で、この長いストローみたいな所から
大好きなお水を飲んで大きくなっていくんだよ!」とお話しし、
それからみんなで「大きくな〜れ♪」って応援してあげよう!
ということで球根さんに向かって「大きくな〜れ、大きくな〜れ♪」
と声をそろえて歌ったのでした。みんなの願いが届いたのか、
それからしばらくすると、芽が出て、待ちに待ったお花が咲いたのです!




朝、幼稚園にやってきたお友だちは、
お花が咲いているのを見つけてビックリ!
みんなでお花の周りに集まってお話ししているのです。
そして急いであや先生の所まで走ってきて

「先生!ヒヤシンスのお花咲いとる!来て来て!」

と大騒ぎでした。

すみれさんのお友だちにお顔を見せてくれたのは紫色のヒヤシンスさん、
オレンジ色や黄色のクロッカスさんでした。
嬉しくなって「ばらさんのお花何色やったっけ?」と走って見に行くお友だち、
他のクラスのお友だちにも「すみれさんのお花咲いたよ!」
とお話ししたり、「やった♪やった♪」
と手をつないでジャンプするお友だちなど、たくさんの笑顔が見られました。

しかし、それから何日か経ったある日、お花が枯れてしまったのです。
「お腹すいたんかな〜…」「新しいお水欲しいんかな〜…」
「ストロー長くてお水吸えないんかな〜…」
と心配するお友だち。いろいろなお声が聞こえてきたのでした。

みんなで一緒に育てたお花。
それから、人に対してだけでなく、植物や物に対しても大切にすること、
思いやりのお心、優しい気持ちが一人ひとりから見られるようになりました。
お花が、ゆっくり自分のペースで大きくなっていくのとともに、すみれさんのお心も、一人ひとりのペースで大きくなっていったのでした。


『幼稚園ってどんなところだろう?』という不安や期待を抱えて参加した入園式。
周りには知らない人ばかりでドキドキでしたね。
入園当初、おうちの人と離れるのが寂しくて、
大好きなお母さんのことを思い出して涙が止まらないときもありましたね。

けれども、
幼稚園には楽しいお遊びや行事があり、
お友だちとお話ししたり遊ぶようになると、
だんだん幼稚園がおもしろくなってきて、
涙を流すこともなくなり、
にっこにこのお顔が
見られるようになっていきましたね。
そんなすみれさんも今では、
素敵なお兄さん、
お姉さんに変身してきています。

ある日、お友だちがお部屋で泣いていたとき、それを見つけたお友だちが、
すう〜っと走っていき、ティッシュを取って『拭いて』
というように泣いているお友だちに渡しているのです。
やさしいお心ですね。それを見ていたあや先生、とっても嬉しかったです!

今までは、ずっとおうちの人と一緒に過ごしていたけれど、
幼稚園という初めての小さな社会。
たくさんのお友だちと関わっていく中で、楽しいことはもちろん、
集団生活で我慢しなくちゃいけないこと、辛いことなど、たくさん経験してきました。
長いようであっという間の一年間…。
そこからお友だちを思いやる気持ち、
優しいお心が芽生えてきたすみれさんなのでした。




四月からは、待ちに待ったゆりぐみさんです。おうちの都合で離れちゃうお友だちもいるけれど、

そして、それぞれのお場所で大きくなっていってほしいなあと思います。