羽咋白百合幼稚園が、保育園を併設し一年が経とうとしています。手探りながらも姉妹園の千里浜保育所と連携をとり研修を重ね、生後六ヶ月からの保育をスタートさせたのでした。
 おかげさまで、保育園のお友達もすっかり園の雰囲気が気に入ってくれ、登園してくると玄関で「ばいばい!」とお家の方に向かってかわいらしく手を振る姿を見る事ができます。

 保育園の認可を受ける事によって、羽咋市の保育所・保育園の先生方そして羽咋市役所健康福祉課の方々と共に、羽咋市の子ども達のよりよい成長を考える機会を持つようになりました。
 定期的に羽咋市の保育士や調理師が集まり研修を行う羽咋市保育部会研修会や、こども達の健やかな育ちを願い行われる様々な委員会。毎月行われる保育所長・園長会議には、子育て支援についての話し合いや、流行病の情報交換についても話し合われます。

 この子育て支援の一つとして「マイ保育園制度」というものがあります。幼稚園・保育園に入園する前に、自分で決めた保育園に登録をすると、無料で四時間三回まで、園に登園をし、園の保育を受ける事ができるというものです。羽咋市の保育園・保育所が以前から行っていたものですが、今年度から羽咋白百合保育園もマイ保育園ができる保育園となったのです。
 すると、さっそく白百合幼稚園の、弟さん妹さんを中心に登録していただき、ご家庭が保育園にお子さんを預けたい時に、園に登園していただき、園の保育を体験していただいています。
 また、「一時保育」といって、半日または一日、同じように保育を受ける事ができる制度があります。主に、マイ保育園の三回券を使い切ってしまった方に有料ではありますが、利用していただいています。
 
 
これらの制度を利用する理由としては、保護者の方々の急な用事や病気はもちろんの事、育児からの解放という事でも使っていただいています。お子さんを保育園に預ける事によって、用事をスムースに行う事ができたり、たまに育児から解放され、リフレッシュだってする事ができるのです。
 
 「マイ保育園」や「一時保育」といった、子ども達が園に登園する体験ができる制度の他に、羽咋白百合保育園でも、今年度より「子育てふれあい広場」といって、親子が一緒に登園ができる制度も始めました。
 羽咋白百合保育園の子育てふれあい広場は、毎週金曜日午前九時三十分から十一時まで、園内の主に多目的ホールにおいて行われています。
 その日のテーマに従って、その日集まってくださった親子の皆さんでふれあいのひとときを過ごすというものです。
 テーマはその時々で異なり、「紙芝居を見よう」や「パネルシアターを見よう」「ダンスをしよう」など保育園ならではのものや「運動会ごっこをしよう」や「ハロウィンパーティーをしよう」「観劇を楽しもう」など幼稚園の行事に参加できるものなど、工夫をこらした内容になっています。      
 そしてこれらのテーマは、毎月羽咋市から配られる広報誌「広報はくい」に記載されていますので、小さなお子さんをお持ちの地域の皆さんは、広報をチェックしていらしてくださっています。

第一回目の、羽咋白百合保育園の、子育てふれあい広場の開催は、二〇一一年四月八日でした。この日のために、ピカピカのバッチを用意し、広場の書かれたかわいい看板を玄関に掲げて、準備はOK!
 しかし、私どもの園では初めての試み。「地域の方ははたしてこの園に遊びに来てくれるかしら?」と白百合の先生達は内心ドキドキしながら待ってました。すると「はじめまして!」と、羽咋市の三歳以下のお子さんをお持ちのご家庭の方々が数組遊びに来てくださいました。そしてその後も、毎週広場は開催され、平均七、八組の親子の方々に集まっていただいています。
 又、今年度は千里浜保育所で、子育てふれあい広場を担当している先生にも毎週金曜日に来ていただいて、アドバイスしていただきながらお手伝いしていただき、この一年楽しいひとときを過ごして参りました。 
 
 毎週金曜日になると、広場に集まってくれるお友達を迎えるために、多目的ホールの環境設定を行い、玄関に広場の看板を出し、登録していただいたお友達のバッチを玄関の机の上に並べます。
 この作業を何度か繰り返していると、ある日、ばらぐみさん達がやってきて「今日は金曜日やから、子育てさんの日やね!」と言って、バッチを並べてくれるようになりました。そして、広場にやってきた親子の方を見つけると、ばらぐみさん達は、競ってバッチを探し「はい!○○ちゃんどうぞ」と言ってバッチをその子に渡してくれます。
 「○○ちゃん、来るかな?」などと言いながら、登園してきた小さなお友達を大歓迎し、一緒に遊んでいる姿はほほえましいものでした。
子育てふれあい広場に集まってくるこども達は、まだ幼稚園や保育園に入っていない子達です。我が子の遊び場やお友達。そして自分自身のお友達を求めてやっている保護者の方も多くいらっしゃいます。そういう場を提供するのも、子育て支援に結びつくのだと思います。
 又、広場に集まっている保護者の方々は、何度かいらして、園に慣れてくると育児に対する悩みや困っている事などを、先生に気楽に質問をしてくださるようになりました。「ハイハイが上手にできません。大丈夫でしょうか?」「食事を自分で食べようとしません。どうしたらいいですか」などなど・・・。そして、その都度私たち保育者は保護者の方によりそい、丁寧にお答えしています。「子育てって楽しい。」という事を一緒に伝え合っていけたらと思っています。
 金曜日、子育てふれあい広場に遊びに来てくださり、楽しく過ごし、帰る時間になって、「また遊びにくるね」と言って満足そうに笑顔で帰られる姿を見ると、こちらもとっても暖かい気持ちになります。
 
 
そして三月。ばらぐみさんが卒業の時を迎えました。
 ご家庭で愛され、幼稚園で愛されたばらぐみのお友達は、小さいお友達をいっぱいかわいがって愛してくれました。やさしいお兄ちゃん、お姉ちゃんが幼稚園にいたから保育園のお友達や子育てふれあい広場に遊びに来たお友達は、とても穏やかな気持ちで過ごす事ができたのだと思います。
 まさに、一番の子育て支援者はばらぐみさんだったのです。

この一年間保育園が加わる事によって、目に見える子育て支援を考え、実際に行う機会を持つ事ができました。
  これからも、暖かい子育て支援を目指すと共に、白百合ならではの子育て支援ができればいいなと思っています。それは、保育者の努力によってなり立つことではありません。力強い味方、幼稚園の園児となっていくすみれさん、ゆりさん、そしてもちろんばらさんの、お兄ちゃんお姉ちゃんの助けがあってできること。自信をもって期待しながらの子育て支援でありたいと思います。
 これこそまさに白百合の目標だったのです。

「愛されていることを知り、
     愛するものとなるために」