「学院長室から」

          
  
                               学院長 釜土達雄
 
 三月十一日の東日本大震災に伴い、羽咋白百合幼稚園でも地震対策や津波対策が見直されることになりました。
 能登半島地震以前から地震に対する備えやその対応のマニュアルは幼稚園にもありました。けれども、二〇〇七年の能登半島地震の最大震度6強は、想定を超えた地震規模でした。能登半島に大きな地震はないという漠然とした安心感は、一気に消え失せる地震でした。
 ちゃんとした耐震診断の上で、建物が倒壊する可能性があるのかないのか、しっかり踏まえた上での地震対策をしなければならなくなりました。幼稚園の園舎も耐震診断を一昨年に受けました。結果、古い建物でありながらもしっかりした建物のため、経年劣化を計算に加えても倒壊の恐れのない建物であると診断されました。羽咋白百合幼稚園では現在、その結果を受けて、防災計画を立てています。
 ところが、今年の東日本大震災では地震と共に大きな津波が被害を大きくしました。地震と同時に、私達も津波対策が、急務となりました。
 実のところ、羽咋白百合幼稚園には津波に対するマニュアルはありませんでした。地震さえもない平和な能登半島というイメージでしたので、津波のことなど全く考えていませんでした。
 ところが、二〇〇六年三月に作成された「津波浸水想定区域地図」(石川県作成)は、羽咋市で最大5.1メートルの津波を想定しています。東日本大震災や今後起こると想定されている東南海での地震は「プレート型地震」ですが、日本海側にはプレートはありません。日本海側で起こる地震は「活断層型の地震」になりますので、20メートルを超えるような地震は、想定する必要がないのです。それでも、5メートルを超える津波は想定されています。また、この予想は能登半島東岸での地震を想定し、津波発生場所からの到達時間は、76分と想定しています。これに基づいて、津波対策を考えることになりました。
 幼稚園の地盤高(海面からの高さ)は、一番低い幼稚園前の高さで3メートル。5メートルの津波が来たら大変なことになってしまいます。
 そこで私達は次のように考えました。
  2メートルを超える津波が想定されたら、逃げる。
  逃げる場所
  2b〜4b 隣接する子育て支援センター
  4b以上  羽咋市役所(園バス等を利用)
        ただし、海と反対側の道を使う
 津波を想定した避難訓練は、子どもたちと一緒の避難訓練としては、まだしていません。現在は、教職員のイメージトレーニングとしての避難訓練です。けれども、羽咋市とも相談しながら、備えていきたいと思っています。
 あっては困る津波です。それでも「備えあれば憂いなし」。しっかりと、備えだけはしておこうと思っています。