六月十五日、北陸地方の梅雨入り宣言がニュースで流れました。ついこの間までは、お日様が輝いて、明るい日が続いていたのに、空は低くどんよりとした灰色の雲に覆われ、雨ばかりの毎日。湿度が高くてムシムシして過ごしにくい。梅雨の季節がやってきたのです。

 そんな梅雨入り宣言のニュースが流れた頃、幼稚園ではホールの時間に季節のお話しをしました。
 
日本の季節には四季があります。そしてもちろん私達が住んでいる羽咋の町にも美しい四季があります。
 チューリップや桜が咲きほこり、ぽかぽか暖かい「春」。
 お日様ギラギラ、水あそびが気持ちいい「夏」。
 赤や黄色の葉っぱがきれい、どんぐり拾いが楽しい実りの「秋」。
 雪やこんこ、クリスマスが待ち遠しい「冬」。
 
 この四つの季節のお話しをし、解りやすく、一年をひとまわりとして、四等分した円グラフを描き、そこに「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」と書きこんで一年間の季節の円グラフが完成しました。しらゆりっこ達もこの四つの季節はよく知っている様子でした。

 本当はそれだけでいいのですが、梅雨入り宣言したばかりの六月十六日のホールの時間、しらゆりっこ達に聞いてみました。「春と夏の間にある季節。ちょうど今、毎日雨ばかりの季節の事を何て言うか知ってる?」
 しばらく考えている様子でしたが、「知ってるよ!つゆ!(梅雨)って言うんでしょ?」と、ばらぐみさんの方から答えが返ってきました。毎年お話しをしているので覚えていたのでしょうか?テレビのニュースで耳にしたのかもしれません。春と夏の間の季節はつゆ(梅雨)の季節なんだと、なんとなくですが答えが返ってきました。
 幼稚園のあじさいがいつもの所にきれいに咲き、ちょっとした雨上がりの外遊びの時にあじさいの葉っぱの上でかたつむりを見つけたり、四月の初めに田んぼから採ってきたカエルの卵からおたまじゃくしがかえり、手足が生え、しっぽが消えて、カエルに大変身して、一匹、二匹と雨の日にお庭にはなしてあげる、そんな梅雨の季節。
 こうして白百合幼稚園の季節の円グラフには、少しだけ空間を区切って『つゆ(梅雨)』という文字が加えられました。
 
そんな梅雨の季節に、毎年私がホールの時間にする素話しがあります。まつたにみよこ作の『ももちゃんのあめこんこん』というお話しです。
 ももちゃんが三歳のお誕生日に、ママからピカピカの傘と長靴をプレゼントされ、ももちゃんは大喜び!雨が降っていないのに、お家のお庭で長靴をはいて、傘をさして「♪あめこんこんふってるもん!うそっこだけどふってるもん!あめふりごっこするもんよっといで〜♪」と歌います。そうしたら、雨が大好きなかえるちゃん、かたつむりちゃんが順番に「ぼくもあめこんこんすき!ま〜ぜて!」とやってきます。ももちゃんは次々にあめふりごっこにまぜてあげるのですが、ついに本当の雨が「ま〜ぜて!」とやってくるのです。そして、うそっこのあめふりごっこは、本当のあめふりごっこになっていきます。
 ピンクのリボンを頭に一つ付ければ、私はすっかり三歳のももちゃんです。そして、食い入るようにお話しを聞いていたしらゆりっこ達も、もう気分は主人公のももちゃんの表情です。
 お話しが終わると、今度はそのお話しをもとに、リズム遊びを展開します。元気な子どものももちゃんの表現、かえるの表現、かたつむりの表現、そして最後に雨の表現。子ども達は自由に体いっぱい使って表現します。
 そう!それは、雨の日が楽しくてしかたないももちゃん達のように・・・。

 梅雨の頃は雨ばかりでお庭で何日も遊ぶ事ができません。でもつまらない事ばかりではありません。雨の日も楽しく!この季節でしか味わえない事をみんなで共有したいと思います
 
また、七夕の日に向けて、園長先生が毎年するお話しがあります。今年は六月二十九日のホールの時間に園長先生が登場しました。

 『お星様にさわれるお話し』
 「先生はお星様をさわった事があります。宇宙の怪獣を捕まえた事もあります。宇宙人と握手したことだってあります。お星様に穴を開けた事もあるし、星屑にまみれたことだってあります。」
 しらゆりっこ達は園長先生が言葉を言う度に、大喜びで「うそー!」と叫びます。
 「お外に行って、手を地面に付けたら、地球っていう星にさわっているんだよ。地球というお星様に住んでいるかたつむりなんかは宇宙の怪獣だし、お友達は宇宙人、お砂場に穴を開けたら、地球という星に穴を開けた事になるし、お砂場の砂は星屑だよね。」
 「うそー!」と叫んでいた幼稚園の子ども達も、「さぁ、さわってみよう!」と園長先生と一緒に床に両手をつけてあれれ?

 いったい何の事だったんだろう?と思いつつ、その後お庭で、お星様にさわってるポーズを決めて「できた!」と言っているしらゆりっこ達。
 大切な物はすぐ近くにあるんだね。聞いている大人だけはなるほど!とほくそ笑んでしまうお話しでした。

 梅雨という単語も、地球もお星様なんだよというお話しも、幼子達にはまだピンとこないかもしれません。でも、もう少し大きくなった時、小学生ぐらいになった時、「あ!これ知ってる。聞いた事ある。そういえば幼稚園の時にこれのお話し聞いたよね。」と、思い出してくれたら幸いです。
この世界はおもしろい事でいっぱいだし、不思議な事でいっぱいなんだよ!というメッセージを伝えたいと思うのです。
 幼稚園の生活はそんなヒントでいっぱいなんです。

 この四月からしらゆりっこになったお友達二人の会話です。
 Aちゃん「ねえ、Bちゃん。白百合幼稚園っておもしろいよなあ〜。」
 Bちゃん「うん!おもしろいね!!」
 二人だけのつぶやいているような会話でした。
だけど、それをふと耳にした私は、大きな声で叫びたいくらい嬉しかったです。

 そうです!楽しくなければ幼稚園ではありませんもんね。いつでも楽しく、そしてみんなが大きく成長していく事を願っています。