三学期の始業式の日ホールの時間に幼稚園での一年間の歩みを「山登り」にたとえて、今までのことを振り返ってみました。まず高い山の絵を見せました。山の麓はスタート地点の四月。そこから山道をくねくね登りながら、楽しかったことや頑張ったことをみんなで思い出しながら山を登って行くのです。そして三学期までくると、山の八合目ぐらいにさしかかり、頂上まではあと少し。ここで初めて「もうすぐ一年生だね」「ばらぐみさんになれるね」というお話しになります。この話しになると、子ども達の目はキラリと輝きを増します。頂上までいくと、それぞれが憧れのクラス・学校へと進級できるということが目に見えてわかるからです。嬉しい春を迎える準備の三学期は、こうして始まりました。
 
今年は暖冬という予報でしたが、雪がたっぷり降り、幼稚園のお庭に特設ゲレンデを作り、子ども達も先生達も冬の遊びを十分に楽しめました。この時期にしかできない遊びは、たくさんの発見とステキな感動を味わえます。小さいクラスの子ども達が、雪に足を取られて立ち往生してしまう姿も、冬ならではの微笑ましい光景であります。
 
 二月の終わりには「発表会」が行われました。どのクラスも楽しく、そして堂々と表現ができたことを嬉しく思っています。
 白百合幼稚園の発表会は、楽器遊び・運動遊び・ダンスなど、各クラスの子ども達の成長にあわせて担任の先生が考えたり、子ども達と相談しながら、子ども達のやりたいことを一緒に考えて行ったりします。なぜなら、私達は発表会を『上手にできることを見ていただく会』と言うより、『大きくなったことをみんなで喜び、認め合いながら楽しんで表現する』という思いを持って行っているからです。だから白百合幼稚園の発表会では子ども達一人一人が『主役』です。そして子ども達自身が、大きくなったことをパワーに変えて、あの大舞台を十分に楽しんでいるのです。ばらぐみさんにもなると、嬉しい気持ちを前面に出して、全てにおいて全力投球。その反対に、未満児さんは前日まではりきってだしていた大きな声も、発表会当日になると、たくさんの人を前に動揺を隠しきれず涙してしまうのは、年令のなせることと言えるでしょう。もちろん今のばらぐみさんも、数年前は泣いていましたよ。
 毎年発表会が終わった後に、その会で踊ったダンスの曲が流れると、ホールに子ども達が集まってきて、元気いっぱいダンス大会が始まります。それはクラスの枠を超えて、楽しそうに踊っています。いつの間に覚えたのか、どの子もとっても上手に踊っているのには感心してしまいます。こんな風に余韻に浸る時間も大事な保育なのです。発表会が終わってしまったからといって、全てを終わりにしてしまっては、保育も子ども達の成長もそこでとまってしまうことになりかねないからです。保育とは見せるものではありません。また一つ一つのことが単独であってもいけません。白百合幼稚園は、ひとつの大きな流れの中でいろいろな経験をし、見たり聞いたり感じたりする子ども達の心の成長のための保育を大切にしています。
四月ー泣いている子、進級を喜ぶ子など、いろいろな子ども達がいました。あれから一年が経とうとしています。ステキに成長した子ども達の姿を、嬉しく思いながら事務室から眺めていた月でした。
 そして、新しい歩みが始まる春がそこまで来ています。一年間、ありがとうございました。