「書斎から」
 
園長 釜土達雄
                              
 
小さいときからそんなに身体の丈夫ではなかったわたしは、季節の変わりに目は風邪を引きやすい子でした。副鼻腔炎にはすぐなるし、中耳炎にはなりやすい。熱はすぐに出るし、熱が出るとすぐにグタッとして、元気がなくなってしまう。そんな子だったのです。
 普段は元気いっぱいなのに、ちょっと体調が悪くなるとグタッとするので、わかりやすい子だったかもしれません。自分でも、「無理しない、無理しない」と心に決めて、そこそこのところでやめてしまうようにしていましたから、肝心なときにはあてにされない子でもありました。
 あまり丈夫じゃないということは、わたしの劣等感でしたが、幼稚園の仕事をするようになって、案外重要だということがわかるようになりました。じんましんから皮膚病まで、なんでもござれ。花粉症だって、ちゃんとある。一般的な病気なら、だいたいが経験済みですから、体調の悪い子どもたちの様子がよくわかるのです。こんな病気も知っているの?と思われるような病気にもなったことがありますから、不安に思うお母さんにも、「ボクもなったことがあります」で、安心していただいた経験もいっぱいでした。
 ところが、そんなわたしにも未経験なことが出てきました。それは、年齢と共に加わる病。四十代後半に高脂血症と診断され、血液検査でチェックしながら投薬治療中。血圧も高くなり始め、要チェック。先日は二泊三日でカテーテル検査も受ける羽目になりました。そして現在は、右足の関節が痛くて、鎮痛消炎剤のお世話になっています。長いおつきあいの主治医の先生は「年ですからね」の一言。まぁ、それはわかるのだけれど、もっと他の言い方はないのかなぁとも思います。
 そんなわたしのぼやきを笑いながら聞いてくださっていた羽咋白百合学院の理事であった茶木喜代一さん。羽咋白百合幼稚園の入園式にも卒業式にも、いつも顔を出してくださっる大切な方でした。動脈瘤持ちだとおっしゃっていて、気をつけなければならないことがいっぱいあるとおっしゃっていたのに、第九なども歌いにいったりなさるアクティブな方でした。もちろんカラオケも大好き。お酒も大好き。たくさんの時間を共に過ごさせていただきました。
 そんな茶木理事が十一月十五日に心筋梗塞で突然に亡くなられたのです。ユーフォリアのお風呂から出られた直後のことでした。
 加齢による体調変化。気をつけなければならないことをゆっくりと教えていただこう。そう考えていたのに、残念です。
 寂しくなりました。