ばらぐみのお部屋から
                             古川弘恵
実りの秋、収穫の秋。ばらぐみさんにはおもしろいこといっぱいの秋でした。

例年にないほどのぽかぽか陽気の中、みんなが楽しみにしていたりんご狩り。すでに経験済のばらぐみさんは、目の前のりんごをすぐ取るようなことはいたしません。上の方や、向こうの方の木まで吟味して、りんごを選んで選んで、選んで取ろうと致します。より大きくて、よりおいしそうなりんごを見つけ何とか背伸びしてゲット!
届かない時は、先生にSOS!抱っこしてもらってゲット!でした。

収穫は全部で五個。ところがお友だちが三個・四個とゲットしていても、持ってきた袋の中身は空っぽ!なんていうお友だちが・・・。美味しそうなりんごがあるかも、あるはず・・・。そんな気持ちがいっぱいで、とことん追求するのです。 そして、吟味に吟味を重ねて、お眼鏡にかなった第一個目をゲット!
どのお友だちも大満足でりんご狩りを満喫しました。
そして数日後の暖かなある日のこと。園庭の“ワイワイ工場”(一回り大きい赤いハウス)に数人の女の子達が入って、何やらせっせせっせと作っていました。「先生!できたよ!来て来て!」
そんな声に近づいていくと、砂で作られたごちそうがいっぱい!どのごちそうにもきれいなピンク色の“モノ”がのっていました。まるで“桜でんぶ”のように鮮やかでした。
「今どき園庭にお花は咲いていないし・・・あっ!もしかして?」そう、それは椿のつぼみでした。つぼみを椿の木から拝借して、花びらを一枚一枚はがして作り上げたもの。
「そうやよ、この木からとってん!」
 きれいなものには目がないお姉さん達と、そのお姉さん達に優しいお兄さん達の仕業でした。
これも一種の収穫の秋。三本の椿さんには、先生から「ちょっとごめんなさいね」と、かわりにお詫びをしておきました。
秋も深まりばらぐみさんは一足早くクリスマスの準備に取りかかりました。
まずは憧れのハンドベル。自分の担当する音が決まって、初めはなかなか指揮をする先生の合図に集中できません。けれど、練習するうちにみんなの心が一つとなって、ステキな曲を演奏する喜びを知りました。
また、台本片手に、自分のせりふを何度も読み返しては覚えたり、自分のせりふはさておいてお友だちのせりふから覚えてしまったりのページェント(聖誕劇)。練習を重ね、不安から自信に変えていくお友だちの姿に、成長を感じ、なんだか涙が出そうになった先生でした。

当日はたくさんのお客様を前にして、緊張してしまうかもしれませんけど、どうか温かく見守ってあげて下さいね!
                   がんばれ、ばらぐみさん!









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