直線上に配置

職員室から

副園長 釜土蘭子


 今年もめぐってきた「卒業」の季節。もうすぐ幼稚園を二〇人の子どもたちが巣立っていきます。

 Dぐみさんのスタートからいた子が5人。Dぐみの途中で加わった子が2人。Cぐみの間に加わった子が7人。Bぐみの時に仲間入りしたのが2人。Aぐみになって加わった子が4人。そして、このクラスの中からお引っ越しでお別れした子が一〇人。
クラスとしてなじんできた頃に大事な仲間とのお別れ。新しいお友だちを迎えて、輪の中に入ってきたなと思ったら、また次のお別れ。そんな事を繰り返してきたクラスです。そして、強いリーダーがいなかったのも、このクラスの特徴でした。

 そんなこのクラスの為に、先生たちは心がけてきた事があります。特にBぐみさんからは、クラスの活動では相談する時間を重視すること。たなばたさまの会、クリスマス会、おひなさまの会、そこで合奏する曲は何曲かの候補からみんなで相談して選ぶこと。運動会のダンスの曲、オペレッタの物語、それもみんなで話し合って選ぶ。先生が決めたものを言われた通りにするんじゃない。みんなで決めてみんなでやってみる。その時ちゃんと一人一人が自分の気持ちを表すのも大事なこと。前からいる子も新しく加わった子も同じように意見を言って、決めていく。
担任の先生が第一候補と思っていたものが選ばれず、職員室では大慌てということも何度かありました・・・。

 それから一人一人がクラスの中のみんなと交わることも心がけてきました。
 
 卒業する20人の子どもたち。もし、この子たちが、高校で一つのクラスの中にいたとしたら、きっと「友だち」にはならないだろうなという気がします。共通の趣味も共通の興味もない。同じ部屋の中にいても交わらないような・・・。
 でも、七尾幼稚園の中で、この二〇人は「友だち」として過ごしてきました。
 いろいろな事があっても「友だち」。それが大前提でした。同じクラスの中「あの子は友達じゃない」という存在はいないのです。
 
 「お友だちの気持ちを考えて」

 そう言われて、一生懸命考えたはず。隣に座ったこの子はどんな子なんだろう。何を考えているんだろう。考えても理解できなかったこともあるかもしれない。でも「友だちだから」。いっしょに遊ぼう。いっしょにすごそう。友だちだから、「ごめんなさい」。友だちだから、「いいよ」。小さいなりに、いっぱいいっぱい考えて一緒に大きくなったんだよね。

 卒業するAぐみさん。

 ダンスの曲も合奏の曲も、お選びしてもらったけど、一曲だけ先生たちが決めた曲があるんだ。それはパラバルーンの曲、「手をつなごう」だよ。
 「みんな手をつなごう つらいときはもっと 
 力をあわせよう ほらほら手をつなごう」


 その歌詞のように手をつないで始まり、一人一人飛び出してパラバルーンを手に取り、最後はまた手をつないで終わった。その時の気持ちをぼんやりとでも覚えていてほしい。
 バラバラのようだけど、一つのパラバルーンを握った感触を。最後にみんなで手をつないだ時の達成感を。

 大好きな一人一人に心から願っています。
 君たちの横に手をつなぐ友だちがいつもいつもいてくれますように。
    
(2014年3月20日 七尾幼稚園 園だより)

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