直線上に配置

職員室から

副園長 釜土蘭子


園長先生が自分用に、「ルンバ」を購入しました。ところが自宅ではなく、主に2階の集会室や教会の礼拝堂で使用しています。
 誰もいない時に動かすので、夕方職員室にいると、上の方でカタカタ音がすると思うと、ルンバが活躍しているのです。真っ暗な寒い部屋の中でもお掃除しているルンバ。寒いとか寂しいとか人間のように文句も言わずに頑張ります。付属の装置をおくと、ここからここまでという範囲の指定もできます。掃除が終わると自分で充電器のところに戻っていきます

 製造元が言うように確かにただの掃除機ではなく、一つのロボットなのだと実感します。

 十年ぐらいしたら、スマホと連動して留守の間にこのお部屋の掃除をしてなんて指示が出せるのかもしれません。今は階段の掃除はできないけれど、形を変えたお掃除ロボットが掃除してくれるような時代がくるのかもしれません。

 百年前の人々が自動車がこんなに普及するとは思ってもみなかったように、私たちも便利さを追求して変わっていく時代の中にあります。道を知らなくてもカーナビが指示してくれるようになりました。あと数十年たてば、知らない場所にも自動車が勝手に連れて行ってくれるかもしれません。

 そんな時代だと思うからこそ、卒業前の一ヶ月、蘭子先生は一つの言葉をくりかえしくりかえし、Aぐみさんに語りかけてきました。

 「自分で考えて」

 3月になって、お天気のよい日にはサッカーを楽しむことの多かったAぐみさん。でも時にはボールがいきおいよく跳びすぎて・・・。小さいお友だちに当たりそうになったりする。ひやっとした後、蹴ったお友だちを呼び止めて話しかける。

 「もっと考えて・・・」。
 

 今は何をするべき時なのだろうか。
 今は何をしてはいけない時なのだろうか。
 

 どんな便利な時代になっても、いや、便利な時代だからこそ、人は考えて生きていかなくちゃいけない。
 人に言われたから何かをする、それならロボットだってできることになる。自分で考えること、それは神様が人に与えてくださった大切な「力」なのだから。


 素直なお気持ちをたくさん持った十七人の子どもたち。お友だちと、心が通じ合い個性をわかりあってきたクラスの中では、そんなにいっぱい考えなくてもよかったかもしれない。
 でも幼稚園を卒業したら、また新しい環境の中にいく。わかってもらえないことがいっぱいあるだろう。そして大人になるまではもっともっといろいろな事がある。素直な君たちだから、自分の考えより周りの考えを優先してしまうかもしれない。
 でもその時、誰かに言われた通りにするのではなく、自分で考えて自分の道を歩んでほしいと思う。

 卒業おめでとう。

神様がいつもあなたがたと共にいて守ってくださるように。
    
(2013年3月22日 七尾幼稚園 園だより)

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