直線上に配置

Dぐみのお部屋から

担任 堂脇真規子


 先日、報じられた北陸の春一番。とはいえ、雪がちらついたりしています。それでもあっという間に三月中旬。少しずつそこここに、春の息吹が感じられるようになってきました。
 お庭を一回りすれば、自然の中で春に向けての準備が始まっています。Dぐみの窓からも感じられる“春”。先日は、Dぐみの窓から園庭の“春探し”をしてみました。真っ先に見つけたのは、プランターにいくつも伸びている小さな芽。「みどりいろ!」「こんなかたち」と、両手を合わせまねて見せたり。♪小さな庭をよくならして、小さなたねをうえました、ぐんぐん伸びて…♪の手遊びのよう。それは去年のある日、みんなで植えたチューリップの球根からの小さな芽。上から土の布団をかけて、土の中に潜っていたはずなのに、今地面から「こんにちは」と、顔を出しています。
 卒業や進級をひかえた三月。お友だちと歌っている『思い出のアルバム』のように♪あんなことこんなことあったでしょう♪と、小さいクラスにとってこの一年。振り返ると驚くほどの変化に満ちていたのではと思います。
 それぞれの入園の頃。お友だちがいて、賑やかで楽しそうな幼稚園。それがお母さんやお家の方と離れて過ごすことがわかると、「ママいく!」「イヤもん」と涙のお顔に。誰もがどこかで経験すること。そのそばにはいつも、お友だちの姿がありました。頭をなでたり声をかけたり、手をつなごうとしたり。小さいなりに気持ちに寄り添おうとしてくれたのでしょう。その後、少しずつ周りに目を向けるようになり、世界が広がってくると笑顔に変わってきましたね。新しいお友だちが来ると、今度は小さいながらに「だいじょうぶよ」と、かつて自分に向けられていた同じ眼差しで関わろうとする姿も見られるようになりました。経験したことは、心のどこかで覚えているのですね。
 お部屋には、自分の棚、場所があることを覚えました。もちろんお友だちの場所も。道具は自分のものを使いますが、おもちゃはお友だちと一緒に。使っているものを勝手に持って行ってはいけないことも経験しました。そこで、お友だちと楽しく過ごすルールがあることを知りましたね。
 身の回りのことを手伝ってもらったり、またしてもらったりしていたことを、自分でしたいと思い始めました。それに伴い、たとえうまく出来なくても「自分で!」の言葉が多くなってきましたね。自立への第一歩です。
 先日の身体測定では、四月からCぐみになる子たちにスイミングのことを話すと、着脱にやる気十分。「できない!」という前に何度もチャレンジ。裏返しも直してみたり、「せんせい、みて!」と、たたんで見せてくれたりしましたね。
 先日からは、卒業のAぐみさんのことを考えて、お祝いのプレゼントをCぐみさんとご相談。「Aぐみさん、やさしかった」「一年生になるの」と話しながら、えんぴつ立てを作りました。Cぐみさんと少しずつ作る部分をやりとりして、「お願いします」とお部屋に持って行ったり、また戻ってきたりすることも楽しそうでしたね。お祝いのお歌と言葉も相談して決めました。ご卒業の時に披露させていただきますね。
 笑ったり泣いたりしながら、Dぐみのお部屋で過ごしてきました。喜怒哀楽の表現が大きいDぐみさん。今は笑顔で「ピンクバッチのCぐみさんになる!」「Dぐみおにいちゃん(おねえちゃん))なる」と、楽しみにしています。それぞれ一つずつ大きくなることを感じて…。それでいいのです。次は、どんな成長の姿をみせてくれるでしょうか。チューリップの花が咲く頃が楽しみです。ご協力、本当にありがとうございました。
 
(2012年3月16日 七尾幼稚園 Dぐみのお部屋から)

トップ アイコン今月のトップページへもどる

直線上に配置