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Aぐみのお部屋から

担任 澤田 愛子


 冷え込みが厳しかった冬から少しずつ春の気配を感じるようになってきた今日この頃。Aぐみのみんながたくさん親しんできたお庭には、クロッカスのお花が咲き始め、桜の芽が顔をだし、つくしもがんばって背をのばそうとしています。卒業を間近に控え、新たな一歩を踏み出そうとしているAぐみさんのお顔はなんだかとっても希望に満ちあふれています。

 四月。憧れのAぐみのお部屋、ピカピカの青色バッチ、新しいお場所の靴入れ。そのどれもにワクワクし、とっても誇らしげな表情をしていたみんなでした。幼稚園で一番大きなお兄ちゃん、お姉ちゃんになったことの喜びを胸いっぱいに感じていましたね。そして、初めてのお椅子並べ・片付け、ベランダのプランターの水やり、金魚のエサやりのお当番のお仕事を進んで頑張る姿がありました。Aぐみさんになったら自分だけではなく、みんなのためにも頑張るということの大切さや喜びを実感しているようでした。楽しみにしていた『イースターの卵さがし』では、お庭に元気に飛び出し卵を一生懸命探すみんなの姿が印象的です。「こっちのおててに一個、こっちのおててに一個、あわせてニコ!」の合い言葉と共に、満面の笑みを浮かべていましたね。

 五月、お祭り大好きなみんなで、でか山ツアーに行きました。大きなでか山を見つめる眼差しが五月のお天気のようにキラキラで爽やかだったことを思い出します。五日の子どもの日に向けてのこいのぼり作りでは、三角のお口をした鯉のぼりを作りましたね。うろこは金と白の絵の具とタンポを使って、クルっとひねりながら押し、作っていきました。今にも泳ぎだしそうなこいのぼりさんが完成したのでした。また五月には、『母の日』がありましたね。大きな画用紙いっぱいにお母さんのお顔を描いたり、プレゼントを作りました。初めてプラパンに挑戦し、お母さんのお顔が描かれたかわいいキーフォルダーが出来上がりました。どのキーフォルダーもとっても素敵でした。お母さんが大好きな気持ち、感謝の心がたくさん詰まっていましたね。きっとお母さんにお気持ちしっかり伝わったと思います。新緑のこの季節、夏に向けて、野菜の苗を植えました。今年もミニフルーツトマトのアイコを植えてくれたみんな。「アイコちゃん早く大きくなってね!!」とお声をかけながらお水やりをしてくれたのでした。実が熟した日には「アイコが赤くなったよ!!」と、大喜びしていたみんなでしたね。また他のお野菜にも変化や成長を感じるとみんなで報告しあって、大切に育てる姿がありました。

 保育参観があった六月。お家の方が来てくださるのことを本当に楽しみにしていたAぐみさん。「明日はAぐみさんの番やね!」と、前日にドキドキ。お部屋の時間では、時の記念日にちなんで時計、時間のお話をしました。そしてかたつむりのユラユラ時計作りに挑戦しました。この週は、お部屋にあふれている数字にふれ、カレンダー作りにも取り組みましたね。数字や時間という概念にふれ、この活動から時間を意識するようになっていったAぐみさん。お友だちとの会話の中にも自然と時間を意識したお声が聞かれるようになっていきました。『花の日礼拝』『花の日訪問』では、日頃お世話になっている方々に感謝の気持ちと共に花束をお届けしました。幼稚園の代表として、大きな役割を担っていたAぐみさん。花束と一緒にしっかり感謝の気持ちを伝えることができました。いつも支えてくださる周りの方々に目を向け、接する機会を通して、さらに大きくなった喜びや自覚を感じることができたのではないかと思います。また『父の日』には、毎日お仕事を頑張ってくれているお父さんに“お父さん頑張れ風鈴”のプレゼント作りをしました。カメラのフィルムケースで、お父さんのお顔を作りました。また、パンジーのお花で押し花にも挑戦して、飾りました。揺れるたびに鳴る鈴の音が、感謝の気持ちを伝えます。周りの方々に支えられて大きくなったことを実感するAぐみさんでした。そのお気持ち、これからも大事にしてくださいね。
 『たなばたさまの会』に向け、新しい楽器“ハーモニカ”に挑戦しました。はく音、すう音があり、なかなか難しいハーモニカ。最初はなかなかうまく音が出ず、不安なお顔や悔しいお顔を見せていたお友だちもいました。でも、お友だち同士励ましあったり、教え合う中で、みんなでできるようになっていきました。その喜びを分かち合っていたAぐみさん。たなばたさまの会でも素敵な姿を見せてくれたのでした。

 七月。七尾市の年長児が集まる『ちびっこカーニバル』に参加するため、よさこいの練習を始めたAぐみさん。少しでも早く覚えたい、うまく踊れるようになりたいと、毎日真剣な表情で取り組んでいました。踊り終わると汗びっしょりになって、お茶をごくごく。「よーし!また頑張るぞー!!」と気合いを入れて、再びよさこいに集中するみんなでした。特に課題曲だった“あとひとつ”の曲が大のお気に入りで、よくお歌を口ずさみながら楽しく踊ってました。ちびっこカーニバル当日も暑い中、本当に元気に頑張りましたね。

 夏休みに入り、みんなのお待ちかね『おとまり会』がありました。大きな荷物を持って、ドキドキワクワクでやってきたAぐみさん。Bぐみさんのときにも一度経験しているため、お泊まり会の流れがわかっていて「次はこれをするんだよね!」と、ウキウキのお声が聞かれました。力を合わせて頑張ったスイカ割り。虫取りあみとカゴを持って探検隊の気分で出かけた小丸山公園。お母さん方が作ってくれたカレーライスはどうしてあんなにおいしいのかな?たくさんおかわりしていましたね。バスに乗って出かけた夕方のドライブ。そしてキャンプファイアーに花火♪お風呂に入って、ぐっすりおやすみなさい…みんなどんな夢を見たのでしょう?お家の方と離れて過ごす幼稚園での夜はみんなにとっては特別。朝さわやかに目覚めたみんなの表情には昨日までとは、何か違った自信に満ちあふれていたのでした。
 八月の終わりには『夕涼み会』がありましたね。夕方からのお祭りのような幼稚園に心躍りました。また夏期特別保育では、水遊びもたくさん楽しみました。こんがり日焼けしたみんなの姿がとってもたくましく感じたのでした。

 九月。二学期最初のお楽しみは『秋の遠足』。お家の方と一緒に大型バスに乗って、のとじま水族館に行きました。水族館に入るとまずお出迎えしてくれたのは、大きなジンベイザメ。優雅に泳ぐジンベイザメの姿におめめをまんまるにして、魅了されていたみんなでした。また、大きな水槽のお魚さんたちを眺めながら水族館の中を進むと、海の生き物コーナーに到着。そこでは、腕まくりして、色んな生き物を捕まえたり、触ってみたり、ニコニコ顔で楽しんでいるお友だち、ちょっぴりこわいけど、勇気を出して触ってみようとするお友だちと、それぞれ海の生き物とふれ合い、貴重な経験をしましたね。みんなとだからなんだか特別な時間を過ごすことができた遠足になりました。

 運動会に向けて、毎日運動会ごっこを楽しんだ九月。体を動かすことが大好きなAぐみさん。バトンリレー、跳び箱・マット、組体操、パラバルーンと初挑戦が盛りだくさん。バトンリレーでは「はい!」と大きなお声と共にお友だちにバトンをつなぎ、最後までお友だちを精一杯応援していました。バトンと共に「頑張れ!」というお気持ちも繋いでいたみんなでしたね。毎日どのチームが勝つか、接戦が繰り広げられていました。跳び箱では、「今日は何段?」「早く跳び箱したね!」と、みんなの熱い気持ちが伝わってきました。毎日一段一段、跳び箱という大きな壁を乗り越えていことする前向きな姿がありました。秋の遠足を振り返りながら楽しんだ組体操。どんな生き物がいたかや、その生き物の特徴を考えて、体で表現することを楽しみました。みんなのアイディアがたくさんつまっています。やはりAぐみさんの心に一番残っていた生き物は、ジンベイザメでした。どんなふうに表現しようかと、みんなで試行錯誤しました。考えた結果、大きな青い布をかぶって表すことになったのです。ジンベイザメと言えば、体中にある斑点がトレードマーク。みんなで青い布にたくさんの斑点を貼っていきました。「もう一枚!もう一枚!」と何枚も何枚も本当に楽しそうに自由に貼っていたAぐみさん。出来上がったジンベイザメの布に大興奮。布の中に入っている間はAぐみさんだけの特別な空間。その中で、どんな風に見えているのかな?とわくわく考えながら、一生懸命表現していました。小さい頃からみんなの憧れだっが、パラバルーン。「パラバルーン楽しみー♪」というお声がよく聞かれ、やる気満々、気合い十分だったみんな。心を一つに頑張りました。“Journey Journey ボクラノミライ”のリズミカルな曲に合わせて毎日元気に踊りました。そして迎えた運動会当日。イキイキとした笑顔あふれる運動会となりました。一生懸命頑張ることの素晴らしさ、やり遂げることができたときの達成感。そして何より団結力が深まりましたね。最高の運動会でした。

 秋も深まり、『いもほり遠足』『焼きいも大会』『りんご狩り』『白菜、大根収穫』などたくさんの秋の収穫、味覚にふれることができました。そして『収穫感謝礼拝』『おもちつき大会』では、秋の実り、収穫に心から感謝し、喜ぶことができました。おもちつき大会は、つきたてのおもちにあんこときなこをつけることが楽しくて仕方ない様子だったAぐみさん。「もっとつけたいなぁ♪」というお声も聞かれました。みんなで持ち寄ってお野菜でお母さん方が作ってくれためった汁と一緒におもちをいただきました。みんなニコニコ顔で味わっていましたね。そしていろいろなものを大切に育ててくださっている周りの方々への感謝の気持ちをしっかり持つことが出来ました。

 十二月。幼稚園はクリスマス一色に。お部屋ではハンドベルに挑戦しました。みんなが持つ一つ一つの音が重なり合って、奏でるハンドベル。心が重なった瞬間、素敵な音楽となるのでした。また、Bぐみさんと共に演じたイエス様の生誕劇『ページェント』では、初めて挑戦するBぐみのお友だちを引っ張ってくれました。自分で決めた役に愛着をもって一生懸命演じていました。また、ウィンターワンダーランドの合奏では、Aぐみさんらしく元気いっぱいな姿がありました。会当日は、みんなで大好きなクリスマス、大切なクリスマスをお祝いすることができました。

 新しい年、二〇一二年を迎え、「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。」の元気なご挨拶でスタートした三学期。まずはお正月ならではのお遊びを楽しみました。羽根つき大会やカルタ大会、すごろくや福笑いなどなど。また、書き初めにも初挑戦。今年の干支『たつ』の字を書きました。墨、半紙、筆、下敷き、文ちんと全て本物を使って、本格的にトライしたのでした。和の心にふれ、とっても貴重な時間になりました。それから、自分の名前の頭文字を使って言葉を考え、カルタ作りにも挑戦しました。それぞれユニークな言葉が飛び出し、絵札作りもそれに連動した絵を楽しく描いていAぐみさん。自分だけのおもしろカルタが出来上がりました。
 そして一月と言えば、お楽しみの『クッキー作り』。何日も前から楽しみにしていたみんな。当日はエプロン、三角巾をつけ、気合い十分でのぞみました。クッキーの生地を平らにのばし、好きな形の型をぬき、自由にかわいくトッピング。オーブンに入れて焼き始めるところもしっかり見届けました。作っている途中、クッキーが焼き上がるにおいに、「あーいいにおい♪」「早く食べたいなー!!」と、いても立ってもいられない様子だったAぐみさん。出来がったクッキーを一口試食したときには、もう大大大満足の表情で「おいしーい!」のお声。BCDぐみさんにも一口お届けすることに。BCDぐみのみんながおいしそうにクッキーをほうばる姿を見て、とっても嬉しそうだったAぐみさん。あまりにもおいしいクッキーに「おかわりー!」というお友だちもいて、またまた嬉しそうなAぐみのみんなでした。お友だちと一緒に作る喜び、食べる喜び、そして、人のために作る喜びをしっかりと味わうことができました。大成功のクッキー作りでしたね。

 二月に入り、お部屋ではおひなさまの会に向けてのご相談を楽しみました。ピアニカに初挑戦したAぐみさん。息を吹き込むことと5本の指を使って鍵盤を弾くことを同時にするというのは、とっても難しいことでした。昨日弾けなかったところが今日は弾けるようになったという喜びを感じ、毎日着実に上達していったのでした。そして、オペレッタは『ピーターパン』のお話をすることになりました。役決めでは、それぞれの思いがあり、なかなか決まらず…長い話し合いをする場面がありました。泣く泣く譲る形となっお友だちもいました。でもそれぞれが納得し、自分の役に自信と誇りを持って、一生懸命演じることができましたね。毎日、なんだか不思議でハラハラのネバーランドを楽しみました。
 また二月には、「みんなで力を合わせて何か大きな物を作ろう!」と、共同製作のご相談をしました。テーマはみんなから提案のあった『宇宙』。みんなのアイディアがいっぱい詰まっていました。製作の中で「ぼくは○○係をするね!」「じゃあわたし○○するからよろしくね!」など、先生が指示を出す前にすでにみんなで話し合って連携し、協力して製作を楽しんだのでした。お互いの気持ちを受け入れならがら作ることができた素敵な宇宙。壮大な宇宙。とっても素敵でした。

 そして三月。卒業に向かっての毎日となりました。小学校という期待に胸を弾ませるAぐみさんです。みんなで四月からそれぞれ入学する小学校を巡ってきました。バスの中ではみんなのランドセルの色や、小学校のお話で大盛り上がり。みんなで『一年生になったら』や『さよならぼくたちのようちえん』のお歌を歌いました。元気いっぱい、希望いっぱいのみんなです。もうすぐ卒業です。新しい一歩に近づき、ドキドキわくわくな反面、不安は誰しもあることでしょう。でもAぐみさんなら絶対大丈夫!自信をもって前に進んでいってほしいと思います。

 「先生ドッヂボールしたーい!!」先生は何度この言葉を聞いたことでしょう?(笑)。体を動かすことが大好きで、汗をいっぱいかいて元気もりもり。そして毎日が真剣勝負で負けず嫌い、熱い気持ちを持っている。でも小さい子やお友だちに優しくできるあったかい十四名の男の子。どんなときも冷静で、しっかり者。ときには澤田先生につっこみも入れてくれる、そして一つ一つの活動をいつも楽しく支え、盛り上げてくれる、お世話好きで優しい女の子十三名。計二七名の仲間たち。澤田先生はそんなみんなが本当に大好きです。ワイワイにぎやかにかけ抜けてきた一年間。一つ一つが今も鮮明によみがえってきます。楽しかった日々、まぶしい笑顔、言葉の数々…決して忘れません。かけがえのないこの日々を励みに、自信にかえ、小学校という新たな一歩を踏み出してください。素敵な出会い、成長を心から願い、応援しています。
 いつでも幼稚園に遊びにきてくださいね。大きくなったみんなに逢える日を楽しみにしています。

  卒業
   おめでとう!!
  
 
(2012年3月16日 七尾幼稚園Aぐみのお部屋から)

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