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Dぐみのお部屋から

担任 堂脇真規子



 二〇一〇年が始まり、年末年始のお休み明け。お話ししたいことをいっぱい持って登園のDぐみさん。一人が「おもちたべたよ」と言うと、「ぼくも!」「わたしも!」と同じ経験をそれぞれアピール。「おぞうに、たべた」「2こたべた」「しょうゆつけたよ」「まるいおもち」等々、一つの話題がどんどん膨らんでいきました。『お友だちとおなじ』が、何だか嬉しい様子でしたね。
 お部屋でその日の数字をみて貼る、おはようぶっくのシール。7種類の中から好きな模様をお選びしますが「どれにしようかな?」。時には、周りのお友だちは何を選んだかな?と参考に。そんな時にも「○○ちゃん、おんなじねー」という言葉がよく聞かれました。『おなじ』ということに気づき、また違うことに気づく。気づいたことが、またさらに広がって、新しい発見につながっていく。そんな今のDぐみさんです。
 雪がチラチラふると、すぐに「ゆきだるま作りたい!」と、期待感たっぷり。1月には、園庭で待望の雪遊びの経験もしました。真っ白になった園庭。雪の上を歩いて、手で握って触って「つめたーい!」。不思議な感触でしたね。みんなで作った雪だるまは、Dぐみさんのお部屋の窓から見える所に。「ちいさくなったよ」「ごあいさつしているみたい」と、日々溶けて変化していく様子がまた不思議だったようです。
 そして、お部屋である日始まった変身ごっこ。魔法の杖でお姫さま王子さまに変身です。たくさん並んだ中から、「どれにしようかな?」とよーく考えてお選び。思い思いのドレスやスーツに変身していきます。自分で着替えることも、いつもに増してやる気十分。変身後は、表情まですっかり『そのつもり』に。その様子は、とても興味深いものでした。

 次に、普段親しんでいる絵本の登場人物に変身してみました。『てぶくろ』の絵本の動物さん。「ぴょんぴょんがえるだよ」と、ピョンピョン跳んで出てきたり、「のっそりくまだよ」と、大きなくまをイメージしてドシンドシンと歩いてきたり。「くいしんぼねずみ」は、何か食べているまねをしていたり。こちらも、表情までなりきって楽しそうに演じています。周りで見ているDぐみさんも楽しそう。『つぎは、自分も』と、お友だちの姿に刺激を受けている様子でしたね。 
 てぶくろの中には、いつもは恐がられるおおかみさんも冬の寒さには勝てず、「中に入れて」とやって来ます。それも「いいよ」と入れてあげたりするのです。もちろんおおかみだからといって「たべちゃうぞー」なんていうことはありません。また、こんな小さなてぶくろに、大きなくまが入るなんて…と思ってはいけません。物語の世界では、だいじょうぶ。小さなてぶくろの世界の中では、みんな仲間なのです。それぞれがみんなに「なかにいれて」「(はいっても)いいですよ」。繰り返しのやり取りを通じて、受け入れていく。それが大切なのです。これは、子どもたちの日常の生活の中にもおこりうること。今のDぐみさんは、自分だけの遊びから、周りに目を向け始めた時。一人もいいけど、お友だちと「いっしょ」も楽しい。そんな喜びも感じて演じています。みんなの前ではドキドキすることもあります。それでも、日々楽しんできたお気持ちを大切に思い、おひなさまの会では暖かく見守って下さいね。
 お部屋では、ヨーグルトカップとペーパー芯を使った、自分のおひなさまも作りました。お顔も自分で描きました。作ったDぐみさんのお顔にチョッピリ似ているようです。
 楽しい『変身』と共に、おひなさまの会を楽しみに過ごす日々。寒い冬の後に、もうすぐ来る春。次の大きな『変身』への準備をしているDぐみさんです。    
(2010年2月24日 七尾幼稚園 Dぐみのお部屋から)

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