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Dぐみのお部屋から

担任 堂脇真規子


 ある日のこと。Dぐみのお部屋の窓からお庭に目を向けると、お部屋の近くのプランターから小さな芽が。大きい芽、小さい芽、あちこちニョキニョキ。それは、みんなで植えたチューリップの芽だったのでした。思わぬ方向に芽が出ていたりしますが、小さなDぐみさんたちのなせるわざ。それも何だか愛しく感じます。今年は、去年より少し早い時期にチューリップのお花に会えるのかな?と思ったりしながら、その日が来ることをお部屋では今から楽しみにしています。
 お休みのお友だちの名前をあげて、「○○ちゃんにもみせてあげる」の声も聞こえましたね。風邪などでお休みのお友だちがいると、「せんせー、○○ちゃんいないよ」「かぜひいたん?」とお友だちを気にする気持ちを表す声もよく聞こえます。
 思えばそれぞれの入園の頃。一度は「ママのとこ、いく」「イヤもん!」の声が聞こえたものでした。大好きなお母さんやお家の方から離れて過ごす初めての日々。それは当然のこと。幼稚園は、にぎやかで自分と同じような年齢のお友だちがいっぱい。自分とお家の方との関係で成り立っていた世界が、大きく変わっていきましたね。お家ではない場所。でも、安心して過ごす自分の場所に。「○○ちゃんは?」の声は、『自分が』だけでなく、お友だちや先生がそばにいることに気づき、楽しいと感じる気持ちを受け入れた成長の声なのです。春、夏、秋、冬。そうして過ごし、また春が巡って来ようとしています。   

 








 先日は年長ぐみのAぐみさんのお部屋へ招かれて、卒業の共同製作『思い出ビデオ』を見てきました。前に置かれたイスに座り、Aぐみさんの言葉や描いた絵を興味深そうに見ていましたね。
 泣いた時や困った時、誰がいうともなく、頭を優しくなでてくれたり、手をつないでそばにいてくれたAぐみさん。その姿をいつしかまねてきたDぐみさん。新しいお友だちがくると「ママー」の声に、もらい泣きすることなく「ママくるよ」と、言えるようになってきましたね。

 そんなAぐみさんの卒業に、何かプレゼントを、とみんなでご相談。Cぐみさんと一緒に作ったのは『えんぴつたて』。牛乳パックを利用し画用紙等に、のりをつけていく姿に、成長を感じたりもしました。「Aぐみさんには、まだナイショ」と、贈る日に期待感を持ち、お口の前に人さし指を立て『シーッ!』でしたね。
 ♪おめでとう♪のお歌やお祝いの言葉も、Cぐみさんと相談して歌っいます。♪おめでとう♪の後の手拍子の所が、どの子もとてもお気に入り。自信たっぷりにパチパチと鳴らしています。卒業式でも、きっと笑顔でAぐみさんのために歌い、お祝いしてくれることでしょう。 
 
 そして、いよいよAぐみさんが卒業すると自分たちも一つずつ大きくなることを、知っているDぐみさん。もうすぐやって来る進級の時。お道具の整理をしながら、気持ちはさらに膨らんできました。「あたし、Cぐみになる!」「ピンクのバッチねんよ」「Dぐみのお姉ちゃんねんよ」等々、期待感にあふれた声が聞こえてきます。
 もう大丈夫。お庭のチューリップの芽やあじさい、桜の木の芽のように、成長の春が来る準備は、Dぐみさんのお心の中にしっかりと芽吹いています。
 この一年間、いろいろとご協力本当にありがとうございました。 
(2009年3月21日 七尾幼稚園 Dぐみのお部屋から)

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