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職員室から

事務主事 釜土蘭子


  波瀾万丈の二〇〇七年度が終わろうとしています。昨年度末に起こった「能登半島地震」の後遺症と戦い続けた1年間。改修工事をはじめとして、いつもの年とは違う事が様々におこったのでした。お庭を使えない期間があったり、提出書類に追われる日があったり。その為、今卒業する子供達を前にして、「これもしてあげたかったなぁ」「これもさせてあげたかったなぁ」、そんな思いがかけめぐります。


 今のAぐみさんが入園した頃、「おとなしい子供達だなぁ」と思いました。たぶん別に我慢してそうなっているわけではないのです。でもなんだか気持ちを発散させることが少なく、周りの気配を感じてしまうような・・・。
 もっと自分の気持ちを思いっきり出してもいいのになぁ・・・。もっとやりたいこといっぱいすればいいのになぁ。いや、もっと自分で「したい」と思うことを見つけてほしいなぁ。

 長男長女の多いこのAぐみさんは、どこか慎重な子供達だったのです。それは末っ子蘭子先生から見ると、ちょっと歯がゆい気がしました。

 

 卒業する子供達へ

 蘭子先生がずっと君たちに対して思っていたこと。それは、

 「もっと楽しもう!」でした。

 入園した頃、緊張して周りを見ていた君たち。すぐに「あれがしたい!」「これがしたい!」と言うよりは、先輩たちのする遊びを遠くから眺めていたね。しばらくして遠慮がちに遊び始めた。でも当時あまりにもパワフルだった一つ年上のお兄ちゃんお姉ちゃんにはかなわない感じ。振り回されることも多かった。
 先生の言うことを君たちはよくきいてくれた。手はお膝において待っていてね。そんな先生の言葉を忠実に守ろうとする君たち。それはいいことなんだけど・・・。

 周りをみまわしてごらん。そこにはおもしろいことがいっぱいある。楽しいことがいっぱいある。それをやってみてごらん。みているだけじゃだめだよ。自分でやってみなくっちゃ。失敗してもいい、うまくいかなくてもいい、挑戦しなくちゃ。
 思い切ってやってみたら、世界が一つ広がるよ。
 ささやかな事だけど、チラシをくるくる丸めたら、いろんなものができたよね。ドングリごまをいっぱい回したら、長く長く回せるようになったよね。逆さま回しだってできるようになった。できるようになったら楽しかったでしょう。そして次にはまた、何かに挑戦したくなる。

 神様がおつくりになったこの世界は、すばらしいものです。

 確かにつらいことがあり、悲しいことがある。自分ではどうにもならない困難にもぶつかるだろう。自然災害があるかもしれない、病気になるかもしれない。挫折もたくさんするだろうと思う。いやになっちゃうことも多いよね。
 だけど、やっぱり、生きることはすてきな事です。これからの長い人生の中で、おもしろいことをいっぱい見つけてください。すてきなこと、いっぱいつかまえてください。

人生をいっぱい楽しんでください。
 卒業おめでとう。蘭子先生にとって忘れられない困難な年だった二〇〇七年、君たちがそばにいてくれて、本当に楽しかったよ。ありがとう。
(2008年3月21日 七尾幼稚園 職員室から)

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