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職員室から

事務主事 釜土蘭子




 新居に引っ越しして一ヶ月が過ぎました。「変化」が苦手な私にとっては、一年に2度も引っ越しをするというのは大変な事でありました。そんなわけでまだまだ落ち着かずに毎日を過ごしております。どこに何を置くのがいいのか、試行錯誤の日々です。毎日、「あれはどこにある?」を繰り返しています。それはほんのささやかなものです。爪切りとか、体温計とか・・・。たいていどこのお家でも置く場所が定まっているのではないかと思うもの。けれどそれが定まっていないので、毎日あちこち探す羽目になるのです。私なりに、置く場所を決めてもそれがもう一人にとって納得のいく場所でなかったりすることもあって、小さなものの場所が決まらないのです。
 いつもと同じところにいつもと同じ物がある。これは生活の場にとってとても大事なことだなと思います。
子供達の幼稚園生活にとって、「場所」はとても大事なものです。「自分の靴を置く場所」「自分のカバンを置く場所」「自分のお道具が入っている場所」、そこには自分の名前やマークがついています。自分の持ち物とお友達の持ち物を区別し、自分の持ち物を自分である程度管理する事、それは幼稚園の毎日で子供達に身につけてほしいことの一つです。
 冬になると、これにジャンバーが加わり、帽子が加わり、手袋が加わります。また冬だけお家から「あたため弁当」を持ってくる子もいるので「お弁当バッグ」が加わる子もいます。「自分のもの」が増えるたび、子供達はまた一つ学ぶことがあるのです。
 「自分のもの」がしっかりわかると、お友達のものにも興味を持ち、「これは・・・ちゃんの」とわかってくれます。幼稚園で何か落とし物があったとき、子供達の方が「これは・・ちゃんのだよ」と教師に教えてくれます。
 らんこ先生のくじびきやさんで今年人気なのは、ポケモンの丸いカードです。おおあたりがでないともらえないこのポケモン。丸い紙にホイルを貼ってそれに、ポケモンのホイルをまた貼ってという、簡単なものなのです。 ところが、これもよく落とし物があります。手作りで一個一個違うのですが、さすがに誰の落とし物かはらんこ先生にはわかりません。でも子供達に聞くと、「これは・・くんの」とすぐにわかります。ウソをついて自分のものにしようという子は一度もないのは、らんこ先生にとってはとても嬉しい事です。「自分のもの」と「お友達のもの」がちゃんと区別ついているのです。
 卒業式まであと一ヶ月となりました。卒業する子供達にとっては「生活の場」が変わる大きな時を迎えようとしています。進級する子供達にとっても、「自分の・・・」が変わる時。全ての「場所」が変わる時です。年度の最後の一ヶ月は、そんな変化の時を不安がらずにしっかり迎えられる自信を、一人一人の子供に与えてあげたいと願っています。 (釜土 蘭子)
(2008年2月26日 七尾幼稚園 職員室から)

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