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職員室から

事務主事 釜土蘭子


「幼稚園は「壮大なマンネリズム」の中にあります。
 毎年春になればチューリップのお花を見て「さいた、さいた」と歌い、夏になれば水遊びをし、秋になれば落ち葉をひろい、冬になれば雪遊びをするのです。
 子供達の遊びも流れがあり、「十一月になったらお金ごっこをする」なんていうのも定番になっています。
 けれど、相手(こどもたち)は毎年違うので、同じ遊びでも盛り上がる年もあればどうしてもあまり興味を示してくれない時もあるのです。
 今年、意外にとても盛り上がったのは「どんぐりゴマ」でした。
 「魔法のリスさんが幼稚園にドングリを持ってきてくれた」というところから始まるドングリでのお遊び。その中でももっともポピュラーなお遊びが、ドングリごまです。もともとAぐみさんはかなりの盛り上がりがあり、「去年から持っている最強のコマ」なんていうのを持ってくる子もいたのです。でもBぐみさんは・・・。なんとか盛り上げたいと思ったところから、「ドングリごませんしゅけん」をすることにしました。机の上でドングリゴマを回して、誰のコマが一番最後まで回っているかを競争するというものです。

 最初の頃は「回す」事が上手にできなかった年中さん。優勝者といっても偶然勝ったのかな?という感じだったのです。ところがその後「練習」した子供達。上手に回せるようにあっちでもこっちでもドングリゴマを回す姿がみられるようになりました。年長さんの中には逆さ回し(ドングリが上で楊子が下になって回す)ができる子も現れました。
「回す」技術がある程度になってくると、「最強のコマ」を探すようになってきます。ドングリごまを作っておいておくと、「強いコマ」を求めて、試しに回してみるようになりました。そしてだんだん見ただけでどれが強いかわかる子もでてきたのです。軸がしっかりしているか、重さはどうか。科学の公式は知らなくても、遊びの中で体感している子供達なのです。

 「ものは頭で作るな。手でつくれ。」

 ホンダの創業者本田宗一郎さんが技術者によくそう話したのだそうです。ものづくりは最後は手。頭の中で考える事も大事だけれど実際に自分の手で作る事はもっと大切なのでしょう。自分の手を動かして何かをする事。それはきっとコンピューターの時代になっても変わらずに人としての基本になるもののはず。
 指先を使って回すという繊細な動き。この子達が大きくなった時、その手が何を作り出してくれるのか・・・。そんな事を楽しみに思いながら、この秋、とってもたくさんのドングリゴマを作ったらんこ先生でした。                
(2006年12月15日 七尾幼稚園 職員室から)

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