アムネスティ・インターナショナル日本は、長らく改正の動きがなかった難民認 定手続きに関する法案が今国会に提出され、日本の難民認定制度に関する議論が活 発化することを歓迎いたします。しかし、政府から提出される予定の改正法案に関 していくつかの懸念すべき点があり、また、運用次第で、日本の難民認定制度が現 状よりも悪化するおそれがあると考えます。
1. 難民認定申請期間(六ヶ月以内)や入国ルート等が在留資格・仮滞在の付与に影 響すること
この改正案では以下のような問題点があります。
1)難民認定を受けた者への在留資格の付与についての4項目の要件((1)難民認定
申請を6ヶ月以内に行っていること、(2)迫害を受けるおそれがあった領域から直接、
日本へ来たこと等が含まれる)
2)難民申請者への仮滞在の許可についての9項目の要件
(上記(1)(2)の他に「逃亡のおそれのないこと」)
認定後の在留資格付与に要件を設けることは、難民認定を受けても在留を認めら
れないという事態を生じさせることにもなりかねません。また、「逃亡のおそれの
ないこと」については、いかようにも解釈が可能であり、運用次第で担当者の主観
により仮滞在の許可が取消される可能性があると考えます。アムネスティは、難民
の保護とは関係のないこれらの要件を在留資格の付与や仮滞在許可に設けることは
難民条約の理念から見て適切ではないと考えます。
2. 「仮滞在」を許可されなかった難民認定申請者を収容しないことを明記すべき
仮滞在許可に関してのアムネスティの懸念は、「仮滞在を受けられなかった者
は収容されるのか?」という点です。現行の制度でも、難民申請者が収容されるこ
とは多くあり、難民申請者自身「第二の迫害にあった」と日本の制度を批判する人
も少なくありません。UNHCRも庇護希望者は拘禁されるべきではないとの見解を示し
ています。上記1で指摘したように、「逃亡のおそれのある」者には仮滞在が付与
されない、となっていることから、仮滞在許可を受けられなかった者の収容はまぬ
がれないようにも読めます。長期収容の果てにやっと難民認定を受けられるといっ
た難民認定制度は、難民保護の観点から考えても望ましくなく、アムネスティは、
「難民認定申請中の者は原則として収容しない」ことを明記した条項を盛り込むべ
きであると考えます。
3. 難民認定申請の不服申立制度の抜本的改善を
難民認定の異議申立審査を一次審査と同一の機関が行っている現状の改善は急
務であると、アムネスティをはじめ、難民支援に関わるNGOや弁護士からの指摘にも
かかわらず、今回の改正案にはこの点が盛り込まれず先送りとなりました。少なく
とも二次審査は独立した公正な第三者機関が行うべきとアムネスティは考えます。
この点の改善を、引き続き政府と国会に求めます。