抗 議 声 明
2002年9月18日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
本日、死刑確定者2名に対して死刑を執行したと、法務省は発表しました。執 行されたのは名古屋拘置所の浜田美輝さん、福岡拘置所の春田(旧姓:田本)竜 也さんと思われます。私たちはこの執行に対して強く抗議します。
本日の死刑執行は、これまでと同様に国会閉会中を選んで行われました。国会 の場で議員からの質問を避けるためと推測されますが、死刑という人の命を奪う 刑罰が適正に執行されたかどうか、議員やマスコミのチェックが必要であること は明白です。今回の執行に関しても、執行後に「二名の執行を行なった」と法務 省が発表したにとどまり、氏名の公表もしておりません。法務省が死刑をひたす ら厚いベールで隠し続けていることは、厳しく非難されるべきであります。
世界の過半数の国々で「死刑は野蛮な刑罰であり、その存廃に関する議論の余 地はない」というのが共通認識です。アムネスティの調べ(2002年1月現在)では、 死刑廃止国は111ヶ国、死刑存置国は84ヶ国となっています。昨年6月、欧州評議 会(フランス、ストラスブール)は、日本と米国に対して2003年1月1日まで に死刑の停止または廃止に向けての措置を講じない場合、日本のオブザーバー資 格を見直すとの決議を行ないました。このような決議がなされているにもかかわ らず、今回のように死刑執行に踏み切るとは、日本政府は国際社会の動向に敵対 する立場を選択していると言えます。
アジアにおいても、韓国で死刑廃止法案が具体的に検討されており、金大中大 統領の就任以来、死刑執行を停止しています。台湾でも2004年に死刑を廃止する 予定です。同じアジアに位置する日本も率先して「人権が守られる社会」「人の 命が最優先で尊重される社会」を実現していくべきです。その為にも、犯罪者と いえども「生きて罪を償うことができる社会」にするため、死刑制度を廃止しな ければなりません。
1993年の死刑執行再開以来、43名(本日の2名も含む)に死刑が執行されました。 毎年繰り返される死刑執行に対し、私たちは抗議してきました。法務省のかたく なな姿勢はただ単に死刑制度を維持するためだけに執行を繰り返しているといわ ざるを得ません。日本政府・法務省は、国連規約人権委員会から厳しく指摘され ているように、直ちに死刑執行を停止し、死刑確定者(現在のところ54名)の権 利及び処遇を抜本的に改善し、死刑をめぐる情報を公開し、さらに死刑廃止に向 けた国民的世論の形成に向けて努力することを求めます。