アムネスティ発表国際ニュース
(2000年6月14日19:00-日本時間-解禁)

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アムネスティ:2000年版年次報告書を発表
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AI INDEX: POL 10/03/00

アムネスティ・インターナショナル、2000年版年次報告書を発表
〜世界144ヶ国の人権状況を報告〜

人権の危機的状況は不可避ではない。回避可能であり、防止せねばならない。

 アムネスティ・インターナショナル(国際事務局:ロンドン。以下「アムネス
ティ」と略)は6月14日、2000年版年次報告書(英語版オリジナルタイトル:
Amnesty International Report 2000)の発表にあたり、世界各地で今日起きて
いる人権の危機的状況の多くは、国際社会が人権を最重要課題と位置づけること
で回避できると語った。7月に沖縄で開催予定のG8(主要8ヶ国首脳会議)に
おいても、各国首脳が、紛争予防および紛争処理の文脈で、人権擁護を最大の関
心とすることが期待される。

■人権の危機的状況の防止に、より多くの資源投下を
 「ここ数年の人権侵害の悲劇はすべて予知できたものであり、回避可能なもの
だった。1999年に大規模な危機的状況に陥ったブルンジやチェチェン、東ティモ
ール、コソボにおいて、その予兆は世界がそれを認識し、各国政府が行動を起こ
すべき警報を発し続けていた」とアムネスティは続けた。「各国政府は人権の危
機的状況に対する武力介入は正義を追求するためだとしている。それなら、なぜ
言語を絶するほどの不正義が横行するところまで状況が悪化するのを放置してお
くのか?」とアムネスティは問いかけ、国際社会がこうした人権の危機的状況を
防止することに、より多くの資源を投下するよう訴えた。

 「予防には各国政府が、敵側のみならず、友好関係にある側の人権侵害をも咎
めることが必須である。また、経済制裁が社会的・経済的権利の侵害を引き起こ
さないよう保障しなければならない。イラクにおいては食料や基本的医療品を奪
われた子どもたちの権利は一向に国際社会の課題として省みられることもないま
まである」とアムネスティは付け加えた。「何処にいようが、誰であろうが、す
べての人の人権を擁護しようとする多くの人びとの真剣な日々の努力によっての
み、将来の人権の危機的状況を防止することが可能となる。」

■144ヶ国で報告される人権侵害
 しかし、2000年版年次報告書によれば、人権侵害は危機的状況にある地域に止
まらず、少なくとも144ヶ国で、政府関係者や、反政府武装勢力、準軍事組織に
より日常的に行われている(詳細は注2を参照)。 年次報告書によれば、38ヶ
国で超法規的処刑が行われ、31ヶ国で法規による処刑が執行され、少なくとも61
ヶ国に良心の囚人が存在し、132ヶ国で拷問や虐待が行われ、37ヶ国で「失踪」
事件が起こっている。しかし、実際の数字はこれを遥かに上回るとアムネスティ
は考えている。(日本に関しては注1を参照。)

■犠牲者に正義と補償を 〜「免責」への取り組みが大きな課題〜
 「米国や中国、サウジアラビア、コロンビア、トルコ、ロシアを始めとする多
くの国々で人権が無視され、侵害されているにもかかわらず、各国政府や国際社
会は犠牲者の命運に目を開こうとしていない」とアムネスティは語った。世界中
で、拷問され、不正に拘禁され、基本的人権を剥奪された何千もの人びとが正義
と補償を求めている。「失踪」や超法規的処刑の犠牲者の家族も同様である。

 そしてその多くが、その訴えを聞きいれられずにいる。1999年にアウグスト・
ピノチェトをヨーロッパで裁判にかける努力が払われたことを始めとし、人権侵
害の加害者を法の裁きにかける努力が一定の進展を見たとはいえ、過去や現在の
人権侵害事件について、免責が横行し続けている。


■世界の各地域別人権状況の概要(2000年版年次報告書から)

アフリカ地域:
 1999年も武力紛争によりアフリカは荒廃し続けた。シエラレオネの反政府勢力
がフリータウンに侵攻したとき、世界は最悪の残虐行為を目撃することとなった。
一般人が虐殺され、手や足を切断され、組織的に拉致されていった。政府側と反
政府勢力側が合意した1999年7月の和平協定にも関わらず、こうした侵害行為は
止まなかった。同協定は戦争犯罪や人道に反する罪を含む大規模人権侵害に関す
る恩赦も認めるものだった。ブルンジやコンゴ、コンゴ民主共和国(DRC)では
政府軍も反政府武装勢力も超法規的に何千もの一般人を殺害した。ブルンジでは
「失踪」事件が増発し、何千人もが起訴や裁判も受けないまま、多くが劣悪な条
件下で拘禁され、危機的状況に陥った。

 シエラレオネやブルンジ、ギニアビサウ、ソマリア、アンゴラ、スーダンなど
の武力紛争では18歳未満の子どもが何千人も、多くが強制的に徴兵され、戦わさ
れている。シエラレオネやDRC、コンゴ、スーダンでの紛争のため、何千もの人
々が近隣諸国に避難した。

南北アメリカ地域:
 各国や国際社会は過去の人権侵害の後遺症と取り組む努力を重ねてきたが、依
然として過去および現在の人権侵害事件に関する免責はこの地域全般に横行し続
けている。

 警察による暴力(ブラジルやエクアドル、エルサルバドル、ハイチ、ジャマイ
カ、ニカラグア、米国、ベネズエラで報告されている)、囚人や被拘禁者に対す
る拷問や虐待(ベリーズ、ボリビア、ブラジル、エクアドル、エルサルバドル、
ニカラグア、パラグアイ、ペルーで報告されている)、人権擁護活動家に対する
嫌がらせ(ボリビア、チリ、コロンビア、メキシコ)などの行為に対する調査や
処罰はほとんど行われていないも同然である。コロンビアでは武装軍隊や、軍に
よる支援や黙認の下に動く準軍事組織が一般人を残虐な人権侵害に曝しているに
も関わらず、当事者たちは何の咎めも受けずにいる。

 国際人権基準をあからさまに侵害し、米国は犯罪当時18歳未満であった者にに
対して死刑を適用しその執行を続け、死刑適用犯罪で起訴された外国人が領事館
からの支援を求める権利を剥奪し続けている。1999年中に米国では98名の人びと
が処刑された。

アジア太平洋地域:
 武装した民族間の紛争により、アジア太平洋地域では何千人もの一般人が殺害
され、拷問や「失踪」、恣意的拘禁などの人権侵害を引き起こしてきた。

 インドネシア軍の支援を受けた親インドネシア民兵による、高度に組織的な恐
喝行動にもかかわらず、東ティモール住民は8月の投票で、インドネシアからの
独立を求める意志を圧倒的多数で表明した。何百人もが虐殺され、何万人もが暴
力の攻撃から避難を余儀なくされた。

 1999年は、中国における平和的な反体制活動家に対し、過去10年間において最
も厳重かつ広範な取り締まりが行われた年となった。何千人もが警察に恣意的に
拘禁され、不公正な裁判の結果、長期拘禁の判決を受け、あるいは労働教養所に
送られた。組織的な拷問や虐待も続いた。1990年代、中国では18,000あまりの死
刑執行が記録されたが、実際の数字はこれをはるかに上回ると見られる。

 パキスタンでは政府が女性に対する偏見を行動で示し続けている。何百人もの
少女や女性が「名誉殺人」の犠牲となり、女性の人身売買が行われるなど、重大
な人権侵害が行われているにもかかわらず、調査も行わずに放置している。

ヨーロッパ地域:
 チェチェンでは戦争による残虐な人権侵害が行われ、コソボでは国際社会が永
続的平和を確立すべく努力する中、ヨーロッパの他地域では警察の拷問や虐待が
最も広く報告された人権侵害事例であった。その多くは人種偏見に基づくものだ
った。

 ロシア軍のチェチェンへの攻撃やモスクワやその他の地域で行われたチェチェ
ン人に対する過酷な恐喝行動は国際人権法や人道法をあからさまに無視する行為
だった。コソボでは、アルバニア人に対する人権侵害行為は6月のNATO軍空爆の
時期に最も激しさを増していた。セルビア人やロマ人、その他の少数民族に対す
る人権侵害も大規模な平和維持軍や国連主導の統治機構が設置された後にさえ続
いた。

 難民や難民としての保護を求める人びとも人権侵害の犠牲となった。スイスと
ベルギーでは強制送還の執行中に起こった窒息による死亡事件の後、気道を故意
に閉塞するなど、残酷で危険な拘束具が調査の対象となった。ブルガリアやギリ
シア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、コソボなどではロマ人に対する偏
見から各種の問題が発生した。

 「市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書(死刑廃止条約)」
をアゼルバイジャンやブルガリア、キプロス、グルジア、スロバキア、トルクメ
ニスタン、英国が批准したことは積極的に評価すべき出来事だった。

中東・北アフリカ地域:
 1999年中、大規模な処刑や日常化した拷問、不公正な裁判を含む、広範で深刻
な人権侵害が、中東と北アフリカのほぼ全域で起こっている。

 拷問や非人道的な又は品位を傷つける取り扱いがサウジアラビアで続いた。ア
ムネスティは103件の処刑を記録したが、実際の数字はこれを上回ると見られる。
刑事司法手続きは国際基準を遥かに逸脱しており、サウジアラビアでは政治的、
宗教的自由が規制され続けている。この年、多くの人々が政治的、宗教的理由か
ら逮捕された。中には長期にわたり起訴も裁判ないまま、家族や弁護士にも接見
できずにいる人びとがいる。国際社会はこれらの人権侵害や人権状況に関する秘
密主義に対し声を上げずにいる。

 イスラエルでは治安部隊関係者が人権侵害に対し免責を謳歌している。拷問は
公式に認められており、9月に高等裁判所がその様な尋問は違法であると裁定す
るまで組織的に行われ続けた。しかし、検問所でパレスチナ人が殴打され、虐待
されているという報告は続いている。西岸地区では少なくとも39軒のパレスチナ
人住居が倒壊させられた。住居倒壊はパレスチナ人への差別政策であり、イスラ
エル管轄下の西岸地区でのパレスチナ人による開発の阻止を狙ったものと思われ
る。

 その他の中東諸国でも拷問や恣意的拘禁、拘禁中の死亡事件、超法規的処刑が
報告されている。起訴や裁判もなく、長期に拘禁されてきた囚人が釈放された一
方、良心の囚人を含むと思われる、多くの政治囚が逮捕・拘禁されている。

以上

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