『健康づくりにおける体力』

理学療法科 主任 井舟 正秀


「体力」は防衛体力と行動体力に大きく分類されます。防衛体力とは、身体の外部からのいろいろな刺激に対して適当に反応し、常常性を保っていられる力と言われるもので、寒さ暑さに対する適応力や病気に対する抵抗力などを指します。また行動体力とは、行動によって表される体力で、早く走れる、正確に投げれる、たくさん作れるというような作業能力の大きさと出来映えに関するものです。これには筋力、瞬発力、持久力、敏捷性、平衡性、柔軟性などが含まれます。「体力」を狭義に用いる場合は行動体力を指し、反復横飛びなどの体力測定のように測定が可能でありますが、防衛体力は明確な測定法は確率確立されておりません。

現在、体力を測定する唯一の方法というものは残念ながらありません。そこで身体活動の主な要素である筋力、持久力、瞬発力、敏捷性、柔軟性、平衡性などを測定し、その合計点をもって体力の程度を判定されております。そして各テスト項目の平均値やバラツキの程度を示す標準偏差が算定され、その平均値に照らし合わして個人の体力の程度が評価される事となります。このようなデータはトレーニング効果判定や身体がバランスよく発達しているかの判定などに活用されています。

一方、日常生活の機械化に伴う身体活動の不足が誘因となるいわゆる運動不足症が問題となる現代社会においては、一般人の健康を支える基盤としての体力の持つ意味が重要となってきています。即ち、病気を予防し、健康を増進するための体力という考え方であります。そのため日常の身体活動量と関係が深く、運動不足によってその水準が低下すると様々な成人病の引き金となることが指摘されている全身持久力、筋力/筋持久力、柔軟性、身体組成の4要素の測定・評価が健康に関連する体力として重要視されています。そこで、青木らが提唱する健康に深く関わる体力測定法と背景について簡単に説明します。

1)全身持久力

循環機能は全身持久性の中核をなし、その障害は成人の死因の第1位である心臓を中心とする循環器疾患をもたらし、運動不足によるダメージが最も大きいとされています。
測定法として最も科学的なものは、「最大酸素摂取量」でありますが、厳密な測定には高価な測定機器が必要であり、またかなり激しい運動が要求されるため危険が伴うなどの理由からやや運動負荷を下げて行ない、体重と脈拍数から推定するという方法がとられます。

2)筋力・筋持久力

腹筋や背筋の強化は腰痛、内臓の下垂予防、円背などの姿勢の強制に効果があり、そして筋力/筋持久力 が高ければ生活上、身体活動の負担が少ないわけであります。
測定法として「上体おこし」、いわゆる腹筋のテストが使われます。

3)柔軟性

柔軟性の欠如は姿勢の欠陥として現れ、全身の筋力発揮のバランスが崩れて腰痛や内臓疾患の原因となります。
測定法として「長座体前屈」が使用されます。これは脚をまっすぐ伸ばして座り、両手を前へ伸ばしてどれだけ足先を越えられるかを測定するものです。

4)身体組成

身体の脂肪と脂肪以外のものとの割合を指します。過剰な脂肪の蓄積は持久性を低下させるとともに高血圧、心疾患、高脂血症、糖尿病などの誘因となります。
測定法としてキャリパーや導電率法などを用いて「体脂肪量」を測定し、体重との割合を算定します。

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