抜け毛のお話

抜け毛のお話


日に日に涼しくなっていくが,涼しく感じるのは季節のせいだけではないような…。

毛髪の抜け方には個人差が大きく,季節との関連性は薄い。一昔前ならば,夏バテで毛髪への栄養補給が不十分となり,秋に抜け毛が増えることもあったかもしれないが,年中空調が保たれた中で生活している現代では,季節的な要因は考えにくくなった。むしろ,外食過多などによる栄養の偏りやストレスを主因とする脱毛症か,遺伝的な要因による男性型脱毛症の始まりと考えられる。

飽食時代の栄養失調

 人間の毛髪は約10万本あり,2年から6年のサイクルで生え変わる。つまり,1日に約100本は自然に毛が抜ける計算になる。脱毛症の場合,症状がひどい時は1日に1000本以上も抜けることがある。

 頭頂部が薄くなるのは,栄養失調による脱毛症である場合が多い。今の日本では"飽食時代の栄養失調"現象がおきている。炭水化物,脂肪,タンパク質は十分に摂取していても,毛髪に必要な鉄分,ミネラルが不足しがちだ。ダイエット中の女性にも,栄養失調による抜け毛が多く見られる。

 食べた物を記録する食事日記を2週間,付けるような試みを行ってみると、案の定,食生活に乱れが見られる場合が多い。例えば,朝はパンにバター,オレンジ,牛乳,紅茶,昼はざるそば,夜はステーキにサラダ,ご飯,ビール…といったメニューが並ぶ。これでは全然ダメ。このような患者様には,鉄分が豊富なアサリ,レバー,ほうれん草など,そして今の時期ならサンマやイワシなどを意識的に取るよう指導する。すると,食生活の改善だけで抜け毛が治るケースが多い。

前頭部の抜け毛は遺伝

家系にはげた人がいるならば男性型脱毛症の可能性が強い。これは,毛を作る毛包の成長期が短くなり,毛が細く産毛のようになっていく症状だ。前頭部から薄くなることが多い。男性ホルモンの影響であることは分かっているが,毛包が男性ホルモンの影響を受けやすいかどうかは,残念ながら遺伝的に決まっている。また、側頭部は甲状腺ホルモンの影響下にあるため、はげずに残ることが多い。今のところ,決め手となる治療法はない。いろいろな育毛剤が市販されているが,はげた頭にふさふさと毛が生えてくるような妙薬はない。

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