子宮内膜症について
子宮内膜症について
産婦人科 科長 小濱 隆文
女性の腰痛、月経痛、不妊症の原因として最も多いものとして、子宮内膜症があります。
この子宮内膜症というのは、子宮の中で生じる月経血(生理の時の出血)が、卵巣やその近辺、あるいは子宮の筋肉の中で生じることにより、炎症や激しい痛みが生じる病気と考えてよいでしょう。
以下、質問形式で、子宮内膜症について説明したいと思います。
- 子宮内膜症の女性はどのくらいいるのでしょうか?
子宮内膜症は、良性の病気なので、不妊治療を希 望しておらず、痛みなどの自覚症状がなければ、必ずしも治療の必要はありません。症状がない女性でも、検査を受けてみると内膜症があるという可能性もあり、患者数が把握しにくいのです。女性全体の二、三%が内膜症という説もありま すが、はっきりした数は分かっておらず、厚生省で実態調査を検討し ています。
- なぜ、子宮内膜症ができるのですか?
残念ながら、原因は分かっていませんが、大別して二つの説が提唱されています。
一つは逆流説です。月経の時は、子宮の内側を覆う子宮内膜が血液とともに膣(ちつ)から体外に排出されますが、同時に月経血は逆流して卵管から骨盤の中に到達し、月経血に含まれている子宮内膜細胞が滞留して、子宮内膜症になるという考え方です。
もう一つは、化生説と言って、女性ホルモンの刺激などで腹膜の一 部が変化して子宮内膜症になるという説です。
- 卵巣がんとの関係は?
私たちの調査では卵巣がんの四五%に子宮内膜症が合併しているというデータもあります。卵巣がんと内膜症の間に直接的な因果関係があるというより、初潮の時期が早まり、少子化で、女性が一生のうち に経験する月経の回数が増えるなど、両者に共通の誘因が存在しているためという考え方が主流です。内膜症の患者すべてが、卵巣がんの心配を抱えるわけではありませ ん。画像診断を駆使すれば、卵巣がんとの鑑別はほぼ可能です。卵巣がんも最近はよい抗がん剤が登場し、早期なら五年生存率は九〇%以上です。
- ホルモン療法の際の副作用は?
ホルモン薬には、男性ホルモンの誘導体であるダナゾールと、継続 的に使用することで卵巣からのホルモンの分泌を低下させ、人為的に 閉経状態を作り出す薬(スプレキュア、リュープリン等)があります。ダナゾールの副作用は、体重増加や肝機能障害、にきびなどです。人為的に閉経状態を作る薬は、ほてりなどの更年期障害に似た症状が出、半年以上使うと骨量が減ることもあります。副作用が出たと思ったら、すぐに医師に相談してください。
- ピルによる治療については?
ピルは妊娠した時と同じようなホルモン環境を作り、子宮内膜症の悪化を防ぐ狙いで古くから使われてきました。最近は他のホルモン薬の登場であまり使われていませんが、月経痛を軽減する効果があり、 副作用の少ない低用量ピルが使用できるようになると見直されるかもしれません。
内膜症の治療の仕方は、不妊や痛みなどの症状や年齢など、個々の事情によって変わってきます。医師は長期的にみてそれぞれの女性にとって一番良い方法を考えて治療を決めますが、患者さんも内膜症を よく理解して、医師に自分の病状をよく質問をしながら、納得して治療を受けることが大事だと思います。
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