前立腺高温度治療
前立腺高温度治療法スタート
泌尿器科 科長 卞 在和
高齢男性における問題のひとつに排尿障害があります。「尿が出るのに時間がかかる、尿が近い(特に夜寝てから何度も尿に起きる)、尿の切れが悪い、残尿感がある」などの症状を感じることは特に50歳以上の方に多いかと思います。これらの症状は単に年齢からの生理的老化現象の一部のこともありますが、その多くは前立腺肥大症という病気の症状です。前立腺というのは膀胱の出口の尿道を取り囲むようにある臓器で、その働きは精液の分泌です。前立腺は50歳以上になると尿道に近い内腺と言われる部分が腫大して緊張し尿道を圧迫するようになります。これが前立腺肥大症です。頻度としては、一説では50歳以上の男性の5人に1人、60歳以上で5人に2人、70歳以上で5人に3人ぐらいが前立腺肥大症になっていると言われています。つまり、高齢男性で「尿が出にくい、近い」等の症状が単に年のせいと思っていたことが実は前立腺肥大症のせいであることが多いのです。さて、この前立腺肥大症に対する治療法ですが、従来は薬物による治療か手術による治療かの選択が主なものでした。薬物療法は中等度の肥大症まではかなり有効ですが、残念ながら服用中を止めれば徐々に効果が無くなり元に戻ってしまうため効果のある間はずっと服用する必要がある事が欠点です。手術療法は確かに肥大症の根事的治療法に近いのですが麻酔や手術侵襲の問題で誰にでも適用されるわけではないことや、時に性機能障害を起こすのが欠点です。これらの中間になる治療法として最近注目されているのが「前立腺高温度治療法」です。これは前立腺を尿道から45℃以上の高温で熱することで肥大で緊張した状態を解除して症状を改善させるものです。
特徴としては
- 1回の治療で効果がある。
- 手術のように半身麻酔や全身麻酔は必要なく尿道の局所麻酔だけで治療できる。
- ほとんどの場合入院は必要なく外来で治療が可能である。
- 大きな合併症がないなどであります。
欠点としては治療直後は一時的に治療前より尿が近くなったり、尿が出にくくなったり、ときに尿が全く出なくなることがあることが10人に2人ぐらいの割合であることです。ただし、ほとんどは一過性で3日間から1週間ぐらいで改善します。もう一つは長期的効果がはっきりしていないことです。しかし、これらの欠点を差し引いても「長期に毎日薬物を服用することは煩わしいし副作用も心配だ、しかし手術はどうも嫌だ」と考えていらっしゃる方には試してみても良い方法かと思います。現在、健康保険も適応になっており安心して治療を受けられます。なお、治療に際しての適応は当院泌尿器科において医師と十分に話をして検査などを行なったうえで決めます。排尿障害でお困りの50歳以上の男性はぜひ受診してみて下さい。
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