さて、治療法は、血腫の大小によって異なります。血腫量が25CC以下で小さい場合は、保存的治療で自然吸収されます。手術は行いません。一方、25CC以上の大きな血腫の場合は、手術で血腫を除去します。出血部の脳組織は破壊されてしまっているので、手術をしても元に戻すことはできません。しかし、血腫の周りの生き残った脳組織を圧迫から開放してやれば、圧迫による損傷を未然に防ぐことが可能です。ですから、手術によって早期離床や早期リハビリが可能になり、引いては早期回復につながります。
それでは、手術はどのようにするのでしょう。まず、従来から行われている一般的な手術方法から説明します。昔から行われているのは、開頭による血腫除去術です。これは、頭蓋骨を5〜10pの大きさに開頭し、脳を露出して血腫を取り除く方法です。全身麻酔が必要で、手術創も大きく侵襲が大きい欠点があります。もう1つの方法は、定位脳的血腫除去術です。これは頭蓋骨に1p位の小さな穴をあけ、この穴から針を刺して、血腫を吸引する方法です。開頭による血腫除去術と比べると、傷は小さく、患者様の負担は軽くすみます。しかしその反面、血腫がどれだけ除去されたかが手術中に分らず、血腫が残存することがあります。また、手術中に再出血しても、直接止血することができない欠点があります。
そこで、これらの欠点をおぎなう新しい手術方法が開発されました。それが内視鏡を用いる方法です。つまり、直径5o程度の内視鏡を針の変わりに用いて、血腫を穿刺し吸引するのです。内視鏡を用いると、脳内の血腫の様子をのぞきながら吸引できるので、周囲脳を傷つけることなく安全かつ確実に吸引できます。しかも、取り残しがありません。また、万一、手術中に出血しても、内視鏡下に止血することができます。写真はこの方法で血腫吸引術を行った症例のCTスキャンです。左が術前で、右が術後です。内視鏡手術によって、きれいに血腫が除去されているのが分ります。このように、新しい技術の進歩によって、脳外科の手術はますます低侵襲、安全、確実になっています。