(当院は能登地区唯一の人工心肺による心臓外科手術可能施設、冠動脈形成術可能施設として、心筋梗塞や、狭心症といった虚血性心疾患の患者様に対して24時間体制で対応しております。今回、表題のごとく節目に際し、平成8年1月20日、地元で記念講演会を開催いたしました。この文章は、会場でお配りした当院循環器科のレビューであります.........院長注)
虚血性心疾患は高齢者人口の増加に伴い全国的に増加しつつあり、厚生省の人口動態統計によれば本邦の3大死因の順位は昭和60年以来、1位癌、2位心疾患、3位脳卒中となっています。また、虚血性心疾患をもたらす三大危険因子として高血圧・喫煙・高コレステロ−ル血症があり、若年者の食生活の欧風化は血清コレステロ−ル値の上昇とともに虚血性心疾患の発症を高める可能性があるとされます。従ってこのような虚血性心疾患の診断・治療は極めて重要であると考えられます。
心臓の筋肉(心筋)は、これをとりまく冠動脈より血液を介して、必要な栄養を供給されており、この冠動脈の血流障害による心筋の障害がいわゆる虚血性心疾患です。我々は、この冠動脈の血流の状態および心筋の障害の程度を主に調べる心臓カテ−テル検査を、1989年5月より導入開始致しました。以来、約7年間にて徐々に症例を加え、95年11月現在1156症例に達しました。その内訳は、陳旧性心筋梗塞263例(22.8%)、労作性狭心症239例(20.7%)、急性心筋梗塞153例(13.2%)、冠攣縮性狭心症108例(9.3%)であり、心筋に血流を送る冠動脈の疾患が763例で全カテ−テル検査症例の66.0%を占めています。他は、高血圧心、弁膜症、心筋症、不整脈等に対する心臓カテ−テル検査でした。このように冠動脈疾患いわゆる虚血性心疾患の増加に伴い、狭窄あるいは閉塞した冠動脈を修復する経皮的冠動脈形成術(PTCA)が1977年Grunzigにより開始され、1979年以後急速に本邦にても普及されることになりました。
当院では、1989年心臓カテ−テル検査が清水先生(金沢大学第二内科講師)の御指導のもと、由雄先生(金沢大学第二内科助手)により開始されました。1990年には三浦先生(横浜栄共済病院循環器内科)により、急性心筋梗塞患者の緊急冠動脈内血栓溶解療法が導入され、また同時に第1例目の緊急経皮的冠動脈形成術が施行されています。その後1991年に土谷先生(鳴和病院循環器内科)は、緊急冠動脈内血栓溶解療法に引き続いての経皮的冠動脈形成術を3例に行い、2例で良好な冠動脈の拡張に成功しています。さらに1992年には新井先生(福井循環器病院循環器内科)・竹田先生(金沢大学第二内科)により、清水先生の御指導にて、狭心症患者に対する1例目の待期的経皮的冠動脈形成術が行われました。
1993年より堀田ならびに桶家先生(金沢大学第二内科)に代わり、同年、今後の能登地方に於ける心臓疾患治療の重要性を把握された神野理事長・院長先生の御努力により、心臓血管外科の開設・始動および心臓集中治療室(CCU)の設置がおこなわれました。これにより、当循環器科としても本格的に経皮的冠動脈形成術を開始しました。
1993年26例(成功率85.0%)、94年56例(成功率93.4%)の経皮的冠動脈形成術が行われ、95年4月より桶家先生に代わり田口先生を迎え、11月現在91例の冠動脈形成術を行い、順調に症例数を重ねています。従って、当院での経皮的冠動脈形成術の症例数は、輪島病院・珠洲総合病院・富来病院始め各方面の先生方の御協力・御紹介により178例・233病変に至っています。またさらに、最近では15例/月程度の冠動脈形成術症例数となっています。このうち冠動脈ステントの留置術は30症例で、36個のステントを冠動脈内に留置し得ました。
また、心臓バイパス手術等の開心術も藤松先生・清水教授(金沢医科大学胸部心臓血管外科)・豊田先生らにより行われ、95年11月現在79例に達しています。更には、末梢血管に対する経皮的血管形成術も積極的に行い31例に達し、特に透析患者のシャント狭窄に対する血管形成術(PTA)は、北陸で先駆けて行ない良好な成績を上げています。
最後に、今後能登地方の心臓疾患治療の中枢的役割を果たすべく、レントゲン部門・看護部門・SMI(ME)部門・検査部門・心臓集中治療部門・心臓血管外科各所のスタッフと連携を取りつつ診療に従事するつもりでおります。今後も皆様方の御指導・御教授をお願い申しあげます。