胆石症について

胆石症について

外科胃腸科


  1. 胆嚢(たんのう)について
  2.  漢方薬でお馴染みの“熊胆(くまのい)”をご存じですね。熊の胆嚢を取り出して来たものです。滋養強壮剤として珍重されていますが、実際胆嚢はどこでどういう働きをしているものなのでしょうか。

     まず、胆嚢はどこにあるかご存じでしょうか?“右季肋部(きろくぶ)”といって、おへその右上、あばらの下にあります。
     つぎに、胆嚢はどういう働きをするところでしょうか?体調が悪く吐き気を催した時黄色い色をした汁を吐くことがあります。そう、あれが胆汁です。胆汁は肝臓で作られ、主に脂肪分の吸収に関係している重要な消化酵素です。この胆汁が、肝臓から胆管という管を通って、十二指腸へ分泌されるのです。その途中に写真のように胆汁を貯め、濃縮する場所として“なすび”のような形をした胆嚢があるのです。胃や十二指腸に脂肪分が流れてくると胆嚢は一気にしぼんで、貯めておいた胆汁が十二指腸へたくさん出てくるわけです。胆嚢の大きさは長さ7〜10cm、幅3〜4cm、容積は30〜50ml程度とされています。

    (写真は、高速らせんCTスキャンによる3D立体画像:胆嚢と胆管の正面像)


  3. 胆石症について
  4.  胆汁の流れる道、“胆道”、すなわち胆管や、胆嚢に石がたまる病気を胆石症といいます。多くの場合は胆嚢の中にたまる胆嚢結石でありますが、胆管や、肝臓の中にたまる場合もあります。
     どうして石ができてしまうのでしょうか?残念ながら、はっきりした原因はわかりませんが、最近多くみられるコレステロール石は、胆汁の中のコレステロールが多すぎることから、いわば過飽和の状態となって、胆汁のたまっている胆嚢の中でその結晶を作るためのようです。そのほかに、胆汁中に含まれる色素が細菌の感染にともなって固まるといわれているビリルビンカルシウム石や、肝臓疾患や貧血の時にできる黒色石というものもあります。
     胆石の症状は、おへその右上の“右季肋部”の痛みが多いわけですが、“胃が痛い”、“みぞおちが痛い”といって来院される患者さんも大勢いらっしゃいます。また、放散痛といって、右肩の痛みや背中の右側の痛み、さらに心臓病を疑わせるような胸の痛みを訴えられる患者さんもいらっしゃいます。胆石に特徴的な痛みは、脂肪分を食べた後にくる痛みが多く、これは脂肪分を食べることによって、胆嚢が収縮するため、石によって炎症を起こした胆嚢に痛みが発生するものと考えられます。痛みのほかに、吐き気や、炎症による発熱、胆汁が滞ることによる黄疸が出ることもあります。
     また、サイレントストーン(Silent Stone)といって全く無症状の石もあり、これは検診やほかの病気を疑っての検査でたまたま見つかるもので、胆石の患者さんの1/2〜1/3を占めるとされています。治療の必要性について議論されているものであります。

    (写真は、高速らせんCTスキャンによる3D立体画像:胆嚢を切削し、内部の結石を透見)


  5. 胆石の検査
  6.  石灰を含んだ石は普通の単純レントゲン写真で見つかることもありますが、最も確実でしかも簡単な方法は腹部超音波検査です。おなかにゼリーを塗り、器具を乗せるだけで痛みもなく胆石の有無がわかり、数分で検査は終わります。ただし、食事の影響を受けるため、絶食での検査となります。胆石の見つかった方には、さらに より精密な検査が必要となります。

  7. 胆石の治療
  8.  様々な治療法がありますが、当院でおこなっている代表的な治療法をご紹介します。なお、ここでは主に胆嚢にできた石についての治療法を紹介します。胆管や肝臓の中にできた石については、担当医とご相談下さい。
    1)胆石溶解療法  胆石溶解剤というお薬を飲んで頂きます。その成分は胆汁酸というもので、胆汁にコレステロールがより多く溶けるようにするものです。したがって、どんな石にも効くというものではありません。石灰などがついていないコレステロール石にしか効きません。石の種類については超音波検査で予測がつきます。

    2)体外式衝撃波破砕療法(たいがいししょうげきははさいりょうほう)  高度先進医療の一つです。当院には胆石や腎臓・尿管結石にたいしての破砕装置というものがあります。石に照準をあわせて、体の外から、衝撃波というものを発生させ、石を木っ端微塵に壊してしまうといった治療法で、麻酔をかけることなく、短い入院期間で治療が可能です。ただ、石の数、種類、硬さや胆嚢の働きといった面で治療効果が期待できるか条件があります。詳細につきましては外来担当医より詳しくお聴きください。

    3)手術療法

     この2つの手術療法は、いづれも石とともに胆嚢をとってしまうわけですが、よく胆嚢をとっても後に影響はないかという疑問を耳にします。石ができている胆嚢はほとんど働いていません。働いていないものを取るわけですから、ほとんど影響はありません。

  9. 胆石の合併症
  10.  胆石をそのままにしておいた場合、どうなるのでしょうか?特に、現在あまり症状のない方にとって、大きな問題だと思います。
     胆石そのものは命にかかわるものではありません。しかし、次の場合は注意を要します。
    1)急性胆嚢炎:石の刺激、石が胆嚢の出入口に詰って炎症を起こします。放置すれば、胆嚢が破れて腹膜炎を起こす危険性があります。
    2)急性膵(すい)炎:胆管の石が膵臓液の出口を塞ぐことで起きる場合や、重傷の胆嚢炎の炎症が膵臓におよんで発症する場合があります。重症になると致命的な場合があり、恐い病気です。
    3)閉塞性黄疸:胆管の石が胆汁の出口を塞ぐことで胆汁が腸へ出なくなったために起こります。肝臓の機能が極めて悪くなります。
    4)肝障害:胆嚢や胆管の炎症が、肝臓に波及して起こります。
    5)胆嚢癌:胆石との因果関係については議論の多いところでありますが、無症状胆石の1〜2%に胆嚢癌を伴い、胆嚢癌の2/3〜3/4に胆石を合併しているの事実であり、胆石による長期にわたる慢性刺激が関係していることも考えられます。

  11. 無症状胆石の治療について
  12.  高齢の方の胆石では突然の発症、重篤な経過をとるものが多いこと、胆石と胆嚢癌との因果関係も否定できないこと、合併症の無い時期に治療を受けた場合、安全であり、入院となっても期間も短くてすむことからすると、症状のある方はもちろん、症状のない方も外来担当医とご相談の上、よりよい治療法を選択されることをお勧めします。

    なにかご質問、お気付きの点がありましたらお気軽に外科・胃腸科外来までお尋ねください。


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