まず、胆嚢はどこにあるかご存じでしょうか?“右季肋部(きろくぶ)”といって、おへその右上、あばらの下にあります。
つぎに、胆嚢はどういう働きをするところでしょうか?体調が悪く吐き気を催した時黄色い色をした汁を吐くことがあります。そう、あれが胆汁です。胆汁は肝臓で作られ、主に脂肪分の吸収に関係している重要な消化酵素です。この胆汁が、肝臓から胆管という管を通って、十二指腸へ分泌されるのです。その途中に写真のように胆汁を貯め、濃縮する場所として“なすび”のような形をした胆嚢があるのです。胃や十二指腸に脂肪分が流れてくると胆嚢は一気にしぼんで、貯めておいた胆汁が十二指腸へたくさん出てくるわけです。胆嚢の大きさは長さ7〜10cm、幅3〜4cm、容積は30〜50ml程度とされています。
胆汁の流れる道、“胆道”、すなわち胆管や、胆嚢に石がたまる病気を胆石症といいます。多くの場合は胆嚢の中にたまる胆嚢結石でありますが、胆管や、肝臓の中にたまる場合もあります。
1)胆石溶解療法 胆石溶解剤というお薬を飲んで頂きます。その成分は胆汁酸というもので、胆汁にコレステロールがより多く溶けるようにするものです。したがって、どんな石にも効くというものではありません。石灰などがついていないコレステロール石にしか効きません。石の種類については超音波検査で予測がつきます。2)体外式衝撃波破砕療法(たいがいししょうげきははさいりょうほう) 高度先進医療の一つです。当院には胆石や腎臓・尿管結石にたいしての破砕装置というものがあります。石に照準をあわせて、体の外から、衝撃波というものを発生させ、石を木っ端微塵に壊してしまうといった治療法で、麻酔をかけることなく、短い入院期間で治療が可能です。ただ、石の数、種類、硬さや胆嚢の働きといった面で治療効果が期待できるか条件があります。詳細につきましては外来担当医より詳しくお聴きください。
3)手術療法
この2つの手術療法は、いづれも石とともに胆嚢をとってしまうわけですが、よく胆嚢をとっても後に影響はないかという疑問を耳にします。石ができている胆嚢はほとんど働いていません。働いていないものを取るわけですから、ほとんど影響はありません。
- 開腹による胆嚢摘出手術
おなかを開けて、胆石とともに胆嚢を取り出す手術です。- 腹腔鏡下(ふくくうきょうか)胆嚢摘出術
おなかに、小さな穴を4ヶ所開けて、腹腔鏡というカメラと細いはさみや電気メスといったものを使って、モニター画面を見ながら、遠隔操作で胆嚢を取り除く手術です。全身麻酔でおこないますが、手術後の痛みもほとんどなく、また入院期間もわずかですみ、退院後すぐに日常生活に戻ることができます。
しかし、次の場合にはこの方法はできません。胆嚢の炎症が極めて強い場合、癒着がある場合、胆嚢以外にも石がある場合、高齢の方の場合、血が止まりにくくなる病気がある場合、妊娠中の場合などです。
(写真は、腹腔鏡下胆嚢摘出術の術中風景)
1)急性胆嚢炎:石の刺激、石が胆嚢の出入口に詰って炎症を起こします。放置すれば、胆嚢が破れて腹膜炎を起こす危険性があります。
2)急性膵(すい)炎:胆管の石が膵臓液の出口を塞ぐことで起きる場合や、重傷の胆嚢炎の炎症が膵臓におよんで発症する場合があります。重症になると致命的な場合があり、恐い病気です。
3)閉塞性黄疸:胆管の石が胆汁の出口を塞ぐことで胆汁が腸へ出なくなったために起こります。肝臓の機能が極めて悪くなります。
4)肝障害:胆嚢や胆管の炎症が、肝臓に波及して起こります。
5)胆嚢癌:胆石との因果関係については議論の多いところでありますが、無症状胆石の1〜2%に胆嚢癌を伴い、胆嚢癌の2/3〜3/4に胆石を合併しているの事実であり、胆石による長期にわたる慢性刺激が関係していることも考えられます。