成人病は食生活の在り方が大きく影響することから適正な食生活の実践によって予防することができます。そこで、国民一般を対象とした“健康づくりのための食生活指針(対象特性別)”が平成2年9月に厚生省より策定されました。その一部を今回皆さんにご紹介いたします。
まず1番目に食生活の条件として最も基本的なことは、体に必要な糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を過不足なくとることです。そのために主食、主菜、副菜をそろえ、料理に使用する食品の数として1日30食品を目標とすれば自然に必要な栄養素をバランスよくとることができます。ただし、エネルギーの過剰摂取にならないように気をつけることが必要です。
2番目に食事と運動のバランスが大切になってきます。近年は交通機関の発達、職場の機械化や家族における省力化の進展などにより日常生活の中で体を動かして消費するエネルギーは減少し、その反面摂取エネルギーは過剰となっているのが実状です。運動不足は体力を低下させるだけでなく、健全な成長、発育や健康維持の上からも好ましくないので積極的に運動をしてそれに見合ったエネルギーを摂取して食事を楽しみながら収支バランスをとることが必要です。
3番目に食塩の摂り過ぎは、高血圧や胃ガンなどを起こしやすくするため1日の食塩の摂取量を10g以下に減らすように努めることが大切です。減塩の方法として新鮮な素材を利用してうま味のある料理をつくったり、旬の野菜の利用、酢、レモン、スダチなどの酸味を利用すれば食塩が少なくてもおいしく食べられます。また、汁物は中味の具を多くする、ダシ(昆布、カツオ、干椎茸)を生かす、漬け物は一夜漬、酢漬などを利用。塩分の多い加工食品は摂り過ぎに注意して下さい。
4番目に脂肪の過剰摂取は心臓病や大腸ガンなどの原因になるため注意が必要です。脂肪摂取量は摂取エネルギーの20〜25%が適量です。また脂肪の摂り方として量だけではなく質についても十分に考えることが大切です。飽和脂肪酸の多い動物性の脂肪(魚類を除く)は動脈硬化を促進する作用がありますので、不飽和脂肪酸に富む植物性の脂肪やイコサペントエン酸を多く含んでいるイワシ、サンマ、カツオなどの魚類の脂肪を多くとり、動脈硬化の予防が大切です。またコレステロールも1日300mg以下程度におさえることが望ましいです。
5番目に生野菜、緑黄色野菜、果物を多く摂取することは、ガンの予防に役立ちます。生野菜や果物にはビタミンCが豊富でニトロソマシン類の生成を抑制し、緑黄色野菜に多く含まれているカロチンは発ガン抑制作用があることがわかっています。ただし、果物の摂り過ぎは、エネルギーの過剰になりますので要注意!!
6番目に食物繊維の多い野菜、海藻などを十分摂取することにより、便秘の他、大腸ガン、虚血性心疾患の予防に役立ちます。具体的な摂取目標はまだ示されていませんが、現在のところ一日当り20〜30gの摂取が目安とされています。
7番目に骨粗しょう症の予防のためにカルシウムを十分にとって丈夫な骨づくりに努めて下さい。骨ごと食べられる小魚、牛乳、海藻を十分に摂取することが大切です。
8番目に肥満はいろいろな病気を作ります。甘い物は程々に……特に砂糖の使い過ぎに注意しましょう。
9番目に禁煙、飲酒により健康を保たせることが大切です。喫煙は肺ガンや虚血性心疾患などの危険性を高め、たばこを初めから吸わないか禁煙すれば一連の“たばこ病”の予防に役立ちます。アルコールについても肝炎や肝硬変、肝ガンなどの危険性を高め、胃に障害も与えます。日本人の適量は平均して1日当り日本酒で1〜2合、ビールで1〜2本、ウイスキーダブルで1〜2杯以下と言われています。また週に2日程度は休肝日(酒なしデー)をつくることが大切です。
以上、9つの指針について説明いたしましたが、皆さんの食生活はいかがですか?もしいくつかの危険性があればこれを機械に是非食生活を改め、成人病予防に努めて下さい。