中国の海洋政策に関する質問主意書


下記の質問主意書を提出する。

平成二十四年七月三十日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 近年、中国は急激な軍事力の増強、資源確保を目的とした海洋権益の追求により、領有権問題や資源開発を巡って、その周辺国と摩擦を繰り返してきた。野田総理が尖閣国有化方針を表明した後も、中国メディア等は厳しい論調で反発を強めるなど、強硬的な態度を鮮明にしている。そうした武力行使をも辞さないとする中国の姿勢に対し、日本は断固として対応し、国を守る覚悟が求められている。

右を踏まえ、以下の事項について質問する。 

一 中国の外交政策における「核心的利益」とはどのような考えと認識しているか、政府の見解を示されたい。 

二 日本の領土である尖閣諸島も、中国の考える「核心的利益」の中に含まれているのか、政府の見解を示されたい。 

三 中国が領有権を主張し、周辺諸国と摩擦を生じている南シナ海の南・西沙諸島においては、「核心的利益」という言葉が度々使われており、国内法を整備し執行力を強化することで、武力行使もいとわない姿勢を見せている。今後、尖閣諸島を抱える日本に対しても同様の強硬的な対応を見せてくるものと考えられるのか、政府の見解を示されたい。 

四 野田総理が方針を示した尖閣諸島の国有化に対し、中国はどのような反応、認識を持つものと分析しているか、政府の見解を示されたい。 

五 四に関連して、報道によると、中国共産党機関紙、人民日報は「国家の核心的利益に関する問題で、中国が半歩すら退くことはあり得ず、後退する空間もない」とする旨の強硬的な論調を示すなど、挑発的な態度をとってきていることからも、今後、中国が外交的圧力を加えて来る可能性も否定できないが、政府はその覚悟や対抗策についてどのように考え、実行していくものと認識しているか、見解を示されたい。 

六 政府は尖閣諸島を国有化した場合、避難港や灯台を整備する考えを示しているが、どのようにして国による関与、警備体制、支配体制の強化、有効活用していくものとお考えか、見解は如何。 

七 今後、中国と領土領海問題を抱える周辺諸国との連携を強化することが必要ではないか。この問題の対中国への脅威を共有し、国際社会として連携した、毅然とした対応を行うことで、より実行力のある効果的な手段が行使できるものと考えるが、政府の見解は如何。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
中国の海洋政策に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第354号
平成24年 8月 7日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 中国の海洋政策に関する質問 に対する答弁書

一について

 中華人民共和国の外交政策について、政府としてお答えする立場にないが、同国国務院新聞弁公室が平成23年9月6日に発表した「中国の平和的発展」と題する文書においては、お尋ねの「核心的利益」には、「国の主権、国の安全、領土の保全、国の統一、中国の憲法に定められた国の政治制度、社会の大局の安定、経済社会の持続可能な発展の基本的保障が含まれる」とされていると承知している。

 

二及び三について

 尖閣諸島をめぐり中華人民共和国が独自の主張を行っていることは承知しているが、独自の主張に基づく同国政府の認識及び今後の対応について、政府としてお答えする立場にない。なお、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。

 

四及び五について

 我が国固有の領土である尖閣諸島については、政府として、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を継続する観点から、総合的に検討している。なお、二及び三についてで述べたとおり、尖閣諸島に関する中華人民共和国の独自の主張に基づく同国政府の認識及び今後の対応について、政府としてお答えする立場にない。

 

六について

 政府としては、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を継続する観点から、総合的に検討しているが、御指摘のような考えを示した事実はない。

 

七について

 尖閣諸島に関する我が国の基本的な立場は二及び三についてで述べたとおりであり、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。政府としては、このような我が国の一貫した立場に関し、国内外で正しい理解を得るべく、対外発信を強化しているほか、様々な機会を捉え外交ルートを通じた働きかけを行っており、今後とも努力していく考えである。 


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