関越道での高速ツアーバスの事故に関する再質問主意書


下記の質問主意書を提出する。

平成二十四年六月十五日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 関越道での高速ツアーバスの事故に関する質問主意書の答弁を受け、更に詳細について確認したく、以下の事項について質問する。 

一 前回質問主意書一において、国土交通省のツアーバスへの監査体制に関する質問の答弁を受けたが、現在の人員や配置で立入検査などの監査実施は充分に行えるものとお考えか、政府の認識を示されたい。 

二 前回質問主意書二において、規制緩和による新規参入の急増が安全に及ぼす影響についての政府見解を受けたが、事業者数の増加による過当競争の中で、国土交通省の監査体制だけでは限界があることから、実効性のあるやり方として、今後新規参入の規制、見直しなども検討すべきとお考えか、政府の見解を示されたい。 

三 前回質問主意書三から六の答弁にて示された「バス事業のあり方検討会」報告書にて取りまとめられた「新たな高速乗合バス」への移行について、当初平成二十五年度末までとしていた移行時期の前倒しを国土交通省より示されているが、具体的にいつまでに移行することとして取り組まれているのか、見解を示されたい。 

四 三に関連して、新制度に移行するまでは、事業者団体による自主的な安全確保策の確立を要請したとされるが、それで安全対策の実効性、緊急性は担保されるものと考えているのか、団体に加盟していない事業者も多く、現状でも違反の常態化が指摘されている中で、自主的な安全対策だけでは不十分ではないか、政府の見解を示されたい。 

五 さらに関連して、新制度への移行期間内に移行手続きが調わなかった事業者、また、最初から従わず新制度への移行を行わなかった事業者に対してどのような措置を執るものと考えているのか、見解を示されたい。 

六 前回質問主意書七への答弁で、不連続箇所を連続させるなど安全性をより一層高めるために必要な対策を早急に実施するよう要請、指示をした旨の見解を示されたが、ガードレールの隙間をうめ、連続させることで、今回のような大事故はどれだけ防ぐことが出来たと認識しているか。また、ガードレールの隙間と事故拡大の因果関係について説明されたい。 

七 事故被害者の救済について、国土交通省は石川、富山運輸支局に相談窓口を開設し、要望相談を受けているが、被害者は精神的にも肉体的にも大きな負担を強いられている上、加害者の賠償・補償などの対応が不透明であることや、事故責任の所在が制度上曖昧であることなど、不安は大きい。行政としてきめ細かなケア、支援が必要とされている中で、国土交通省からも被害者支援を充実していく考えが示されているが、その具体的な内容について示されたい。また、行政として今後被害者の救済をどのように図っていくものとお考えか見解は如何。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
関越道での高速ツアーバスの事故に関する再質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第295号
平成24年 6月26日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 関越道での高速ツアーバスの事故に関する再質問 に対する答弁書

一について

 交通機関において、安全確保は全てに優先されるべきであり、立入検査体制の充実、限られた人員や配置の中での立入検査の効果的な実施を含め、立入検査の在り方について抜本的な見直しを図るなど、実効性のある安全対策を実施してまいりたい。

 

二から五までについて

 公益社団法人日本バス協会及び高速ツアーバス連絡協議会においては平成24年5月16日に、一般社団法人日本旅行業協会及び社団法人全国旅行業協会においては同年6月6日に、それぞれ高速ツアーバス (旅行業者が造成・販売する高速道路を経由する二地点間の移動を目的とする募集型企画旅行の実施のために貸し切られて運行される貸切バスをいう。以下同じ。) の運行に関する自主的な安全対策を取りまとめ、傘下の会員に周知したものと承知しており、国土交通省としては、各団体のこうした対応について、一定の評価をしているところである。

 また、同省においては、同月11日に、今夏の多客期の安全確保のための緊急対策等の具体的な安全対策について、「高速ツアーバス等貸切バスの安全規制の強化について」として決定し、重点的な立入検査及びその結果の活用等を直ちに行うこととしているほか、御指摘の 「新たな高速乗合バス」制度への早期の移行の促進、参入規制の在り方等について、今後速やかに検討を進め、必要な対策を講じていくこととしている。

 御指摘の 「新たな高速乗合バス」制度については、同年7月を目途に開始する予定であり、その後一年以内を目途に、旅行業者(高速ツアーバスを利用した募集型企画旅行を実施する旅行業者をいう。) に対し、乗合バス事業の許可を取得するよう促すなど、適切に指導を行っていくこととしている。

 

六について

 平成24年4月29日に群馬県藤岡市の関越自動車道において発生した高速ツアーバスの事故(以下「本件事故」という。) の被害の大きさと御指摘の 「不連続箇所」があることとの因果関係は明らかではないが、国土交通省としては、本件事故の重大性に鑑み、安全性をより一層高めるため、御指摘の 「要請」 及び 「指示」 を行ったところである。

 

七について

 国土交通省においては、平成24年4月に設置した公共交通事故被害者支援室のほか、本件事故を受けて新たに設置した相談窓口を通じ、本件事故の被害者及びその家族等の関係者からの相談を受け付け、関係機関と密接に連携しつつ、被害者等が求める情報の提供、法律や心のケアに関する専門的な相談窓口の紹介等を行っているところであり、引き続き、被害者等の要望を踏まえつつ、可能な限りの支援を行ってまいりたい。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ