復興特区に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年四月十日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 東日本大震災復興特別区域法(いわゆる復興特区法)が、平成二十三年十二月二十六日に施行され、例えば宮城県は、復興推進計画すなわち民間投資促進特区を作成し、本年二月九日に内閣総理大臣から認定を受けた。当計画によると、宮城県の中核産業である自動車関連産業等のものづくり産業の復興とともに、次世代を担う新たなものづくり産業の集積を目指しており、その関係上対象業種は八業種に限定されている。もとより当計画の妥当性は是認するものであるが、当計画により様々な問題点が生じることから、以下の事項について質問する。 

一 復興推進計画においては、自動車関連産業等の八業種に限定しているが、どのような理由から八業種に限定しているにもかかわらず、当計画を政府は認定しているのか。 

二 政府が認定した復興推進計画は、設備投資に対して税制の優遇等の支援が受けられるが、その支援対象は認定以後の設備投資に限っている。これでは、震災直後から自力で設備投資を行い、被災地域の雇用に貢献している企業に恩恵がなく、不公平ではないかとの疑念が生じるが如何。 

三 先の宮城県の復興推進計画においては、復興産業集積区域内で、かつ震災直後から設備投資を行い雇用の維持を図っている企業であっても、先の八業種でないために、政府の税制上の優遇を受けられないことになっている。このような不公平な状態を政府はどう認識しているのか。 

四 三に関連して、このような不公平な状態を、別途の支援事業の創設も含めた然るべき是正措置を、宮城県はもちろん政府も検討すべきだと考えるが如何。 

五 被災三県での震災による失業者は、現在においても十数万人にも上ると言われているが、その方々の失業保険の失効時期が近づいている今、早急に雇用確保の対策がとられるべきである。政府の対応策を具体的に聞きたいが如何。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
復興特区に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第183号
平成24年 4月20日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 復興特区に関する質問 に対する答弁書

一について

 お尋ねの復興推進計画については、地域特性をいかしたものづくり産業のグランドデザインの再構築等を目標として定め、強みとなる地域特性や地域資源の活用を考慮して、集積を目指す業種として自動車関連産業等の八業種を記載している等、東日本大震災復興特別区域法 (平成23年法律第百二十二号。以下「法」という。)第四条第九項及び復興特別区域基本方針(平成24年1月6日閣議決定。以下「基本方針」 という。) において定められている認定基準を満たすと認められるため、同項の規定により認定したものである。

 

二について

 法第七条第一項に規定する認定地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。) の法第三十七条第一項の規定による指定を受けた個人事業者又は法人は'同項の規定により、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第二十九号。以下「震災特例法」という。)で定めるところにより、法第六条第一項に規定する認定復興推進計画(以下「認定復興推進計画」という。) に定められた法第四条第二項第四号イに規定する復興産業集積区域 (以下 「復興産業集積区域」 という。) の区域内において機械等の取得等をした場合に課税の特例の適用を受けることができることとされているが、当該特例は、認定復興推進計画に定められた復興産業集積区域への投資を促進することを目的とするものであることから、復興産業集積区域が定められた同条第一項に規定する復興推進計画が同条第九項の規定により認定された後に取得等をした機械等を対象としているものである。

 なお、認定復興推進計画に定められた復興産業集積区域内で震災特例法第十条の三第一項、第十七条の三第一項及び第二十五条の三第一項に規定する被災雇用者等 (以下「被災雇用者等」 という。) を雇用している個人事業者又は法人は、法第三十八条第一項の規定により認定地方公共団体の指定を受けた場合には'同項の規定により、震災特例法で定めるところにより、当該指定後五年間に被災雇用者等に対して支給した給与等の額の一定割合の税額控除の適用を受けることができることとされている。

 

三及び四について

 お尋ねの復興推進計画については、作成主体である宮城県及び同県内の34市町村が、基本方針に即して、強みとなる地域特性や地域資源の活用を考慮して'課税の特例の対象となる産業集積の形成及び活性化を図ることを通じて東日本大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ'又は生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域における雇用機会の確保に寄与する事業として、自動車関連産業等の八業種を選定していることから、政府としてはその判断を尊重したものである。

 

五について

 被災地での雇用対策としては、平成23年10月25日に被災者等就労支援・雇用創出推進会議で取りまとめられた 「「日本はひとつ」しごとプロジェクト フェーズ3 (第3段階)」 に基づき、地域経済の再生・復興のための産業政策の推進、被災地の強みである産業への支援策と一体となった雇用面での支援を行う事業復興型雇用創出事業及び若者、女性、高齢者'障害者等の雇用モデルの創造のための生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業の推進、ハローワークによるきめ細かな職業相談の実施、職業訓練の実施等に取り組んでいるところである。 


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