脱法ハーブの取り締まりに関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年三月二十三日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 脱法ハーブ吸引による、トラブルの事例が急増している。脱法ハーブは大麻に似た成分を含み、人体へ深刻な悪影響を及ぼすと危険性が指摘されているが、薬事法で規制された六十八種類の指定薬物を含まないとされることから、取り締まりが困難な状況にあり、繁華街やインターネット等で人目を憚らず販売され、販売網は拡大している。健康被害が広がる中で、法改正を含めた取り締まりの強化、脱法ハーブの危険性の周知が急がれていることから、以下の事項について質問する。 

一 脱法ハーブの定義について示されたい。 

二 脱法ハーブを使用することで、人体にどのような悪影響を及ぼすものと認識しているか、政府の把握するところを示されたい。 

三 薬事法で定める指定薬物として規制をする基準について、示されたい。 

四 脱法ハーブ取り締まりの問題点として指摘されているのが、指定薬物として規制しても、その薬物の成分構造に少量の変化を加えることにより、既存の薬物と殆ど同じ作用を持ちながら、制度上、新しい薬物として法規制の対象外になってしまうことである。規制を加えても、また直ぐに新しい薬物が出回るという、いたちごっこのような状況に対し、政府の認識は如何。 

五 四に関連して、化学的な基本構造が同質の類似薬物を一括して薬事法の規制対象に指定する包括規制の導入も必要ではないか。これにより類似薬物の出現に一定の歯止めをかけることが出来るものと考えるが、政府の見解は如何。 

六 規制だけでなく、脱法ハーブの危険性、違法性を周知、啓蒙していく必要があると考える。脱法ハーブは繁華街やインターネット等で公然と販売され、簡単に入手することができ、また大麻よりも安価で、その手軽さから販売網が広がっている。加えて、脱法ハーブ、また合法ハーブといった名称から、購入する側もリスクが少なく効果が弱いといった間違った思い込みを植え付けられ、軽い気持ちで購入することも少なくない。消費者の認識不足を補う上でも、その危険性をもっとわかりやすく理解出来るような名称に変えることも必要ではないか、政府の見解は如何。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
脱法ハーブの取り締まりに関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第152号
平成24年 4月 3日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 脱法ハーブの取り締まりに関する質問 に対する答弁書

一及び六について

 お尋ねの脱法ハーブについては、明確な定義はないが、厚生労働白書や厚生労働省ホームページ等で、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用 (当該作用の維持又は強化の作用を含む。以下同じ。) を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻取締法 (昭和23年法律第百二十四号) に規定する大麻、覚せい剤取締法 (昭和26年法律第二百五十二号) に規定する覚せい剤、麻薬及び向精神薬取締法 (昭和28年法律第十四号) に規定する麻薬及び向精神薬並びにあへん法 (昭和29年法律第七十一号) に規定するあへん及びけしがら (以下「大麻等」 という。) を除く。) であって、薬事法 (昭和35年法律第百四十五号) 第十四条第一項の規定による承認を受けた医薬品でないものについて、「違法ドラッグ」 という名称を用いてその危険性の周知及び啓発 (以下 「周知等」 という。) を行っている。

 また、平成24年度予算に指定薬物 (同法第二条第十四項に規定する指定薬物をいう。以下同じ。)の危険性及びその使用による健康被害の情報等を一元的に集約し、国民への周知等を行うホームページの開設等を行うために必要な経費を計上したところであり、今後とも、「違法ドラッグ」 の危険性の周知等に取り組んでいきたい。

 

二について

 お尋ねの脱法ハーブについては、明確な定義がないため、それが人の身体に及ぼす悪影響について正確にお答えすることは困難であるが、例えば、指定薬物については、人の身体に使用された場合に、めまい、嘔吐(おうと)、錯乱、衝動行動等の保健衛生上の危害が発生するおそれがあると認識している。

 

三について

 お尋ねの指定薬物として指定する基準については、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻等を除く。) であることであり、指定薬物は、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定することとされている。

 

四及び五について

 いわゆる脱法ハーブについては、「規制を加えても、また直ぐに新しい薬物が出回るという、いたちごっこのような状況」 との指摘があることを踏まえ、指定薬物の規制の実効性を高める必要があると考えており、指定薬物の指定をより迅速に行うよう努めるとともに、御指摘の 「化学的な基本構造が同質の類似薬物を一括して薬事法の規制対象に指定する包括規制の導入」 について、今後、専門家の意見を聴きながら、検討する予定である。


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