電子投票制度の導入に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月二十一日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 電子投票制度は無効票が無くなり、開票時間も大幅に縮小するなどメリットがある反面、導入コストが高く、自治体にとって重い負担となることから、新規導入が停滞している。電子投票に対する国の消極的な姿勢に業を煮やし、電子投票から撤退を決めた自治体も続出していることからも、電子投票制度に対し、国の立場を明確にすることが求められている。

以上を踏まえ次の事項について質問する。 

一 野田政権は電子投票制度について、どのような立場にあり、今後推進していく考えはあるのか、見解を示されたい。 

二 現在、電子投票を導入している自治体数について、また今後導入を検討している自治体はあるのか、政府の把握するところを示されたい。 

三 電子投票の導入が進まない原因について政府はどのように認識しているか、見解を示されたい。 

四 通常の自書式投票に対し、電子投票は特別地方交付税の交付金を差し引いても自治体にとって大きな負担になると言われるが、導入にあたりどれくらいの経費負担が必要になるものと認識しているか、政府の見解を示されたい。 

五 電子投票を取りやめた自治体によると、電子投票は利便性の向上等、優れた手段であるが、国が積極的に電子投票を推進しない姿勢に対し、抗議の意味も込めて撤退したことを理由として明らかにしている。政府の不明瞭な方針に自治体は困惑しているが、政府の責任についてどのように認識しているか見解を示されたい。 

六 前回衆議院総選挙の民主党マニフェストでは「地方選挙においてのみ実施可能となっているタッチパネルの電子投票機等を用いて投票する電子投票制度を、国政選挙にも導入することを目指します」と電子投票を推進することを項目に掲げていたが、何ら前進が見られない。マニフェストとの矛盾について整合性を問う。 

七 電子投票導入に際する機器のコストが高額であり、電子投票を普及させるには自治体の経費負担を軽減することが必要不可欠と見る。機器そのものについても撤退する業者が多いことから適正な競争原理が働いていない現状も踏まえて、政府の見解を示されたい。 

八 電子投票は一般的に三段階の投票方式に分類され、その第一段階が現在導入されている、選挙人が指定された投票所において電子投票機器から投票する方式、第二段階は指定された投票所以外の投票所から投票する方式、第三段階として個人の所有するコンピューター端末を使用して投票する方式がある。これら三つの方式について、実用可能な段階はどこまでの範囲になると認識しているか見解を示されたい。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
電子投票制度の導入に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第91号
平成24年 3月 2日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 電子投票制度の導入に関する質問 に対する答弁書

一について

 電磁的記録式投票機を用いて行う投票(以下「電磁的記録式投票」という。) については、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律(平成13年法律第百四十七号) において、地方公共団体が条例で定めるところにより、当該地方公共団体の議会の議員及び長の選挙 (以下 「地方公共団体の選挙」 という。) に導入することができることとなっており、政府としては、電磁的記録式投票を実施する地方公共団体に対して、技術的支援や財政的支援を行い、電磁的記録式投票の普及に努めているところである。
 国政選挙への電磁的記録式投票の導入については、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であり、また、国政選挙に電磁的記録式投票を導入する法案が過去において議員立法として提案された経緯もあり、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

 

二について

 平成24年2月27日現在、電磁的記録式投栗に関する条例を制定している地方公共団体は、7団体 (うち条例改正により条例の適用を停止している地方公共団体は、3団体) である。
 また、今後導入を検討している地方公共団体は、平成22年10月1日現在の調査で23団体である。

 

三について

 地方公共団体の選挙への電磁的記録式投票の導入を予定していない地方公共団体における主な理由としては、導入経費が高額であることや国政選挙において導入されていないこと、電磁的記録式投票における投票に対する不安があることなどであると認識している。
 国政選挙への導入については、一についてで述べた法案についての国会における議論において、電磁的記録式投票における投票の信頼性をいかに確保するか、参議院の比例代表選出議員の選挙における名簿登載者をいかに公平に表示するかや、導入経費が高額であることなどの課題が指摘されたと承知している。

 

四について

 地方公共団体の選挙における電磁的記録式投票の導入に要する経費については、選挙人名簿登録者や投票所の数により差があるが、これまでに電磁的記録式投票を実施した10団体においては、平均約1,7064,000円である。

 

五について

 政府としては、電磁的記録式投票を実施する地方公共団体に対して、技術的支援や財政的支援を行い、電磁的記録式投票の普及に努めているところであるが、電磁的記録式投票を地方公共団体の選挙に導入しない理由として、国政選挙において導入されていないことを挙げる地方公共団体も多い。
 国政選挙への電磁的記録式投票の導入については、一についてで述べたとおり、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

 

六について

 国政選挙への電磁的記録式投票の導入については、一についてで述べたとおり、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。
 なお、政府としては、民主党が作成した 「民主党政策集インデックス二〇〇九」 の内容について、お答えする立場にない。

 

七について

 地方公共団体の選挙への電磁的記録式投票の導入については、電磁的記録式投票を実施する地方公共団体に対して、導入に伴い増加する投・開票所経費について特別交付税措置を講じているところであり、このような財政的支援や技術的支援を通じ、電磁的記録式投票を実施する地方公共団体の支援に引き続き努めてまいりたい。

 

八について

 既に地方公共団体において実施されている電磁的記録式投票は、当該選挙人が属する投票区の投票所において電磁的記録式投票機から投票するいわゆる 「第一段階」 である。
 当該選挙人が属する投票区の投票所以外からも投票できるいわゆる 「第二段階」 については、選挙人名簿や候補者の情報をいかにネットワーク化し、投票所問で共有するかなどが、個人の所有するコンピュータ端末等を使用して投票するいわゆる 「第三段階」 については、本人確認をいかに行うかや第三者の立会いがない中での自由な意思による公正な投票環境をいかに確保するかなどが、課題として挙げられるものと考えている。


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