下記の質問主意書を提出する。
提 出 者 馳 浩
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
政府・日本銀行は昨秋、一日としては過去最高額の八兆円規模の為替介入を実施し、その後四日間に渡って非公表の覆面介入を行ったことが明らかになった。短期間での大規模介入に加え、七年ぶりに覆面介入に踏み切ることで、ありとあらゆる手段を駆使し、急激な円高進行の是正に動いた。安住財務大臣は、国益を守る為にはいかなる措置も取ると、更なる介入も辞さない姿勢を示した。以上を踏まえ、以下の項目について質問する。
一 今回の覆面介入はどのような意図で実施されたか、説明されたい。
二 七年ぶりの覆面介入実施など、あらゆる手段を講じ、円高進行の阻止を狙い、介入後一時的には市場の円買い圧力を抑制できたが、時間とともに再度、介入前の円高水準に戻った。市場への効果は限定的であったが、政府は為替介入・覆面介入にどのような効果を期待し、またどう評価をしているか、示されたい。
三 市場の今後の円相場の動きに関する展望について、政府はどのような見解か示されたい。
四 長年実施してきた円売り・ドル買い介入による外貨準備高は膨張し、今後も円高が続けば、更なる含み損が膨らんでいくとされるが、現在試算されている含み損はいくらに上るか示されたい。
五 米国財務省は、昨年末の外国為替報告書にて、日本の単独介入について支持しないことを明確に記し、批判的な見方が広がっているが、米国を含む海外からの為替介入に対する圧力が強まっていることに対して、政府の認識を示されたい。
六 五を踏まえ、市場では為替介入へのハードルが上がったと指摘されるが、今後も為替介入・覆面介入を行っていく考えか、政府の見解を示されたい。
以上質問する。
衆議院議員馳浩君提出
内閣衆質180第68号
内閣総理大臣 野田 佳彦
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
衆議院議員馳浩君提出 円売り覆面介入に関する質問 に対する答弁書一について
外国為替平衡操作の実施に当たっては、外国為替市場の動向を踏まえ、外国為替相場の安定を図るために最も適切であると考えられる手法で対応するよう努めているが、特定の手法を採用した理由については、外国為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。
二について
財務省は、外国為替相場の安定を目的として外国為替平衡操作を実施している。平成23年10月31日から同年11月4日までの外国為替平衡操作については、外国為替市場における投機的な動き及び無秩序な動きを抑制するとともに、一方的な円高の動きを食い止める一定の効果があったものと考えている。
三について
今後の外国為替市場の見通しについては、外国為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。
四について
平成24年度予算における外国為替資金特別会計の外国為替等評価損及び外国為替等繰越評価損の予定額の合計は、平成24年度末時点で約39.6兆円となっている。
五及び六について
米国財務省の報告書における我が国の為替政策についての記述等は承知している。我が国としては、外国為替相場の安定を目的として外国為替平衡操作を実施しており、平成23年10月31日から同年11月4日までの外国為替平衡操作は、必要な措置であったと考えている。今後とも、外国為替市場の動向を注視し、適切に対応してまいりたい。
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