メタンハイドレートの開発に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月十三日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 燃える氷とも呼ばれ、日本周辺海域に相当量が埋蔵されていると見込まれるメタンハイドレートは石油、石炭に比べ二酸化炭素の排出量も少なく、次世代のエネルギー源として、大きく期待されている。

政府は、愛知県渥美半島の南方沖七十〜八十キロメートルの海底で二月中旬にも掘削試験を行うとされており、本格実施は世界でも初めての試みである。開発に成功すれば、日本独自の資源・エネルギー確保となり、電力供給体制の安定化に繋がると注目され、日本のエネルギー安全保障の面からも大きな意味を持つ。

以上を踏まえ以下質問する。

 

一 メタンハイドレートの持つポテンシャルについて、政府はどのように認識しているか見解を示されたい。 

二 日本の周辺海域には、どの程度の量のメタンハイドレートが存在していると試算しているか。また、開発に成功し、商業化が実現した場合、日本の消費エネルギーのどの程度の割合を賄うことができると想定しているか、見解を伺う。 

三 メタンハイドレートは不安定で気化しやすいため、分解させず採掘することが難しい上、大水深での作業となり、技術面での心配が指摘されているが、現状においてどのような認識か示されたい。 

四 課題とされる経済性の評価について、メタンハイドレートの生産コストが掛かり過ぎる為、費用対効果を考えると採算に合わないとも指摘されるが如何。また、今後、技術革新によりコストが下がる可能性はあるとお考えか、見解を示されたい。 

五 四に関連して、米国のシェールガス革命がもたらした、新たな資源の開発による比較的安価な費用でのエネルギー調達が可能になるとされるが、今後、米国からシェールガス輸入が実現した場合、メタンハイドレート生産よりもコストが安価になるとも言われるが、政府の認識を示されたい。 

六 実際にメタンハイドレートが商用化できるのは、いつ頃を目指しているのか。開発計画では平成三十年にフェーズ三を終えるようなスケジュールであるが、実用化の時期について政府の見解を示されたい。 

七 メタンハイドレートの開発はエネルギー自給率の向上に寄与し、エネルギー安全保障上の観点からも、有事の際に独自のエネルギー生産能力を持つことは、国際情勢が不安定な中で重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
メタンハイドレートの開発に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第67号
平成24年 2月21日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 メタンハイドレートの開発に関する質問 に対する答弁書

一、二及び七について

 メタンハイドレートについては、我が国周辺海域において相当の量が賦存していることが見込まれており、その商業化は、国際情勢に影響されない安定したエネルギー供給源として、エネルギー自給率の向上に寄与することから、我が国のエネルギーの安定供給にとって重要であると考えている。我が国周辺海域におけるメタンハイドレートの全体の賦存量は不明であるが、政府においては、相当の量のメタンハイドレートが賦存していると見込まれている海域の一つである、いわゆる東部南海トラフ海域について、資源量の評価を行った結果、同海域に賦存するメタンハイドレート層に含まれるメタンガスの量を約1.1兆立方メートルと推定しており、これは平成23年の我が国の液化天然ガス輸入量の約11倍に相当するものである。

 

三について

 メタンハイドレートは、水深の深い海底南下の地層中に固体の状態で賦存しており、在来型の天然ガスとは異なり、井戸を掘るだけでは自噴しないため、メタンハイドレート層からメタンガスを安定的に分離・採取する技術の開発が必要である。政府としては、平成24年度に東部南海トラフ海域において実証実験を行い、今後このような技術を開発し確立することを目指す考えである。

 

四について

 メタンハイドレート層からメタンガスを経済的に生産するためには、メタンハイドレート層からのメタンガスの生産効率を向上する技術の開発が必要であると考えており、引き続き、そのような技術の開発に取り組む考えである。

 

五について

 現時点では、米国産のシェールガスを液化した天然ガスの輸入が実現した場合の天然ガスの輸入価格及びメタンハイドレートの商業化が実現した場合のメタンガスの生産コストが不明であるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

 

六について

 経済産業省においては、平成21年3月に「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を策定し、これに基づき、平成30年度をめどにメタンハイドレートの商業化の実現に向けた技術を整備することを目指して研究開発を進めているところである。


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