中学校における武道・ダンスの必修化に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 本年四月から、中学校の保健体育での武道・ダンスの必修化が始まる。以前から、施設の整備や用具の確保、指導者の養成、安全面など様々な観点から必修化導入に向けた指摘を受けてきたが、導入時期が迫る中、現在の取り組み状況を確認したく、以下質問する。

 

一 安全面を考える上でも、武道場にて行われることが望ましいが、現時点での、全国の中学校における武道場の設置件数及び設置割合について示されたい。 

二 コンクリートの武道場より、木造の方が事故の危険性を軽減させる上で望ましいとされているが、木造の武道場の設置件数及び設置割合について示されたい。 

三 木造の武道場の整備が進まない原因と理由について見解を示されたい。

四 武道で使用される畳は、安全面は勿論のこと、使いやすさ、耐久性を考える上で、材質は重要である。私の地元の石川県でも、新素材の軽くて丈夫な畳を開発し、武道の実施を控える学校に対して、普及を行っているところである。全国の中学校において柔らかい畳と固い畳の使用割合について把握するところを示されたい。また、政府としては新素材を使用した丈夫で柔らかい畳を普及させることが望ましいとの認識か見解を伺う。 

五 柔道の正規の試合では一二八畳の畳が必要とされているが、学校の規模や広さなどにより、畳の枚数は各校でばらつきがあるとされている。安全面や指導の充実を考えた上で、望ましいと考えられる畳の設置枚数はどの程度になるか、見解を示されたい。 

六 私の地元、石川県では武道必修化に必要な柔道着などの用具の購入に関して、生徒負担なのか地域の負担になるのか、また貸出しなのか、自治体・学校によって、その対応が分かれている。全国での用具購入に関する負担割合について、どのような状況か把握するところを示されたい。 

七 用具負担に関しては各学校の判断に委ねられているとされるが、負担の差が異なることによる公平性の観点や、選択種目によっては高額な負担になること、衛生面等を考えると、ある程度の国の指針も必要ではないか、政府の見解は如何。 

八 柔道や剣道、相撲などの武道各種目の内、選択が予想される各種目の割合について、どの程度になるとお考えか見解を示されたい。 

九 多くの学校において、設備や指導実績、費用面から柔道が選択される可能性が高いとされているが、他の競技に比べると事故率は高いとされ、最近でも部活動や体育の時間中に事故が起きた事例がいくつか報告されている。文部科学省としても安全に対する注意喚起を行ってきているものと承知しているが、必修化を目前に控え、指導に不安を覚える教員も少なくない。生徒の安全を守る為にも、指導者養成の更なる強化、安全面を徹底した指導内容、怪我の処置に関する医療知識等への取り組みが求められているが、政府の認識は如何。 

十 愛知県や大分県において、柔道初心者の体育教員に対し、わずか数日間の指導講習で受講者全員に黒帯が授与されていたことが、明らかになった。通常二年近くかかるとされる段位の取得が短期間で得られることに対し、政府はどのように認識しているか、見解を示されたい。また、全国で同じような事例が行われている可能性はあるのか、実態について把握するところを示されたい。 

十一 経験や技術、指導力が不足しているにも関わらず、このように容易に段位を与えてしまうことは、学校での生徒指導における、教員の慢心に繋がり、安全面にも影響を及ぼすことが懸念されるが、政府の認識は如何。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
中学校における武道・ダンスの必修化に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第54号
平成24年 2月17日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 中学校における武道・ダンスの必修化に関する質問 に対する答弁書

一について

 武道場を設置している中学校の数は、平成23年5月1日現在、国立学校が46校、公立学校が4936校、私立学校が419校(併設校に設置される武道場を使用している学校の数を含む。)であり、その全中学校数に対する割合は、約50.2パーセントである。

 

二及び六について

 お尋ねについては、把握していない。

 

三について

 木造の武道場の整備状況については、承知していない。

 

四について

 お尋ねの「柔らかい畳と固い畳の使用割合」については、把握していない。また、学校の体育の授業のために用いられる畳の材質等については、学校において指導する内容や生徒数等に応じ、安全面等にも配慮しながら、学校の設置者が判断すべきものと考える。

 

五について

 学校の武道場は、御指摘の 「柔道の正規の試合」 ではなく、主に体育の授業のために用いられるものであり、そこに敷かれる畳の枚数については、学校において指導する内容や生徒数等に応じ、安全面等にも配慮しながら、学校の設置者が判断すべきものと考える。

 

七について

 武道用具の整備方法等については、地域の実情等を踏まえつつ、学校の設置者が判断すべきものと考える。

 

八について

 平成24年度に中学校で選択される武道の種目の状況等については、現在'調査を実施しているところである。

 

九について

 学校において武道の指導の目的を安全かつ円滑に達成するためには、指導者の資質向上'安全面等に配慮した指導計画の作成、怪我等が発生した際の適切な対応等が重要である。このため、文部科学省において、教員や都道府県教育委員会等の担当者を対象とした講習会を開催するなど、授業において武道を安全に指導することや怪我等が発生した際の適切な対応等に関する教員の資質向上に努めるとともに、武道の指導において安全面等に配慮できる外部指導者の活用等を図るよう促しているところであり、引き続き、これらの取組を積極的に行ってまいりたい。

 

十及び十一について

 お尋ねの 「同じような事例」 については、把握していない。また、柔道の段位の認定については、財団法人講道館 (以下単に 「講道館」 という。) が行っているものであり、講道館が適切に行っていくべきものであると認識している。なお、講道館からは、今後、一部の段位の実質的な認定を委ねている関係団体に対し、安易な段位の認定を行わないよう指導を徹底していくと聞いており、政府としては、適切な段位の認定の在り方に関する講道館の対応を注視してまいりたい。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ