政権幹部の消費税の更なる引き上げ発言に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 野田総理大臣は施政方針演説で、社会保障と税の一体改革を不退転の決意で取り組む姿勢を示した。二〇一五年十月までに消費税率を段階的に十%に引き上げる政府・与党の一体改革素案をもとに、与野党協議を経て、関連法案を今国会に提出することを目指している。

 その一方で、岡田副総理兼一体改革担当相は年金の抜本改革を行った場合、消費税率十%では不十分で、更なる増税の必要性を示した。また、藤村官房長官も同じく将来的には消費税十%超への引き上げは避けられない認識を示した。

 素案をもとに、消費税への協議の必要性を訴えながら、政府内からそれでは不十分で更なる増税は避けられないとの発言が出たことは遺憾であり、国民の不信を招く。政府は、国民が将来の見通しを立てられるようなビジョンをしっかりと提示し、説明していくことが求められる。

 以上を踏まえ以下の事項について質問する。

 

一 素案を取りまとめた段階で、何故この問題に関する議論を行わず、また素案に反映させなかったのか、見解を示されたい。 

二 十%超に更に消費税の引き上げが必要との認識は、政府としての統一見解か、見解を示されたい。 

三 野田総理大臣の施政方針演説で、この問題を取り上げなかったのは何故か、明らかにされたい。 

四 消費税率十%以上の引き上げが既定路線であるならば、今回十%に区切って一体改革を行っていくことに意味はあるのか、明らかにされたい。 

五 政府が一体改革素案への与野党協議を呼び掛けているタイミングで政権幹部からそのような認識が示されたのは何故か、これは一体改革素案が不十分であると自ら認めているようなものではないか、政府の見解を示されたい。 

六 将来的には消費税率が何%であれば、増大していく社会保障費を賄っていけると試算しているか、見解を示されたい。 

七 欧州等の多くの国が取り入れている、食料品などの生活必需品に対する消費税の軽減税率について、その必要性をどのようにとらえているか、政府の見解を示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
政権幹部の消費税の更なる引き上げ発言に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第53号
平成24年 2月17日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 政権幹部の消費税の更なる引き上げ発言に関する質問 に対する答弁書

一から五までについて

 「社会保障・税一体改革素案」 (平成24年1月6日政府・与党社会保障改革本部決定。以下「素案」という。) に基づき、必要な社会保障の充実と安定化を図るとともに、それらの安定財源を確保するため、平成27年10月までに段階的に消費税率(国・地方)を「パーセントまで引きとげることとしており、これにより「社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成」 への第一歩が踏み出されることとなる。また、素案においては、「2050年以降、高齢化のピークを迎えることを考慮すれば、今後も改革を進める必要がある。今回の改革に引き続き、少子高齢化の状況、財政の状況、経済の状況などを踏まえつつ、次の改革を実施する」とされており、今回の改革後における消費税を含む税制の在り方については、こうした方針に沿って検討していくこととしている。

 野田内閣総理大臣は、第180回国会における施政方針演説において、素案に基づき取り組んでいく旨述べているところである。

 

六について

 お尋ねの「将来的には消費税率が何%であれば、増大していく社会保障費を賄っていけると試算しているか」の具体的内容が必ずしも明らかではないが、「社会保障に係る費用の将来推計について」 (平成23年6月2日社会保障改革に関する集中検討会議資料)において2025年度までの社会保障給付費の見通しを示すとともに、平成27年10月までに段階的に消費税率(国・地方)を10パーセントまで引き上げることとしたところである。今回の改革は、「社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成」 への第一歩であり、今後一層の少子高齢化が進展し、社会保障給付費が増大していく見通しとなっている中で、社会保障制度の持続可能性を確保するためには、財源の在り方も含め、更なる取組を行っていく必要があると認識している。

 

七について

 素案においては、「消費税(国・地方)の税率構造については、食料品等に対し軽減税率を適用した場合、高額所得者ほど負担軽減額が大きくなること、課税ベースが大きく侵食されること、事業者の負担が増すこと等を踏まえ、今回の改革においては単一税率を維持することとする」とされており、今回の改革においては、消費税率(国・地方)について単一税率を維持することが適当と考えている。

 なお、今回の改革においては、社会保障の充実により低所得者対策を実施するとともに、社会保障・税番号制度の本格稼働及び定着後の実施を念頭に、給付付き税額控除等、再分配に関する総合的な施策を導入するなど、きめ細かな対策を講ずることとしている。


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