東京外郭環状道路の建設再開に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月三日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 国土交通省は凍結されていた東京外郭環状道路(外環道)の未着工区間である練馬・世田谷間約十六キロの建設工事を来年度から再開することを発表した。総事業費は一兆二八〇〇億円と見積もられており、同区間の計画が決定された一九六六年から四六年を経て着工されることになる。完成は二〇二〇年を予定しており、東京五輪招致に合わせた物流網の整備と災害時への対応強化が期待されている。

以上を踏まえ次の事項について質問する。

 

一 国土交通省の建設再開決定プロセスについて示されたい。 

二 沿線住民による反対の声が大きかったことも同区間が凍結されてきた理由の一つであるが、建設再開にあたり沿線住民の理解は得られたのか、示されたい。 

三 同区間におけるB/Cはどの程度だと試算されているか、また便益と費用それぞれの試算についても示されたい。 

四 同区間は都市部で、土地買収費用も通常に比べ高額と予想され、また大半がトンネルで地下四十メートルより深い場所に建設することにより、総事業費が一兆二八〇〇億円とかなりの高額となる。この事業費の内訳詳細と、負担割合、更に費用の捻出について見解を示されたい。 

五 昨年十一月時点で同区間の用地買収は五.五%程であり、計画通りに進めて行くには、用地の取得を急ぐ必要がある。状況によっては用地買収が進まず、計画の二〇二〇年までに完成しないことも考えられるか見解を伺う。 

六 同区間は、もともと自民党政権時代の二〇〇九年に工事着工が認められていたが、政権交代により予算が削減され、事実上凍結された。民主党政権による消費税増税論議や財政状況の悪化により、歳出削減が求められている中、ここにきて建設再開に大きく舵を切ったのはどのような思惑があってのことか、見解を示されたい。 

七 ミッシングリンクの解消は利便性の向上や経済波及効果、防災対策等多くの投資効果が期待される。当然、都市部の道路網の渋滞解消も期待されているが、近年開通した中央環状山手トンネルでは、新たな地点で渋滞が発生し、根本的な渋滞解消には至っていないが、今回の未整備区間の開通は渋滞解消にどのような影響を及ぼすと考えられるか、見解を示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
東京外郭環状道路の建設再開に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第44号
平成24年 2月14日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 東京外郭環状道路の建設再開に関する質問 に対する答弁書

一、二及び六について

 東京外かく環状道路のうち東京都練馬区から同都世田谷区までの区間(以下 「東京外環 (関越〜東名)」 という。) については、国土交通省が御指摘の 「建設再開」 を発表した事実はなく、平成23年12月12日に平成24年度から工事に本格的に着手する見通しであることを発表したところである。なお、東京外環(関越〜東名) については、平成21年4月27日に開催された国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て同年5月29日に高速自動車国道法 (昭和32年法律第79号) 第五条第一項に規定する整備計画に定め、平成21年度に新規事業化している。

 

三について

 国土交通省が、東京外環(関越〜東名) の新規事業化に当たり、平成21年度に実施した新規事業採択時評価における費用便益比は、2.9である。また、総便益は2兆9788億円であり、総費用は1兆377億円である。

 

四について

 東京外環 (関越〜東名) の事業費は、総額で1兆2820億円と算出しており、その内訳は、工事費等として1兆710億円並びに用地及び補償費として2110億円を見込んでいる。東京外環 (関越〜東名) については、国が施行する事業と会社 (道路整備特別措置法 (昭和31年法律第7号) 第二条第四項に規定する会社をいう。以下同じ。) が施行する事業を適切に組み合わせて整備することとしている。国が施行する事業に要する費用については、高速自動車国道法施行令 (昭和32年政令第205号) 第十一条第一項の規定に基づき国が4分の3を、東京都がその余の割合を負担し、会社が施行する事業に要する費用については、当該事業を施行する会社が負担する予定である。

 

五について

 東京外環 (関越〜東名) の用地取得については、計画的な買収に努める考えである。

 

七について

 東京外環(関越〜東名)を含む東京外かく環状道路は、首都圏の都心方向に集中する交通を適切に分散し、導入することにより、首都圏の慢性的な渋滞の緩和に資するものと認識している。


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