小学校二年生の三十五人以下学級に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月三日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 政府は小学校二年生における三十五人以下学級について義務標準法の改正を行わず、教職員の加配定数の改善で対応する考えを示した。これは予算措置に過ぎず、安定かつ恒久的な制度として実施するには不十分と言わざるを得ない。

 また、加配定数分を取り上げ、少人数学級化が遅れている自治体に重点的に充足するやり方は、私の地元、石川県のように、既に国に先行して三十五人以下学級を実施してきた地域の努力が蔑ろにされる不平等な内容と言える。

 昨年、義務標準法を改正した経緯からも法改正による基礎定数の確保が望ましいことは明白である。

以上を踏まえ以下の事項について質問する。

 

一 小学校二年生の三十五人以下学級実施にあたり、何故義務標準法の改正を見送り、加配定数の改善で対応することにしたのか、政府の見解を示されたい。 

二 昨年、改正した義務標準法の附則において、「小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編成の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする」とあるように、制度の恒久的な実施を行う上で、法改正が必要であると考えるが、政府の見解は如何。 

三 政府の予算措置による対応では、次年度以降の少人数学級が担保されないと考えられるが、認識は如何。 

四 小学校二年生の三十五人以下学級が未実施の都道府県について示されたい。 

五 自治体の独自の努力により既に三十五人以下学級を実施してきた地域にしてみれば、加配定数分を引きはがされ、三十五人以下学級の取り組みが遅れている地域に集中的に配当することは、今までの努力が報われない不平等なやり方であると指摘されるが、政府の見解は如何。 

六 文部科学省が主張する中学校三年生までの少人数教育の実施はいつまでに実現することが可能であると考えているか、また、その為に必要な予算はどれくらいになると試算しているか、将来的なビジョンを含め示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
小学校二年生の三十五人以下学級に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第43号
平成24年 2月14日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 小学校二年生の35人以下学級に関する質問 に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の 「35人以下学級」を公立の小学校の第二学年で実施するために必要な教職員の定数を児童数に応じて恒久的に措置するためには、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号。以下 「義務標準法」 という。) の改正が必要であるが、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要があるという状況の下、今国会に提出している平成24年度予算(以下「当初予算案」 という。) においては、義務標準法第十五条等に規定する教職員の定数の算定に係る加算の措置(以下 「加配定数」 という。) により対応し、平成25年度以降の取扱いについては、引き続き検討することとしたものである。

 

三について

 義務教育費国庫負担法 (昭和27年法律第303号) 第二条の規定により、その給与及び報酬等に要する経費の一部が国庫負担の対象となる教職員の定数の平成25年度以降の取扱いについては、少人数学級の推進を含め、教育の質の向上につながる教職員の配置を適正に行うという観点から、引き続き適切に対応してまいりたい。

 

四について

 お尋ねの「35人以下学級が未実施」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省の調査によれば、平成23年5月1日現在で、公立の小学校の第二学年において36人以上の学級に在籍する児童が存在するのは、北海道、青森県、宮城県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、福井県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県の35都道府県である。

 

五について

 当初予算案においては、公立の小学校の第二学年の36人以上の学級を35人以下とするための900人の増加分を含めて加配定数を3800人増加するために必要な経費を計上しており、加配定数の配分に当たっては、今年度の実績を踏まえるとともに、その増加分の配分については、各都道府県の意向を参酌した上で、予算の範囲内で、児童生徒の実態等のほか、各都道府県間の均衡にも配慮して適切に対応していくこととしている。

 

六について

 今後の少人数学級の推進や個別の課題に対応するための教職員の定数の在り方については、学級規模の縮小や教職員配置の改善等の取組の効果を検証しつつ、学校教育の状況や国及び地方の財政状況等を勘案した上で'教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしており、現時点でお尋ねの時期や試算額を示すことは困難である。


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