国の検査検定制度及び資格制度の手数料負担に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年二月三日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 総務省が行った検査検定、資格認定等に係る利用者の負担軽減に関する調査により、資格取得の為の検査、試験、講習等を実施する公益法人に対し、受検料や受講料が適正な金額か、又利用者の立場に立った負担軽減が行われているか等に関する調査が行われた。

 その結果、多数の制度・事業が利用者に対し過度の手数料を徴収している事実が発覚し、所管する府省庁に手数料の見直しや積算根拠の実態について公開することを求める改善勧告を行った。

 資格ブームと呼ばれる昨今、様々な検査検定制度及び資格制度がつくられ、広く認知、利用されてきている中、健全運営に必要な額以上の利益を生じてはならないはずである実施主体の公益法人により、利用者が必要以上の負担を強いられ不利益を被ることは、本来の目的と大きく逸脱していると指摘せざるを得ない。

 国民からも手数料の引き下げや手続きの簡素化等多数の要望が寄せられる中、今回の指摘を踏まえ、所管府省庁による指導監督の徹底と利用者の負担軽減が求められる。

以上を踏まえ次の事項について質問する。

 

一 今回の調査により、過度に手数料を徴収していることが発覚した公益法人と所管する府省庁、またその過度にあたる金額について把握するところを示されたい。 

二 調査では、どのような基準で費用負担が過度にあたると判定されたのか、その判断基準について示されたい。 

三 総務省の出した勧告により、実施主体の公益法人が積算根拠を公開し、負担軽減等の改善が進められているのか、政府の把握するところを示されたい。 

四 総務省の勧告後、全く改善が見られなかった公益法人に対し、どのような指導を行っていくのか、見解を示されたい。 

五 今回の調査では、全四四七の資格、検査検定制度の中から一三九制度を抽出したものであり、残りの制度についても改善すべきものがあると考える。今回調査の対象にならなかった資格、検査検定制度についても調査を行うべきではないか、政府の見解は如何。 

六 総務省の調査では、二三の公益法人で不必要な積立金が計一二一億円あることが指摘をされている。本来、公益事業は健全な運営に必要な額以上の利益を得てはならないはずであり、具体的な使途が明確でない積立金は、資格取得者や利用者等に負担の軽減やその他の形で還元すべきでないか、政府の見解を示されたい。 

七 役員報酬が高すぎると判定された公益法人とその報酬額について示されたい。 

八 昨今の経済状況や東日本大震災からの復興に向け、国民負担増が論議されている中、当然、公益法人の役員報酬も減額していくべきものと考えられるが、政府の見解は如何。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
国の検査検定制度及び資格制度の手数料負担に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第42号
平成24年 2月14日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 国の検査検定制度及び資格制度の手数料負担に関する質問 に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の調査 (以下 「本件調査」 という。) は、公益法人が行う検査検定制度及び資格制度に係る検査、試験、講習等の事業について、その検査料、受験料、受講料等 (以下 「手数料等」 という。) の設定が、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」 (平成8年9月20日閣議決定) 及び 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」 (平成8年9月20日閣議決定) に基づき、事業の収入と支出の均衡が図られ、必要な額以上の利益を生じさせないものとなっているか等について調査したものであり、その結果、不適切な積算を行っている、収入超過により相当額の剰余金が発生しているにもかかわらず手数料等の額を据え置いている等手数料等の設定が不適切となっていることが明らかとなった公益法人を所管府省ごとに示すと、次のとおりである。なお、具体的な 「過度にあたる金額」 については、把握していない。

 国家公安委員会 財団法人日本交通管理技術協会及び財団法人保安電子通信技術協会 総務省 財団法人消防試験研究センター、財団法人日本消防設備安全センター及び財団法人日本無線協会
 総務省及び経済産業省 財団法人日本データ通信協会
 文部科学省 社団法人日本技術士会
 厚生労働省 財団法人安全衛生技術試験協会、財団法人医療機器センター、財団法人社会福祉振興・試験センター、社団法人日本食品衛生協会、社団法人日本水道協会、社団法人日本ホームヘルス機器協会及び財団法人ビル管理教育センター
 農林水産省 社団法人日本食鳥協会
 経済産業省 社団法人産業環境管理協会、社団法人中小企業診断協会、財団法人電気技術者試験センター、社団法人日本砕石協会、社団法人日本電気協会及び社団法人日本内燃力発電設備協会
 国土交通省 財団法人大阪タクシーセンター、財団法人気象業務支援センター、財団法人建築技術教育普及センター、社団法人全国旅行業協会及び社団法人日本旅行業協会

 

三及び四について

 本件調査の結果に基づき行われた総務省設置法 (平成11年法律第91号) 第六条第一項の規定に基づく勧告 (以下 「勧告」 という。) に基づき関係府省がとった措置については、現時点では総務省として把握していないが、関係府省に対し、同条第六項の規定に基づき、平成24年4月16日までに報告するよう求めているところであり、さらに、当該報告を受領した日から原則として一年後に、その後の改善状況について文書により回答を求め、必要な措置を実施することを促すこととしている。なお、これらの報告や回答の内容については、公表することとしている。

 

五について

 本件調査において対象としなかった検査検定制度及び資格制度については、勧告において、これらの制度に係る検査、試験、講習等の事業及びこれらの事業を実施する公益法人の所管府省に対して、指導監督の際のチェック事項として本件調査の結果に基づき総務省が整理した「自己点検表」を参考にするなどして、国民負担の軽減の観点から必要な点検を行い、その結果に基づき、速やかに必要な改善措置を講ずるよう求めているところである。

 

六について

 引当資産の積立てについては、勧告において、所管府省において内容を厳しく精査し、具体的な使途が明確になっていない場合には、手数料等の引下げ等の原資とするよう求めているところである。

 

七について

 本件調査においては、公益法人の役員の報酬について、御指摘のような調査は行っていない。

 

八について

 公益法人の役員の報酬は各法人において決定されるものであるが、公益社団法人及び公益財団法人の役員の報酬については、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第五条第十三号において、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理状況その他の事情を考慮して不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければならないこととされており、同法第三条に規定する行政庁がその遵守状況についての監督を行っているところである。また、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第四十二条第二項に規定する特例民法法人の常勤役員の報酬についでは、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に基づき、当該法人の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準を考慮して不当に高額に過ぎないものとするよう所管府省が指導監督を行っているところである。政府としては、今後とも、これらの法令等に基づき、適切に監督を行ってまいりたい。 


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