原子力災害対策本部での議事録未作成に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年一月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、政府が設置した、事故対策等の重要政策を決める原子力災害対策本部にて、会議の議事録が作成されていないことが明らかになった。

昨年五月の時点で、議事録が作られていないことが指摘され、把握していたにも関わらず、その後も事務局である経済産業省原子力安全・保安院は議事録を作成することはなかった。公文書管理と情報公開に関する、政府のずさんな対応が問われている。

以上を踏まえ、以下質問する。

 

一 報道によると、昨年十一月にNHKが議事録の情報公開請求を行った後、今になって議事録を作成していなかった事実を発表した。保安院の回答は余りにも遅すぎるが、何故ここまで発表が遅れたのか、理由を示されたい。 

二 政府は昨年五月の時点で議事録が作成されていないことを把握しており、当時の枝野官房長官は「危機対応なので議事録をとるような場がほとんどなかった。結果だけでなくプロセスも含めて全面公開したい」と認識を示した。議事録が未作成なのを知りながら、何故その後も放置し続けていたのか、見解を示されたい。 

三 公文書管理法では、省庁の政策の意思決定に関わる過程を検証出来るようにするため、文書として残すことが義務付けられており、議事録の未作成は有り得ないことである。今回の保安院の対応は同法違反ではないか、政府の見解は如何。 

四 震災対応で設立された他の政府組織の会議における議事録の有無について示されたい。 

五 今回の議事録の未作成にあたり、早々と関係者の処分を行わない考えを示されたが、事の重大さを考えると当然、処分は必要ではないのか、見解は如何。 

六 議事録未作成の失態を二度と繰り返さないためにも、今後、法改正も含めた改善策は考えているのか、見解を示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
原子力災害対策本部での議事録未作成に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第21号
平成24年 2月 7日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 原子力災害対策本部での議事録未作成に関する質問 に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、原子力災害対策本部の議事録その他の資料について、行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成11年法律第42号) に基づく開示請求がなされたところ、該当する文書の有無の確認に相当の時間を要したため、回答までに時間を要したものである。

二について

 枝野内閣官房長官 (当時) の御指摘の発言については、原子力災害対策本部の議事録はないが事務方は議事内容の記録を作成しているとの認識の下で行われたものである。

三について

 公文書等の管理に関する法律 (平成21年法律第66号) においては、行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程及び実績が把握できる文書の作成が求められているが、議事録の作成までは求められておらず、また、事後に作成することも許容されている。しかしながら、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故発生後の緊急事態において、原子力災害対策本部における議事内容が文書で随時記録されていなかったことは遺憾である。

四について

 内閣府が平成24年1月27日に取りまとめた 「東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録の作成・保存状況調査」 において、議事録が作成・保存されていないことが確認された会議等は、同府のホームページに掲載されているとおりである。

五及び六について

 原子力災害対策本部における議事内容の記録の作成については、同本部の副本部長である枝野経済産業大臣において、平成24年1月24日に、同本部職員に対し、関係省庁と協議しつつ同年2月中に作業を終えるよう指示をしたところである。また、政府としては、このような問題が発生した原因を分析し、改善策を講じることとしている。


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