不活化ポリオワクチンの導入に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十四年一月二十四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 不活化ポリオワクチンの導入を巡り国の対応が問われている。神奈川県では、国に先駆け独自に不活化ワクチンを輸入し、既に有料接種を始めていることから、国への早期導入を求める声は高まっている。生ワクチンに対する不安と不活化ワクチンの早期導入に対する期待から、生ワクチン接種を控えている事例が増えているとも聞く。子どもと保護者の安心、安全を担保し、子育てに対する余分な心配を取り除くためにも国の判断が問われる。

以上を踏まえ、以下質問する。

 

一 厚生労働省では、不活化ポリオワクチンの導入を来年度末に予定していたが、小宮山厚生労働大臣が記者会見や国会答弁を通して、今年秋までには、接種を間に合わせるよう指示している旨の発言を行っている。これは、当初の予定を修正し、この発言の通り今年秋までに導入するものと理解して良いのか、見解を伺う。 

二 不活化ワクチンの承認・導入にあたり、どのような検査や品質検定が行われるのか、示されたい。 

三 小宮山大臣の発言の通り、半年間前倒し、秋の接種時期までに間に合わせた場合、不活化ワクチンの安全性や品質、数の確保等に関する問題はないのか、見解を示されたい。 

四 国が未承認の状態のまま神奈川県が独自に不活化ワクチンの接種を行っていることについて、政府はどのように認識しているのか示されたい。 

五 生ワクチンの副反応や、海外でのポリオの流行は以前から指摘されてきたにも関わらず、不活化ワクチンの導入に向けた取り組みが遅く、不安や混乱が生じたことに対し、何が原因で、どこに責任の所在があるとお考えか見解を伺う。 

六 現在、生ワクチンの接種に危険を感じている保護者は二割に上るとも言われるが、生ワクチンの副反応の危険性についてどのように認識しているか。また、不活化ポリオワクチンを接種すればそのような不安は取り除くことが出来るとお考えか、見解を伺う。 

七 副反応に対する不安から生ワクチンの接種を控える保護者が増えている問題について、接種を迷っている保護者に対し、政府としてはどのような対応が必要と認識しているか、見解を示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
不活化ポリオワクチンの導入に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質180第4号
平成24年 2月 3日

内閣総理大臣                  野田 佳彦

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 不活化ポリオワクチンの導入に関する質問 に対する答弁書

一及び三について

 厚生労働省としては、不活化ポリオワクチン等(不活化ポリオワクチン及び不活化ポリオワクチンを含む混合ワクチンをいう。以下同じ。)について、薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第一項又は第19条の二第一項の承認(以下「承認」という。) の申請があった場合には、品質、有効性及び安全性の確保が図られることを前提として可能な限り迅速に審査を行うとともに、製薬企業等に対して供給量の確保について協力を求めること等により、可能な限り今秋におけるポリオワクチンの接種に不活化ポリオワクチン等を導入できるよう、努めてまいりたい。

二について

 不活化ポリオワクチン等の承認については、申請者から提出された臨床試験の試験成績に関する資料等に基づき、申請に係る不活化ポリオワクチン等の名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項の審査並びに当該不括化ポリオワクチン等の品質、有効性及び安全性に関する調査並びに当該不活化ポリオワクチン等の製造所における製造管理及び品質管理の方法に関する調査を行う。また、法第43条第一項の検定については、当該不活化ポリオワクチン等の承認に係る審査の内容を踏まえ、必要な試験法等を定めて行う。

四について

 神奈川県及び地方独立行政法人神奈川県立病院機構が協働して実施している不活化ポリオワクチンの接種については、国内で品質、有効性及び安全性が確認できていないポリオワクチンを医師の責任で接種するものであることから、政府としては、現時点においては、承認を受けた生ポリオワクチンの接種が適当であると認識している。

五について

 国内の製薬企業等における不活化ポリオワクチンの開発については、平成10年に着手したと承知しており、平成13年に承認の申請があったが、臨床試験の試験成績に関する資料が医薬品の臨床試験の実施の基準に適合しなかったことから、平成17年に当該申請は取り下げられた。また、不活化ポリオワクチンを含む四種混合ワクチンの開発については、平成14年に着手したと承知している。厚生労働省としても、国内の製薬企業等に対して継続的に不活化ポリオワクチン等の開発をお願いしてきたところであり、平成22年にも改めて早期開発をお願いするなど、不活化ポリオワクチン等の開発に向けた取組を進めてきたところである。

六について

 生ポリオワクチンの副反応については、接種後に、極めてまれに麻痺の症状等が生じることがあると認識している。
 生ポリオワクチンに代えて不活化ポリオワクチン等を接種する場合は、生ポリオワクチンの副反応に対する保護者の不安については取り除くことができると考えているが、不括化ポリオワクチン等についても、何らかの副反応が生じることがあると考えていることから、不活化ポリオワクチン等の安全性に関する情報収集、情報提供等により、不活化ポリオワクチン等の副反応に対する保護者の不安の軽減に努めてまいりたい。

七について

 国内におけるポリオの発生及びまん延を予防するためには、ポリオワクチンの接種が必要であることから、政府としては、現時点においては、生ポリオワクチンの接種が適当である旨を国民に対して周知するとともに、可能な限り早期に不活化ポリオワクチン等を導入できるよう、取り組む必要があると認識している。


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