シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する第三回質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年六月二十九日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 前回質問主意書に対する政府答弁書の内容を踏まえ、以下の事項について質問する。

一 前回質問主意書の二に対する答弁書にて、「調査捕鯨船に乗船した海上保安官の態勢及び海上保安官の乗船による効果については、今後の調査捕鯨船団及びその乗組員の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい」と答弁を受けたが、海上保安官が調査捕鯨船に乗船したことにより、シーシェパードの妨害行為に対し、一定の抑止力を発揮することが出来たとお考えか、見解を示されたい。

 

二 一に関連して、乗船した保安官の態勢や乗船の効果を公表することで、乗組員の安全面にどのようなリスクを及ぼすと認識しているか、明らかにされたい。

 

三 前回質問主意書の四に対する答弁書にて、シーシェパードによる妨害行為は海賊対処法に規定する海賊行為にはあたらないと認識を示された。前々回質問主意書の答弁書では、公海上での妨害行為を取り締まる法整備は困難と、政府の認識を示されたことも踏まえると、シーシェパードの妨害行為に対し、何も対処することは出来ず、逃げることでしか対抗出来ないのではないか。これで乗組員の安全を守ることが出来るとお考えなのか。他に検討されている対抗措置があれば示されたい。

 

四 東日本大震災によって、南極海での調査捕鯨へどのような影響が出ると想定されているか。今年度もこれまで通りの活動を行うことは出来るとお考えか、見解を示されたい。

 

五 東北地方の被災地において、シーシェパード工作員が震災以降再び地域を訪れ、漁業施設を撮影するなどの活動を再開させていることが報道により明らかにされた。被災地でのシーシェパードのこのような活動は、復興の妨げになると危惧する声もあるが、政府の把握する現状と認識について示されたい。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する第三回質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第284号
平成23年 7月 8日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する第三回質問 に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「一定の抑止力」の意味するところが必ずしも明らかではないが、調査捕鯨船に海上保安官が乗船したことによる効果は、シー・シェパードが行った個々の妨害行為ごとに様々な観点から検鉦すべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。調査捕鯨船に乗船した海上保安官の態勢及び海上保安官の乗船による効果を公表し、具体的な内容を明らかにすることは、シー・シェパードによる妨害行為の巧妙化につながり、今後の調査捕鯨船団及びその乗組員の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

 

三について

 シー・シェパードの妨害行為に対しては、これまでの妨害事例を検討の上、調査捕鯨船団の自衛措置の強化に対する支援を行うとともに、シー・シェパードが所有する船舶の旗国及び寄港国の政府に対し、シー・シェパードによる不法な妨害行為を防止するための実効的な措置をとるよう働きかけを行い、また、海上保安官が乗船するなど、政府として可能な限りの対策を講じ、乗組員の安全の確保に努めてきたところである。今後も、内閣官房を中心に関係省庁が連携し、シー・シェパードによる不法な妨害行為を防止するための実効的な措置を検討していく考えである。

 

四について

 東日本大震災により調査捕鯨の実施主体である財団法人日本鯨類研究所の施設が被害を受けたことなどにより、同研究所の財務状況に一定の影響があったと承知している。今後の調査捕鯨については、シー・シェパードによる妨害の状況及び妨害による影響も踏まえ、有識者の意見も聴いた上で、総合的に検討していく考えである。

 

五について

 シー・シェパードのメンバーが、東日本大震災後に、被災地を訪れ漁業施設を撮影する等の活動を行ったことは承知している。シー・シェパードは、我が国沿岸で行われているイルカ漁業等に対し妨害行為を行っている団体であることから、そのメンバーが被災地で行ったこれらの活動が、被災地の漁業者等に不安を与えていると認識している。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ