下記の質問主意書を提出する。
提 出 者 馳 浩
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
菅内閣総理大臣による浜岡原子力発電所の全面運転停止要請を受け、中部電力が浜岡原子力発電所の全ての号機の運転停止を行ったことを踏まえ、次の事項について質問する。一 浜岡原子力発電所の全面停止要請にあたり、地元自治体や中部電力に対する事前の説明や通知が無かったと承知しているが、この対応は地域住民への配慮が足りなかったのではないか、政府の見解を示されたい。
二 停止要請は政府のどのような権限と法的根拠で行われたのか、明らかにされたい。
三 政府は何故、浜岡原子力発電所のみ停止要請を行ったのか。他原子力発電所に関しては安全が担保されていると判断されたのか。今後、他原子力発電所への停止要請を行う考えもあるのか、見解を示されたい。
四 政府は浜岡原子力発電所に対し、東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要と認識を示した。防潮堤や安全対策が着実に取られたならば、再稼動することも有り得るとお考えか、政府の見解を示されたい。
五 四に関連して、そもそも防潮堤の設置で、東海地震等巨大地震により発生した津波を防ぐことは可能だとお考えか、政府の認識を問う。
六 夏の電力消費ピーク時において、浜岡原子力発電所の全面停止の影響により中部電力管内では、どの程度の電力不足が生じ、節電が必要だと想定しているか、また電力確保に向け、どのような対策を考えているか、政府の見解を示されたい。
七 中部電力は火力発電への切り替えに必要な燃料費等が今年度でおよそ二千五百億円負担増になるとされる。この負担分が電気料金に転嫁されることも想定されるが、これらの費用負担に対し、国が責任を持って請け負う考えはあるのか政府の見解を示されたい。
以上質問する。
衆議院議員馳浩君提出
内閣衆質177第261号
内閣総理大臣 菅 直人
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
衆議院議員馳浩君提出 浜岡原子力発電所の全面停止要請に関する質問 に対する答弁書一について
中部電力株式会社(以下「中部電カ」という。〉の浜岡原子力発電所に対する停止要請に際しては、中部電力への当該要請後直ちに、海江田経済産業大臣から静岡県知事に対して、菅内閣総理大臣の記者会見による公表前に電話で説明するとともに、経済産業省原子力安全・保安院から御前崎市、掛川市、菊川市及び牧之原市に対してもおおむね同記者会見と同時刻に説明を行っており、地域住民への説明にも配慮しつつ対応したものと考える。
二及び三について
浜岡原子力発電所については、平成23年1月1日から30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性が87パーセントと極めて切迫しており、大規模な津波の襲来の可能性が高いことが懸念される。このため、安全対策の更なる信頼性の向上の観点からこうした特別な事情を考慮する必要があり、直接的な法律上の根拠に基づくものではないが、想定東海地震による大規模な津波に十分耐えられる防潮堤の設置等の中長期的対策を終えるまでの間、全号機の運転を停止すべきと菅内閣総理大臣が判断し、発電用原子カ施設に関する安全の確保に関する事務を所掌する海江田経済産業大臣から今回の要請を行ったものである。一方、このような事情が認められないその他の原子カ発電所については、現時点において停止要諦を待う考えはない。
四について
政府としては、浜岡原子力発電所における中長期的対策が完了し、経済産業省原子力安全・保安院による評価及び確認の後、所要の検査を受けた上で同発電所を再稼働することについて、安全上問題がないものと考えている。
五について
中部電力においては、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、同発電所を襲ったものと同程度の津波である15メートル程度の津波の発生を前提とした防潮堤を設置するものと承知している。
六について
平成23年5月23日の中部電力の発表によれば、想定される今夏の最大電力2637万キロワットに対し、供給力は2773万キロワットであり、最低限の供給予備カは確保できる見通しである。政府としては、経済活動に影響を与えない範囲で節電の呼び掛け等を行い、電力需給対策に万全を期してまいりたい。
七について
中部電力が浜岡原子力発電所を停止し火力発電を増強することにより生じる燃料費等の費用の増加分は、一義的には中部電カが負担することとなるが、中部電力からは同発電所の停止要請の受入れに当たって、「国としても十分な配慮、支援をお願いしたい」との要望があり、政府としても具体的要請を踏まえ検討してまいりたい。
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