海賊対策に関する再質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年六月二十日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 前回質問主意書にて、我が国の海賊対策に関する政府の所見を質し、答弁を受けたが、その内容を踏まえ更に具体的に内容を確認したく、以下の項目について質問する。

一 前回質問主意書、四及び五に関する政府答弁書において、貨物船「IZUMI」が海賊から解放された経緯について、「本件事案の経緯等の詳細については、同社の意向等もあり、お答えを差し控えたい」との答弁を受けたが、「同社の意向等」の等に関して他にどのような理由があって差し控えたのか明らかにされたい。

二 前回質問主意書、四及び五に関する政府答弁書において、「身代金の有無等については承知していない」との答弁であったが、身代金有無の把握は、今後、海賊対策を実行する上でも非常に重要な要素であり、政府が身代金を把握していないこと自体、無責任と言わざるを得ない。政府の認識を示されたい。

三 前回質問主意書、十及び十一の政府答弁書にて、ソマリアの海賊問題の根本的解決について、「不安定なソマリア情勢の安定化や人道支援等の多層的な取組が必要かつ効果的」との認識を示した。現在、日本が行っているソマリアへの支援の取組状況について示されたい。

四 海賊対策強化のため、アフリカ東部のジブチに自衛隊初の海外拠点施設を開設した。恒久的な海外基地を持つことで、自衛隊の活動の効率化や、国際貢献の拠点として国内外からの期待は大きく、国益を考える上でも非常に重要な施設である。政府はこの海外基地の設置により、海賊対策やテロ対策にどのような効果があるとお考えか見解を示されたい。

五 海外基地の安全対策面について、どのような取組を行っているか示されたい。

六 施設建設に約四七億円を擁したが、施設立地のため、ジブチ政府から有償で借りている土地の価格について示されたい。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
海賊対策に関する再質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第260号
平成23年 6月28日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 海賊対策に関する再質問 に対する答弁書

一及び二について

 本件事案の経緯等の詳細については、「IZUMI」号の運航会社の意向のほか、他の海賊事案で拘束されている人質の安全に配慮する必要があることから、お答えを差し控えたものである。

 また、本件事案に関して、政府としては関係各国・各機関とも協力して情勢の把握に努めたが、政府として海賊側との交渉に関与しておらず、身代金の有無について承知していないものであり、これをもって無責任との指摘は当たらないと考える。

 

三について

 我が国は国際社会と協力して、ソマリア暫定連邦「政府」の和平推進努力を支援してきており、治安の強化及び人道支援・インフラ整備の二つの柱からなる支援を行っている。具体的には、治安の強化については、ソマリア暫定連邦「政府」警察の給与、装備、訓練等に対する支援を、人道支援・インフラ整備については、食糧支援、保健、衛生、給水、教育等に関する支援等を行っており、その総額は平成19年以降で約1億7910万ドルとなっている。

 

四について

 御指摘の「海外基地」の意味するところは定かではないが、防衛省・自衛隊は、ソマリア沖・アデン湾において海賊行為への対処を航空機により行うためジブチを拠点とする部隊(以下「派遣海賊対処行動航空隊」という。)が単独で使用できる活動拠点(以下単に「活動拠点」という。)を、部隊の効率的な運用を図る等の観点からジプチにおいて整備したところであり、これによりソマリア沖・アデン湾における警戒監視任務をより一層円滑に実施できるようになるものと考えている。

 

五について

 御指摘の「海外基地」の意味するところは定かではないが、活動拠点の警備は派遣海賊対処行動航空隊警衛隊及び現地雇用の警備員により行っているところ、その詳細については、警備上の観点から、お答えを差し控えたい。

 

六について

 活動拠点の整備のために、日本国自衛隊とジブチ共和国外務・国際協力省との間で賃貸借契約を締結した土地に係る賃貸料の額については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えたい。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ