スポーツの国際競技力の向上に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年五月二十四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 トップアスリートの育成強化において我が国の国家による戦略や支援体制が他国と比べても脆弱だと指摘される。オリンピック等の国際大会でも、我が国の国際競技力の低下により、国家戦略でスポーツに取り組んでいる国との差が広がった。国民生活でスポーツの影響力や役割が多岐に広がる中、その象徴とも言えるトップアスリートの育成は、我が国のスポーツの振興、発展の為に重要な役割を果たすことが出来る。長期的な視点を持ち、国家戦略としてトップアスリートの育成強化、競技力の向上に取り組んでいくことが求められる。

従って、次の事項について質問する。

一 スポーツは国民に対し、どのような影響や効果を与え、その役割を担っていると認識しているか、政府のスポーツに対する見解を示されたい。

二 我が国の、トップスポーツ育成強化に充てられている国の予算額を示されたい。

三 スポーツの果たす国民への影響力を鑑みると、国がスポーツの位置づけを明確にし、支援やバックアップの態勢を充実させていくことは明白である。我が国のトップスポーツ強化に用いられる予算は、他国に比べ脆弱であり、それが国際的な競技力低下に大きく関係していることを指摘する声もあるが、政府の認識を示されたい。

四 隣国、韓国では国家戦略によるオリンピックや国際大会でのメダル獲得に向けた取り組みで成果をあげた。トップアスリートの育成強化として、環境面、予算面から重点的にサポートを行い、選手が競技に集中できる体制を整えたことが、競技力の向上に表れている。我が国のトップアスリートを取り巻く環境や、支援体制は充分とは言えず、競技力向上を目指し国家戦略でスポーツに取り組んでいく必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 四を踏まえ、韓国のようにトップアスリート育成に向け、国際大会で活躍が期待される競技や選手に対する、選択と集中の考え方は我が国でも検討の必要があると考えられるか、政府の見解を示されたい。

六 我が国のオリンピック報奨金は、海外の先進国並びにアジア諸国と比較しても金額は少額な上、その後の生活の保障もなく見直しを求める声が上がっている。財政面で潤沢な競技団体であれば、成績に応じ当該団体からの報奨金が支給される場合も有るが、財政的に余裕の無い競技団体の選手には、JOCからの報奨金が頼りであり、今後の生活や活動の糧となる。アスリートが競技に打ち込み、その成果と結果が得られたならば、相応の対応、インセンティブを講じることは、競技力の向上にも反映されると考えるが、政府の見解は如何。

七 海外のスポーツ関係予算は、国費以外に、民間による企業や個人の寄付等がスポーツ振興やトップアスリート育成に大きな役割を果たしていると承知している。我が国では、スポーツへの寄付の文化や風習がまだまだ根付いていない。企業や個人が寄付により、スポーツに参入し易い、税制や環境面の整備が必要と考えるが、政府の見解は如何。

八 ナショナルトレーニングセンターの利用料負担について、現状の施設使用料では財政面で厳しい競技団体には負担が大きく、充実した施設を自由に使うことが出来ない可能性が指摘される。施設使用料の軽減や無償化等について検討することも必要でないか、政府の見解を示されたい。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
スポーツの国際競技力の向上に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第198号
平成23年 6月3日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 スポーツの国際競技力の向上に関する質問 に対する答弁書

一について

 スポーツは、国民の心身の健全な発達や明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に重要な役割を果たすものと考えている。

 

二について

 平成23年度予算においては、「日本オリンピック委員会補助」事業や、マルチサポートを通じたトップアスリートの育成・強化」事業など、競技力向上のための経費として、154億5736万2000円を計上しているととろである。

 

三及び四について

 各国間のスポーツの競技カの差については、様々な要因があると考えており、国の予算額がどのような影響を与えるかについて一概には言えないと考えるが、文部科学省としては、「スポーツ立国戦略」(平成22年8月26日文部科学大臣決定)において、オリンピック競技大会のメダル獲得数の目標を掲げつつ、世界で競い合ういわゆるトップアスリートの育成・強化に向けて取り組むこととするとともに、必要な予算措置を講じているととろである。

 

五について

 国際競技大会においで活躍が期待される競技種目の選手等に対する支援については、公益財団法人日本オリンピック委員会(以下「JOC」という。)がこれに加盟する競技団体の意見を踏まえて実施しているところ、文部科学省においては、JOCと連携し、オリンピック競技大会でのメダル獲得が期待される競技種目に対して、スポーツ科学、医学、情報戦略など、多方面からの専門的かつ高度な支援を戦略的に行う「マルチサポートを通じたトップアスリートの育成・強化」事業等を実施しているところであり、今後とも、トップアスリートの育成・強化に努めてまいりたい。

 

六について

 オリンピック競技大会において優秀な成績を収めた者に対しては、JOC等において報奨金が交付され、また、文部科学省において顕彰を行っているととろであり、これらの取組は、我が国におけるスポーツの競技力向上に一定の役割を果たしているものと認識している。

 

七について

 現在、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)等においては、企業や個人から広く寄附金を募り、スポーツ振興のための助成事業等を行っているところ、センター等に対する寄附金については税制上の優遇措置が講じられている。文部科学省としては、こうした社会全体でスポーツを支援することを促進する環境を整備することは重要と考えており、今後とも、広く国民のスポーツへの興味、関心を高めるための取組を進めてまいりたい。

 

八について

 御指摘の「ナショナルトレーニングセンター」のトレ一ニング施設等の利用料金は、その設置者であるセンターが定めているものであるが、センターからは、この利用料金は、これらの施設と同規模の公共スポーツ施設の利用料金とほぼ同額であり、現時点で減額することは考えていないと聞いている。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ