政府専用機に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年四月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 政府専用機は天皇陛下及び皇族や内閣総理大臣等国賓の輸送や、外国における災害など緊急時の在外邦人の保護、国際緊急援助隊の輸送等に運行されてきた。 

 今回ニュージーランド地震において、政府の不手際もあり被災者家族が政府専用機への同乗を認められなかったことが大きく報じられた。 この事を踏まえこれからの政府専用機の在り方や用途が問われている。
 従って、次の事項について質問する。

一 ニュージーランド地震における、政府専用機への被災者家族同乗を巡る政府の対応について。

(一) 被災地に派遣した政府専用機への被災者家族の同乗を巡り、政府内での混乱が続いた。 前原前外務大臣を筆頭に先走り、調整不足が原因とされるが、被災者家族を落胆させ、感情を弄ぶ、極めて軽い対応であったと言わざるを得ない。 被災者家族の同乗が認められなかった経緯と、政府の認識を示されたい。

(二) 政府は被災者家族の同乗が認められなかった理由の一つとして、政府専用機の搭乗者数が限られていることを問題としたが、今回の被災地派遣は政府専用機一機で運行された。型の二機目の政府専用機を被災者家族のために運行させることは考えられなかったのか見解を示されたい。

(三) 一方で、被災者家族を政府専用機に同乗させる法的根拠がないことも指摘されているが、政府の見解と、今後の法整備の必要性について示されたい。

(四) (三)に関連して、内閣総理大臣が外遊で政府専用機を利用する際、報道各社の同行記者も政府専用機に同乗することと承知しているが、そのことに関する法的な根拠は存在するのか政府の見解を伺う。

 

二 政府専用機の今後の在り方について。

(一) 政府専用機の導入から現在に至るまでの、年間飛行回数及び飛行時間について把握する数字を示されたい。

(二) 政府専用機の機体整備を委託している日本航空が政府専用機と同型のボーイング七四七―四〇〇型機を全機退役させる方針を示した。当分の間は整備委託を継続できる見込みだが、数年後には整備を受けられなくなるとされる。 現在運行中である政府専用機二機の今後の取り扱いについてどのような見解か示されたい。

(三) 現在の政府専用機が退役した場合、過去の運行実績を勘案して、新型機を導入した場合と、民間チャーターを活用した場合とでは、どちらの方がコストパフォーマンスに優れていると考えられるか示されたい。

(四) 仮に民間チャーターを活用する場合、危機管理上の問題が課題とされる。 海外在外邦人の保護等の緊急派遣にも対応できると考えられるか政府の見解を示されたい。

(五) 新型機導入の場合、現在の政府専用機二機を三六〇億円で九一年に購入したことを踏まえ、同規模の機種購入を考えるのであれば、日本の財政状況から非常に厳しいことに加え、国民の理解を得ることも難しいと想定されるが、政府の見解を示されたい。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
政府専用機に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第151号
平成23年 5月10日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 政府専用機に関する質問 に対する答弁書

一について

一の(一)及び(二)について

 本年2月22日にニュージーランドで発生した地震に際して、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第100条の5第2項に規定する国賓等の輸送の用に主として供するための航空機(以下「政府専用機」という。) 一機を被災地に運航したのは、国際緊急援助隊を派遣するためであり、その際、約70人の隊員を十分な機材とともに、可能な限り、一刻も早く出発させる必要があった。一方、被災者の御家族の現地渡航に際しては、現地渡航と滞在の安全性を確認するとともに、旅券の緊急発給等の渡航準備に万全を期す等のため、一定の時聞が必要であったことから、急を要する国際緊急援助隊の派遣と時間的なタイミングが合わなかったものである。

 

一の(三)について

 国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和62年法律第93号。以下「法」という。)第3条第2項に基づき外務大臣が防衛大臣と協議を行い、防衛大臣が法第4条第2項及び自衛隊法第84条の4第2項第3号に基づいて自衛隊の部隊等に法第3条第2項各号に掲げる活動を行わせる場合に、当該活動を行うために用いる政府専用機等の航空機に被災者の家族等を同乗させることが可能かどうかについては、法的根拠を含めて個別具体的な状況に即して検討されるものであり、一概にお答えすることは困難である。

 

一の(四)について

 内閣総理大臣の外国訪問に際し、報道各社の同行記者を政府専用機により輸送することは、自衛隊法第100条の5に規定する政府専用機の輸送対象である内閣総理大臣が外国訪問において行う業務が国民に対して迅速かつ正確に報道されることに資するものであることから、内閣総理大臣の輸送に伴うものとして、通常の航空運賃に相当する額の使用料を徴収し、行っているものである。

 

二の(一)について

 政府専用機の導入から現在に至るまでの年間飛行回数及び飛行時間については、平成5年が5回及び約178時間、平成6年が13回及び約447時間、平成7年が10回及び約436時間、平成人8年が13回及び約515時間、平成9年が11回及び約558時間、平成10年が9回及び約380時間、平成11年が11回及び約451時間、平成12年が12回及び約398時間、平成13年が12回及び約526時間、平成14年が15回及び約564時間、平成15年が9回及び約423時間、平成16年が20回及び約767時間、平成17年が19回及び約648時間、平成18年が19回及び約687時間、平成19年が10回及び約444時間、平成20年が15回及び約581時間、平成21年が18回及び約640時間、平成22年が12回及び約484時間並びに平成23年(同年5月10日まで)が2回及び約76時間である。

 

二の(二)から(五) までについて

 お尋ねについては、関係行政機関から構成される政府専用機検討委員会において、現行政府専用機の今後の整備の確保の在り方など、様々な選択肢を比較しつつ、現在幅広く検討しているところである。
 なお、緊急事態における在外邦人輸送については、これまでも、民間チャーター機を活用した実績がある。


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