保育所での園児の死亡事故に関する質問主意

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年三月四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 厚生労働省の保育施設における事故報告集計によると、平成二十一年十二月から平成二十二年十二月三十一日までの間に発生した保育所での園児の死亡事故事例が十二件あったことが報告された。
 この様な事故を未然に防ぐためにも、事故原因の分析と対策の強化、そして保育を巡る根本的な問題の解決に向けて早期の取組みが求められている。

 従って、次の事項について質問する。

一 公表された十二件の死亡事故の事例について、それぞれの事故発生状況について示されたい。

二 今回の死亡事故を含む事故報告五十件のうち、保育施設の管理責任と考えられるケースがあれば示されたい。

三 こうした事故を未然に防ぐには、施設の危機管理や職員の意識の問題だけでなく、保育士の人手不足、園児の詰め込みの解消など、根本的な問題の解決が迫られる。 保育施設における安全対策について、政府はどのように認識し、解決に向けた取組みが必要だと考えているか見解を問う。

四 死亡事故報告の内訳を見ると、認可保育所で五件、認可外保育所で七件発生したことが示された。認可外保育所の施設数は認可保育所の約半数で、利用児童数は約九分の一であるが、死亡事故発生件数は認可外保育所の方が多く報告されている。このことから認可外保育所の安全面について、政府はどのように分析をしているか伺う。

五 保育施設の安全対策に加え、待機児童の解消、職員の待遇の改善、保育の質の向上など保育行政が取り組むべき課題は山積しているが、これからの保育のあり方についてビジョンを示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
保育所での園児の死亡事故に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第123号
平成23年 3月15日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 保育所での園児の死亡事故に関する質問 に対する答弁書

一について

 お尋ねの12件の死亡事例の発生状況については、保育士が午睡中の乳幼児の異変を発見して病院へ搬送したものが10件、乳幼児が食事中に食物を詰まらせて窒息したものが1件、保育士がおむつの交換時に乳幼児の異変を発見して病院へ搬送したものが1件となっている。

 

二について

 厚生労働省としては、都道府県から御指摘の事故報告を求めるに際し、保育施設の管理責任の有無についての報告は求めておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

 

三及び五について

 厚生労働省としては、保育施設における安全対策の充実は重要であると認識しており、保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)に基づく事故防止及び安全対策の徹底について保育施設に対する指導を行うよう各都道府県に対し依頼するとともに、保育施設における事故防止等のための留意点をまとめ、その周知について各都道府県に依頼しているところである。

 また、新たな次世代育成支援のための包括的・一元的なシステムの構築について検討を行う場である「子ども・子育て新システム検討会議」において、会ての子どもへの良質な成育環境を保障するとの観点から、待機児童の解消、職員の待遇の改善を含めた保育の質の向上等のための取組について検討しているところである。

 

四について

 厚生労働省としては、御指摘の認可外保育施設において発生した事故は、保育所であったとしても発生した可能性のあるものであると考えており、御指摘の死亡報告を基に、認可外保育施設の安全性について確たることを申し上げることは困難であると考える。  


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