シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年三月四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 反捕鯨団体シーシェパードの妨害行為により、南極海で活動する日本の調査捕鯨が中止に追い込まれた。日本の調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に基づく正当な活動であり、シーシェパードの暴力による一方的な妨害行為は決して許されない。

日本の食文化である鯨肉とその食習慣を守るためにも、自然環境と生態系に配慮した日本の調査捕鯨の正当性をしっかりと主張し、シーシェパードの暴挙に対して政府の毅然とした対応が求められる。

 従って、次の事項について質問する。

 

一 シーシェパードについて、政府はどのような団体だと認識しているか見解を伺う。

二 乗組員の安全確保は当然第一であるが、結果的に暴力による妨害行為に屈する形になってしまったことに対して、政府はどのように受け止めているか見解を伺う。

三 シーシェパードに対して、海上保安庁の護衛による対抗措置等、逃げて振り切る以外の対応策は想定していなかったのか政府の見解を伺う。

四 調査捕鯨継続のため、新型の高速船造船の必要性について政府の考えを示されたい。

五 今回の調査捕鯨の中止は、来期以降の南極海における調査捕鯨にどのような影響を及ぼすと考えられるか。撤退も想定しているのか見解を示されたい。

六 シーシェパード抗議船の旗国や寄港国に対して、船籍剥奪や強制捜査の要請も必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 シーシェパードはメディアを利用したパフォーマンス戦略で注目を集め、寄付収入を増額させた。今後、シーシェパードの資金源を断つためどのような取組みが必要だと考えているか見解を示されたい。

八 公海上での妨害行為の取締まりを可能にする法整備の必要性について政府の見解は如何。

九 調査捕鯨の中止により、捕獲頭数が激減したことに加え、鯨肉の需要減少により調査捕鯨の財政面での困難を指摘する声もあるが、これからの捕鯨のあり方について、政府はどのように考えているのか見解を伺う。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第122号
平成23年 3月15日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 シーシェパードによる日本の調査捕鯨船への妨害行為に関する質問 に対する答弁書

一について

 シー・シェパードについては我が国が南極海で実施している調査捕鯨、我が国沿岸で行われているイルカ漁業等に対し妨害行為を行っているアメリカ合衆国に本部を置く団体であり、国際捕鯨委員会からも、海上の安全を脅かす危険な行為の停止を要求されている団体であると承知している。

 

二について

 シー・シェパードが行っている度重なる妨害行為は、我が国が国際捕鯨取締条約(昭和26年条約第2号)に従って公海上で実施している合法的な活動に従事する我が国の船舶並びにその乗組員の生命及び財産を脅かす極めて危険な行為であり、極めて遺憾であると考えている。

 

三について

 平成22年度に南極海で実施した調査捕鯨に対する妨害対策については、内閣官房を中心に関係省庁が連携し、これまでの妨害事例を検討の上、調査捕鯨船団の自衛措置の強化に対する支援を行うとともに、シー・シェパードが所有する船舶の旗国及び寄港国の政府に対し、シー・シェパードによる不法な妨害行為を防止するための実効的な措置をとるよう働きかけを行い、また、調査捕鯨船団の船員等の安全を確保するために海上保安官が乗船するなど、政府として可能な限りの対策を講じたところである。

 

四及び五について

 今後の調査捕鯨については、調査捕鯨船団の乗組員から現場の状況を聴くとともに、有識者の意見も聴いた上で、総合的に検討していく考えである。

 

六について

 政府としては、シー・シェパードが所有する船舶の旗国及び寄港国の政府に対し、船籍の剥奪及び捜査当局による対応を含め、シー・シェパードによる不法な妨害行為を防止するための実効的な措置をとるよう、累次にわたり、働きかけを行ってきたところであり、今後とも引き続き、関係国政府に協力を求めていく考えである。

 

七について

 アメリカ合衆国に本部を置くシー・シェパードが行っている資金調達の方法について、政府としてお答えする立場にないが、政府としては、シー・シェパードによる不法な妨害行為を防止するための実効的な措置をとるよう、引き続き関係国政府に協力を求めていく考えである。

 

八について

 シー・シェパードが所有する船舶の旗国でない我が国が、公海上で行われるこれまでと同様のシー・シェパードの妨害行為を、海洋法に関する国際連合条約(平成8年条約第6号)の範囲内で、現場で取り締まるための法整備を、実効性がある形で行うことは困難と考えている。

 

九について

 今後の捕鯨の在り方については、鯨類は重要な水産資源であり、科学的根拠に基づき持続可能な利用を図るべきと考えている。 


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