小学校一年生における三十五人以下学級に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年二月十八日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 「義務教育標準法」改正案が閣議決定され、来年度から小学校一年生の一学級における上限数を現行の四十人から三十五人に引き下げる方針が政府から示された。
 少人数教育による、木目細かな教育は、学力向上や、いじめ・不登校の減少・改善に効果的とされ、既に独自の取組みを進めている地域では、成果が上がっていることが報告されている。
 しかし、政府の方針では少人数教育に向けた将来のビジョンや財源について不明確であり、その手法についても不可解な点がある。
 従って、次の事項について質問する。

 一 何故、今回の改正案では小学校一年生のみを対象として三十五人以下学級とする方針なのか、その理由と経緯について示されたい。

 二 今回の改正案により、純増する教員数、予算額について示されたい。

 三 現在、公立小学校では一学級あたり平均二十七・九人で、少子化により今後さらに減少することが予測される。そのような状況で、今回三十五人以下学級を導入する狙いと目的について示されたい。

 四 政府の将来的な方針について、学年別の一学級あたりの適正人数と、どの学年まで三十五人以下学級を対象にすることが望ましいと考えているか、見解を示されたい。

 五 四に関連して、その為に必要な教員数、予算額について想定される数字を示されたい。

 六 少人数学級を将来的に各学年に広げ、実現させる方針であるならば、当然恒久財源が必要であるが、厳しい財政状況に加え、財源不足の中でどのように捻出していく考えか示されたい。

 七 少人数教育によって、教員数を増やしていく考えならば、多様で質の高い優秀な人材の確保は不可欠。 定員を抑制してきた国立大学の教員養成課程を増員させることも必要だと考えているか、政府の見解は如何。

 八 三十五人以下学級の導入に際し、教員の基礎定数に加配教員の一部を移行する方針を示している。 加配教員の定数が減らされることにより、真にサポートが必要な生徒に柔軟かつ集中した対応が出来なくなると、現場から困惑の声が上がっているが、政府の認識を示されたい。

 九 三十五人以下学級導入により、クラスが増え、教室等の新たな施設が必要になった場合、どのような支援を行う考えか、見解を示されたい。

 以上質問する。 

 



衆議院議員馳浩君提出
小学校一年生における三十五人以下学級に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第085号
平成23年 3月 1日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 小学校一年生における三十五人以下学級に関する質問 に対する答弁書

一について

 平成23年度予算の概算要求において「元気な日本復活特別枠」により要望した「小学校一・二年生における35人学級の実現」は、元気な日本復活特別枠に関する評価会議においてB評価とされ、後年度負担の問題も含めた検討が必要との指摘を受けたところである。 これを踏まえ、公立の小学校の第一学年に係る学級編制の標準を35人に改めることとするとともに、平成24年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国及び地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年度以降の予算編成において検討するとととしたところである。

 

二について

 今国会に提出している公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)による学級編制の標準の改定に伴い必要となる教職員定数は、4000人であり、純増300人を含む2300人の教職員定数の改善を行うとともに、1700人の既存の教職員定数の振替を行うことにより措置することとしている。 また、当該措置に係る予算額は、約87億円であり、うち2300人の教職員定数の改善に係る予算額は、約50億円(うち純増分約6億円)である。

 

三について

 学習指導要領を円滑に実施するとともに、いじめ等の教育上の課題に適切に対応し、質の高い義務教育を実現するため、公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化を図ることが必要であることから、法案において、公立の小学校の第一学年に係る学級編制の標準を35人に改めることとするものである。

 

四から六までについて

 政府としては、公立の義務教育諸学校における教育の状祝、国及び地方の財政の状況その他の事情を勘案しつつ、これらの学校の学級規模及び教職員の配置の適正化に関し、学級編制の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果を踏まえ、適切に対応していく考えであり、お尋ねの「学年別の一学級あたりの適正人数」等について、現段階でお示しすることは困難である。

 

七について

 多様かつ優れた資質能力を有する教員を確保することは重要であると認識しており、現在、中央教育審議会において、教員の資質能カの総合的な向上方策について検討が行われているところである。 国立大学の教員養成課程に係る定員については、この検討の状況や各都道府県の教員数の需要の見通しを考慮した上で定めるべきものと考えている。

 

八について

 公立の小学校の第一学年に係る学級編制の標準を35人に改めることに伴い必要となる教職員定数の確保については、御指摘の「加配教員」を一部活用することとしているが、教育上特別の配慮を必要とする児童又は生徒に対する特別の指導等のために必要となる加配のための教職員定数は引き続き確保している。

 

九について

 お尋ねのような場合については、当該学校の設置者である地方公共団体からの申請に応じて、公立学校施設整備費負担金を交付する等の支援を行うこととなる。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ