北陸新幹線の早期の整備着工に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年一月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 昨年末の関係閣僚会議にて、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金一兆二千億円の国庫返納の方針が決定した。その大半が、基礎年金の国庫負担割合二分の一の維持のための財源として充てられることになり、不足する財源の穴埋めとして流用されることになった。

 これによって、整備新幹線の建設財源は二千五百億円にとどまり、金沢以西の延伸決定が先送りされた。

 新幹線は輸送時間の短縮、地域の経済交流・活性化、観光、省エネなど経済波及効果は大きく、沿線住民からの期待は高い。また、新幹線は法に基づき整備計画が定められている国家プロジェクトである。国の責任で整備促進、着工に取り組んでいくことが求められている。

 従って、次の事項について質問する。 

一 政府は、新幹線の意義や効果、必要性についてどのように考えているのか見解を示されたい。 

二 平成二十六年度末までに金沢開業を目標に整備が進められているが、早期の整備促進が求められている中、予定通りに二十六年度末までに完成することは可能なのか。政府の見解を示されたい。 

三 未着工区間となっている金沢から敦賀までの区間について、昨年末の関係閣僚会議にて当時の馬淵国土交通大臣は「財源確保など五条件をクリアするのが前提だ。もともと期限は言っていない」との発言をされた。
 既に福井駅が完成している中、いつまでも棚上げをせず、新規着工の判断が必要であるが、延伸の判断はいつまでに行うのか、認識を示されたい。 

四 未着工区間である金沢から敦賀までの区間のB/C(費用便益比)はどの程度を見込んでいるのか示されたい。 

五 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金の国庫返納について、国庫に返納するには法律が必要であり、参議院で与党が過半数割れをしている状況を鑑みると、法案が成立する保証はない。もし、国庫返納法案が成立しなかった場合の対応はどのように考えているのか。政府の見解を示されたい。

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
北陸新幹線の早期の整備着工に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第025号
平成23年 2月 4日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 北陸新幹線の早期の整備着工に関する質問 に対する答弁書

一について

 お尋ねの点については、「整備新幹線の整備に関する基本方針」(平成21年12月24日整備新幹線問題検討会議決定。 以下「基本方針」という。)において、「総合交通体系における位置づけ等に関する基本的な認識」として示しているとおり、「整備新幹線は、我が国の交通体系にあって、基幹的な高速輸送体系を形成するもの」であり、「地域間の移動時間を大幅に短縮させて関係する地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすとともに、環境性能と効率性に優れた交通機関」であると考えており、「厳しい財政の制約も考慮に入れながら、・・・整備の意義を十分に検証した上で、国民の理解を得ながら計画的に整備を進める必要がある」と認識しているところである。

 

二について

 お尋ねの点については、「整備新幹線問題に関する今後の対応について」(平成22年12月27日整備新幹線問題検討会議決定。 以下「今後の対応」という。) において、建設中の区間について「引き続き、工事費の縮減に努めつつ、・・・貸付料を充当し・・・、予定どおりの完成・開業を目指して着実に整備を進める」としており、北陸新幹線長野・金沢聞については、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。) において、平成26年度末の完成を目指して着実に整備を進めているところである。

 

三について

 お尋ねの点については、基本方針において、「基本的な条件が整った区間について、これを確認した上で、着工するものとする」としていること、今後の対応において、未着工の区間について「各線区の課題について、さらに詳細な検討を進める」及び「安定的な財源見通しの検討、線区ごとに必要となる具体的な投資効果の試算など、着工に当たっての基本的な条件について、さらに検討の深化を行う」とするとともに、「こうした作業を通じ、・・・着工に係る課題の解決に向けた取組を進める」としていること等を踏まえ、整備新幹線問題検討会議等において鋭意検討を進めてまいりたい。

 

四について

 お尋ねの点については、今後の対応において、未着工の区間について「先般行われた将来交通需要推計手法の改善(平成22年11月19日公表) に基づき今後需要推計を行うこと等を踏まえつつ、・・・線区ごとに必要となる具体的な投資効果の試算など、・・・さらに検討の深化を行う」としていることを踏まえ、現在、お尋ねの区間の投資効果の試算に係る作業を行っているところであり、現時点でお示しすることは困難である。

 

五について

 仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいが、今国会に提出した平成23年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案においては、機構は特例業務勘定における積立金のうち1兆2千億円を国庫に納付しなければならない旨を定めるとともに、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置、外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置及び同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めているところである。


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